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第20話 ヴェルヴァラ・ファニーズという男……?(3)

ヴェルヴァラ・ファニーズ卿の素、○○○が出てきます。

一応、閲覧注意です。

「はぁー、美味しい!! やっぱりここのは絶品だね!」

 他愛のない話をしながら、ケーキスタンドを2つ程平らげてから3つ目を頼み待つ頃には、だんだんとヴェルさんの口調が変わってきていているように思えた。

「あの、ヴェルさん?」

「ん? なに?」

「お待たせしました」

「ありがとう! それでなにか?」

「あ、何でもない、です……」

「そう?」

 もしかして、と思いながら問いかけようにも、タイミングよく運ばれてきたケーキスタンドに目を光らせるヴェルさんをみて、言葉を飲み込むようにして、少し冷めた紅茶を啜った。



「あれ? そこにいるのは巫女ちゃんとヴェルじゃない?」

「ん? ほんとだ……」

「リッシャー、行ってみよう」


 遠くから聞き覚えのある声が2つ聞こえ、私は声の方向に顔を向けると、ハデン王子とリッシャー王子は手を振って私たちの方へ来てくれていた。


「やあ、珍しいね。王子様二人がここにいるなんて」

 二人が近くに来たことに気がついたヴェルさんは、手をつけていた洋菓子を取り分け皿に戻すと、微笑むようにして二人を迎え入れた。


「昨日はごめんね。まさか、無断で外出したのがバレて、怒られるなんて……」

「それは、兄貴だけの問題だろうに……」

 タハハ……と申し訳ないように頭をかくハデン王子に、リッシャ―王子は呆れながらため息を吐いた。


 昨日、3人で帰るとハデン王子の側近さんが心配そうに出迎え、偉い方たちのお怒りに触れていたようで、どういうわけか「光の巫女であるからといって調子に乗らないで頂きたい」とお叱りを受けてしまったのだった。

 気にすることはないよと、事の発端のハデン王子に言われたけれど、私は二人の優しさに甘えているだけなんじゃないかと思ってしまった。


「そんなことより、ヴェル、まだ抜けないんだね?」

「……抜ける?」

 昨日のことを思い馳せていると、話題を変えるように言ったハデン王子の言葉に首を捻り、その疑問にリッシャー王子が応えてくれた。

「最初は紳士的だが、慣れてくると紳士的部分が抜けるんだ」

「えっと……それが抜けたら……?」

「素に戻る」

「へ? 素?」

 結局意味がわからず、また首を捻る。

 しかし、その意味はすぐにはっきりした。


「そんな事言わないでくれる? というか二人とも、彼女に早々とネタばらしするの止めてくれない?これでも、早いほうなのだけれど?」


 ヴェルさんは溜息をつきながら、やはり口調が最初にあった時よりも変わったように感じられ、私は驚いて彼を見つめる。


「いやだ、そんなに見つめないで、恥ずかしい……」

 驚きに私はガン見していたようで、顔を赤らめ頬に両手を当ててヴェルさんはくねった。

「あの、ヴェルさんはもしかして……」

「えぇ、俺……僕……アタシ……はオネェよ。初合わせでアタシを出すわけには行けないしね。自分を偽ってるようで苦手だけど、相手との信頼関係が大切だしね」

 細められていた両目を開けて、くっきりとライトパープルの瞳を見せて、私の問いに応えてくれた。

「……な? 楽しい人だろう?」

 リッシャー王子は顔を近付けて、こっそりと耳打ちしてきた。

 耳にかかる息に恥ずかしさを感じて身を捩りながら、私は近くにある顔を見れず小さく頷いた。

「さて、やっと本題に入れるわね」

「本題?」

「えぇ、素を隠す必要はなくなったし、貴女が聞きたがってた理由を話すわ」

 手を組み真剣な眼差しで私を見つめるヴェルさんの言葉に姿勢を正して唾を飲み込んだ。


「アタシは貴女の教師係に任命されたからよ。国王陛下にね」

「……教師、ですか?」

 ヴェルさんの口から発せられた単語を一呼吸おいて反芻した。

「えぇ、貴女はここに来て日も浅いと聞いてるわ。何よりアタシはハデン王子とリッシャー王子の教師係でしたし」

「まあ、彼が教師に向いてるのは僕達……元教え子が責任もって断言出来るよ」

「あら、嬉しいことを言ってくれるわね」

「そういえば、別々じゃなく二人同時に教えてたからな……」

 懐かしむように思い出すリッシャー王子に、ヴェルさんはゆっくりと何度も頷く。

「まあ、そういうわけで、明日から教えることにしてるから、昼食が終わったら書斎に来てね」

「あ、はい!」

 ヴェルさんは徐ろに椅子を引いて立ち上がりながら、約束を交わすと同時にウインクを一つして、ガーデンテラスから姿を消した。

「じゃあ、俺たちもそろそろ……」

「あ! よかったら一緒にお茶でもしませんか?」

「いいよ。ちょうど僕も甘いもの食べたかったんだ」

 リッシャ―王子も踵を返し立ち去ろうとする前に、私は残った洋菓子を一人で食べれるものじゃないと思い、誘ってみるとハデン王子は先ほどヴェルさんが座っていた場所に腰掛け、取り分けられた皿に乗った洋菓子を口に含んだ。

「兄貴……」

「リッシャ―王子も食べましょう。おいしいですよ」

 嬉しそうに頬張るハデン王子を見て、呆れているリッシャ―王子も誘うように笑いかけると、苦笑するように微笑んだリッシャ―王子は、空いていたイスを持ってきて三人で一緒に談笑したのだった。


つづく

話しが迂回するようになってしまいましたが、次話で一悶着起こすようにしたいです。

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