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第18話 ヴェルヴァラ・ファニーズという男……?(1)

「うん。かわいい!」

 昨日、街から帰ってちょっとしたイザコザがあり、雑貨屋の迷惑料として買ってもらってから、なかなか袋から出していなかったのを今日やっとガラス細工の置物を取り出して、テーブルランプの近くに飾ってみた。

「そういえば、店員さんがランプの光に充てると綺麗ですよって言ってたけど……どうなんだろう?」

 会計をしている最中に店員さんの言葉が頭に浮かび、疑うわけじゃないけれど試しにランプを点けてみた。

「わっ! とってもきれい!」

 ガラス細工の置物は、ランプをつけると光に反射して、色鮮やかで綺麗な模様がテーブル上に浮かび上がった。


 コンコン……

「巫女様。巫女様にお客様です」

「お客様? はーい、今開けます」

 椅子に座って光に照らされる色を眺めていると、控えめなノックとキッシュさんではない声がドア越しから聞こえ、その内容に首を傾げながら、私は立ち上がってドアノブに手を掛けた。

 扉を開けると、いつのもエプロンドレスと違う種類のエプロンドレスを着た二人のメイドさんに囲まれるように、高身長の男性が腰あたりでひらひらと手を振って立っていた。

「こんにちは、お嬢さん」

「こ……こんにちは……えっと……」

 顔を見上げると、細められた瞼にすっとした鼻筋が整った顔つきは、口角を上げるだけでも爽やかにほほ笑みを携えるには完璧で、その顔から紡がれる挨拶に私は目の前の彼に微笑み返すことなく、私は言葉を返すことしかできなかった。

 言葉を続けようにも、いきなりのお客様で、しかもこの世界に来てから私に用のある知らない人が来るなんて思ってもみなかったから、声が萎んで言葉が出にくかった。

「んふふ……。すごく、だれ? って顔してますね。まあ、まだ名乗ってないですしね。たぶん昨日王子様たちから聞いたはずですけど……、俺が誰だか当ててみます?」

「へ?」

 俯いて数分経ったかのような感覚に陥ってたけれど、男性の方から発せられる声音に弾かれた私は、間抜けな返事を返してしまった。

「あ……待ってください……。えっと、立ち話はなんですからどこか腰を下ろせる場所に移動しませんか?」

 呆気に捕らわれる中、おずおずと小さな声で提案してきたのは、よく見かける服とは違うエプロンドレスを着たメイドさんで、男性はそうだねと賛同していた。

「あ、じゃあ、私の部屋へ――……」

「巫女様、それはダメです。おしゃべりをするのであれば場所を移動しましょう。本来この場所は決まった男性以外は立ち入り禁止で、今は許可されてますが、そろそろお時間になるかと……」

「そっか、そうだね。それにレディの部屋にお邪魔するわけにはいけないだろうし」

「はい。その通りです」

 部屋の中へ案内しようとした提案が却下され、メイドの淡々とした口調に男性は頷く。

「じゃあ、この城にあるカフェテラスへ行こう。そこでおいしいケーキでも食べてお話しようか」

「あ、はい……えっと、カフェテラスってここにはあるんですか?」

「ええ、ありますよ。王族たちやメイドたちがよく利用するカフェテラスで、誰でも立ち寄れるので結構人気のある場所なんですよ。それにお喋りをするならそこが一番適してるはずですし」

「へぇー、そうなんですね。とても行ってみたいです」

 この城にカフェテラスなるものがあるなんて初耳で、男性の説明を聞いて、イメージを膨らませてみた。

「それでは決まりですね。ではレディ、お手をどうぞ?」

「あ、待ってください。せっかくカフェテラスへ行くんでしたら、お洒落をして行ってもいいですか?」

 初めての場所に行くのだから、着飾って行こうと考えて、男性の出された手を取ることなく首を振って断りを入れた。

「お洒落……? えぇ、どうぞ。……じゃあ、先にカフェテラスにでも行っておくよ。場所は分かる?」

「いいえ」

「なら私が巫女様をカフェテラスのある場所へとご案内させていただきます」

 男性は目元を少し見開いたけれど、すぐに笑みに変わった。

 そしてカフェテラスの場所を知らない私は男性の代わりにメイドさんが案内してくれる事になった。

「わかりました。ではミシュア、先に行きましょうか」

「はい、ヴェル様」

「(……ヴェル様?)」

 ミシュアさんと呼ばれたメイドさんが男性に向けた名前にどこか聞いたような気がして首をひねる。

「じゃあまた後で。……楽しみにしてるね」

「は、はい……?」

 手を振って先にとカフェテラスへと向かった男性とミシュアさんを見送った。

「では巫女様、お召し物をお替えになられますか?」

 残ったもう一人のメイドさんは私の方を見て首を傾げて問いかけてきたので、私は頷き返した。

「はい 」

「わかりました。では僭越ながら、巫女様のお着替えを私、ヒューエがお手伝いさせていただきます」

「ヒューエさん、よろしくお願いします」

「はい」

 ヒューエさんはにっこりとほほ笑むと、服を選んでくれたりして着替えを手伝ってくれた。


 着替え終わって私は、ヒューエさんと一緒にカフェテラスへと向かった。


 つづく

序盤にあるイザコザは別の時にでも……


サブタイトルの男性は番号が進むと、色々とわかるようにしていくつもりです


(結局日付跨いでの投稿になりました……)

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