第28話 兆候
更新が遅くなってしまい、申し訳ありません……。
ハデン王子にあまりはっきりとしない返事をしてしまった後悔に、ハデン王子は気にしなくていいよ。と言ってくれて、私たちはあの後、一緒に部屋から出ると血相を変えたキッシュさんと合流した。
どこに行かれていたのか聞かれ、答えられなかった私の代わりに、ハデン王の一言でキッシュさんは納得しえない表情で、ハデン様が仰るのであれば。と渋々頷いた。
そして、まだ半日しか経っていないまま、ハデン王子の尾行は終了してしまったのは言うまでもない。
――時は過ぎて、今は夜――
夕食を頂いてから、私は自室で木製の椅子と体にクッションを挟み書籍のページをめくっていた。
初めてこの国に来て、貸していただいた歴史ものはほとんど見終え、街に出て購入した書籍を読み込みながら文字に視線を這わす。
時間を知らせてくれる鳩も時計もなく、ただページをめくるだけの静けさが部屋の中を満たしていく。
「…………ふぅ」
最後の一行を読み終わるとページをめくり、後付けに辿り着いた書籍を閉じて小さく息を吐く。
新しい書籍と交換せずに読んでいた書籍を机の上に置いて立ち上がり、締め切ったカーテンを何気なしに開けてみる。
窓越しに見える外は真っ暗で、屋敷から街をごく僅か見下ろせるとはいえ、そのごく僅かな街並みは街頭だけが灯り、騒然する昼間とは違って静寂に包まれているように伺える。
そして、夜空は街の静寂さが際待って、それぞれが主張する様にキラキラと数多に輝いていた。
いまから星を眺めるのもいいような気もするけれど、明日のことを思い出し、遅くまで起きておくべきじゃないかなと考えて、カーテンを閉めて窓から離れる。
明日に備えて寝ようとして、布団に潜り目を閉じた。
「? あれ?」
けれども、一向に睡魔が訪れることもなく、まだ起きていたいと主張する様に瞼が開いてしまう。
いつもなら目を閉じて、考える時間もなく眠る事が出来ていたのに、今日に限って意識がはっきりとしている。
もしかして、明日の謁見に緊張しているからかもと思いつつも、ほんとにそれが原因だなんて分からないけれど……。
「明日……どうなるんだろう……」
どうなるか分からない明日にボヤきつつ体を起こし、キッシュさんに眠れるような温かい飲み物を頼もうと思い、ベッドから降りて立ち上がろうとして――。
ぐらっ……ドサッ!
「え……?」
立ち上がろうと床を踏み締めたはずなのに体は傾き、一瞬のことで何が起きたかなんて把握出来なかった。
「(――なんで……わたし……倒れて……)力が……入らない……?」
両手をついて起き上がろうとすると、自分の身体なはずなのに、どうしても体の自由が効かず、座ることも立ち上がることも出来そうになかった。
「あ、あれ……? 眠たく、な……って………………」
さっきまで眠たくなかったことに反して朦朧としてくる意識にどうにもできず、私の記憶は画面が切れるように途切れてしまった――。
つづく
何の「兆候」なのか、次話でわかる予定です。
最終話に向けて(何話まで行くのかわかりませんが)書いていきますので、
最後までお付き合いくださいませ。




