説得
「ん?どうした」
「な、何でも無いよ」
さっきの話のせいで気まずい。
「なぁ、セリナ、これからどうする?」
「これからかぁ〜、私とココは討伐依頼があるからそれを」
「討伐依頼?何を倒すんだよ。」
「ドラゴンですよ、と言ってもただのドラゴンじゃなくて邪竜ですけどね」
ココが歩きながら話してくる。
「は?ココ、お前本当に言ってるのか?」
「クローシュ、残念だけど、邪竜を討伐しないとダメなんだよね~。」
「いやいや、セリナまで何言ってるんだよ、ドラゴンって言ったら伝説級の生き物だぜ、そんなの倒せるわけがあるのかよ」
「でも、倒さないと学園に入れないし..」
「学園?そんなのに入るために、死ぬかも知れない依頼を受けたのかよ!そんな…そんなクソみたいな学園良いだろ!俺と冒険者らしい事をして生きて行けば良いじゃないか!冒険者って金も稼げるだろ、それでいいじゃねぇか、わざわざ学園に行く必要なんて無いだろ!」
確かにクローシュにとっては行かなくて良いのかも知れないけど。
「私は学園に行ってみたいの!確かに死ぬかも知れない…でも私は初めて自分の意思で学園に行きたいと思ったから。」
私なに言ってるんだろ、確かにクローシュの言うとおり、そんな学園行く必要なんて無い、でも、私あそこで学んでいろんな事を知りたいし。
「グッ..でも!」
「そんなに学園について否定したいなら別に来なくて良いですよ、私はセリナさんと一緒に倒しに行くだけだから」
ココがまた少し怒ったように言う。
「そうか、それなら俺は止めない。」
また怒らせてしまうと思ったのかそれ以上言わない。
「何か変な空気になったね。」
「はい、変な雰囲気になりました。」
「・・・」
これからが本当に危ないのに大丈夫なのかな?
「ドラゴン…本当に倒すのか?」
「うん、倒すよ、倒さないと行けないし。」
「何か、大変そうだな。」
「じゃ、そろそろ寝ますかぁ。」
私は眠そうにそう言う。
「二度寝ですね?」
「そうだね、二度寝だね。」
「お前ら寝るのかよ。」
私はクローシュとココにおやすみと言って寝る事にする。
「寝られない、はぁ…」
私は起き上がって考える。
「勝てるのかな?ココ…」
ココの髪をそっと撫でる。
「スゥースゥ、止めて下さいよ..セリナさん〜、もう食べられませんて〜」
私やっぱり一人で、ココがもし死んでしまったら嫌だから…私が全てやった方が…
「ごめんね、ココ」
そしたらきっとまた皆が笑って、3人でまた、楽しい時間が来るかもしれない。
「行くのか?セリナ今度のは死ぬかも知れないのに。」
「うん、ココが死ぬかも知れない、だったら私が一人で行くよ、その方が良いでしょ?」
「ぐっ…!どうして…どうして仲間を、友達を頼らないんだよ!何で一人で解決しようとする!ハナを探すって時も」
「ふぇ?ど、どうして喧嘩してるんですか?」
「ううん、何でも無いよ、ただお話ししてただけだよ」
ココが私に抱き付いてきた。そして泣いていた。
「またどこかに行ってしまうんですか?今度は嘘をついて」
ココは悲しそうに質問してくる。
「大丈夫だよ、森でハナを探すときも戻ってきたでしょ?」
「嘘です..今度こそ居なくなってしまいます。止めなかったら、セリナさんに会うことが出来なくなってしまう気がします…」
ココ…どうしてだろう、思い出せないけど前もこんな事があった気がする。
「ごめん、ココ私は..」
私はココを突き飛ばす。
「セリナさん?」
「ごめんね…ココ私、行くよ」
「どうして…ですか?どうして分かってくれないんですか?どうして私の気持ちをわかってくれないんですか?」
私はココに剣を向ける、本当はやりたくない。
「ココ、クローシュ邪魔をするなら私はあなた達でも戦うよ」
「グッ..痛いです。セリナさんどうしてそこまで」
「ココ…ごめん」
私は走ろうとする、二人が追いつけない所まで。
「それは..分かっています。」
「セリナ、お前はバカだ、俺はお前みたいなやつが一番嫌いだよ。」
「そう、なら..あなたも私の敵に?」
「いや、お前には勝てない。」
「じゃあ、私行くね。」
そんな事を言ったとき、後ろから声がした…
「ふぅ〜、やっと見つけたよ〜、みんな探しに来ないんだもん〜」
「えっ?ハナ?」
「そうだよ~、ハナだよ~ふふん!」
ハナはそう言って自慢げな顔をした。
「何、その顔?面白い。」
ハナまで止めに来るなんて思わなかったなぁ。
「ハナも止めるの?」
「止める〜?何の事〜?」
私はハナに剣を向ける。
「でも〜、セリナが一人で何かしようとしてるなら〜、止めるよ〜」
ハナも、剣を構える。
「ハナさん、お願いします、セリナさんを止めて下さい!」
「ん〜、よく分からないけど、必ず止めるよ~。」
私はハナを右手で殴ろうとするが…
「セリナ~、一つ聞きたいんだけど〜どうしてこんな事をするの~?」
簡単に避けられてしまう。
「はぁぁ!これで」
避けられたのなら次は左手の剣で!
「よっと~、危ないよ~セリナ~。」
「これは?何?」
光っている。浮かんでいる物をハナから渡される。
「セリナが~、本気なのは分かったよ~、だから..ね。」
「これって、まさか。」
マジですか、魔法だ、いつの間に。
「落雷!」
ハナが言うと雷が落ちてくる、それをぎりぎりでかわす。
「はぁ..はぁ、何とかなった。」
「よそ見は~、ダメだよ~。」
「えっ?雷が…」
避けられない…嘘、私が…
「ダメです!ハナさん!」
ココが止めようとする。
「終わりだよ、セリナ!私を本気にさせる人初めてだったかも〜。」
っ!私は目を瞑る。
「セリナ、何死にました、見たいな顔してるのよ、まだ終わらないでしょ。」
雷が落ちた音が聞こえた…のに何で生きてるの?
私は目を開け、前を見ると狐(亜人)がいた。
「狐?どうしてここに?」
「二日前と同じ事言わせるのね、セリナ…私はあなたと契約してるの契約者の事を守らないでどうするのよ。」
「狐…ありがとう、でもあの時死んだんじゃ?」
「え?あ〜、あの時ね、さぁ、知らないわ」
「し、知らないんだ」
そう聞いた途端笑ってしまった、初めてこんなに笑ったかもしれない。
「なぜ笑うの?私そんなに面白い事いてない気がするけど」
「今はそんな話してる暇無いでしょ!後でね。」
「それあなたが言う事?まぁ、良いわ戦いましょう。」
二人なら勝てる気がする、そんな淡い期待をする。
「まだ~、私と戦うの~?セリナ〜。」
「えぇ!当たり前でしょ、勝つまでやるよ」
自信満々に言う。
「そう…なんだ〜、セリナ~。」
「ん?どうしたの、ハナ」
ハナがふらつき、倒れる。
「ハナ…ハナ!どうしたの?」
「ハナさんが、ハナさんが…」
私はそっと額に触れる。
「結構熱い、とりあえず安静にさせなきゃ。」
ココが涙ぐんだ目で質問してきた。
「あのどうして何ですか?突然、一人で行くなんて。」
「う~ん、やっぱりココが死ぬかも知れないからかな?」
「それじゃあ、セリナさんはどうなっても良いって言ってるんですか?」
「まぁ、考えて見たらそうだね。」
「みんな行きましょうよ、それが一番です。」
ココが手を伸ばしてくる。
「みんなで倒す…うん、やっぱりそっちの方が良いね」
私はそう言って手をとる。
「ふふっ、やっとわかってくれましたね」
私は間違っていた、クローシュの事、友達の事を最頼りにしなきゃ、何でも出来るなんて事無いんだから!