第17話 書籍店で
「わぁ……!! たくさんの書物がありますね!!」
お店の中に入ると並びに並んだ棚にぎっしりと書籍が陳列しているのを見て、私は声を上げた。
「まあ、書物店だからな」
「フェルナンド王国ただ一つのお店に等しい場所だしね。だけど、やっぱり国室の書庫の方がたくさんあると思うよ」
城の中にある書庫にはまだ行ったことがないから、どのぐらいあるのかわからないけれど、ハデン王子の言葉にへぇ~と思いながら耳にした。
「あそこは建国してからの歴史を記したものの方が多いからな。その代わり、新しく生産される書物は書庫には入らないし、書架されるタイミングは結構時間が掛かっていると聞くしな」
「なるほど……。新刊は自分自身で買わないと読めないんですね……」
「そうだな。たまに書物店に顔を出してみると、いいかもしれないな」
「まあ、回ってみようよ。持ってないものがあるかもしれないし。ヒミコちゃんの知りたいこともあるかも」
「じゃあ一度、見て回ろうか」
「はい」
リッシャ―王子の言葉に頷き、私たちは棚が並ぶ道順に従い、店の奥に足を踏み入れた。
* * *
「うーん。いっぱいありすぎて、どれがいいのかわかんない……」
「気になったものを手にしてみて、違ったら元に戻せばいいと思うよ」
「それか、時間かかるだろうが、順々に見ていくかだな」
とあるジャンルに足を止めた私は、背表紙を一つ一つなぞりながら唸っていると、雑貨屋さんのごとく二人に囲まれて指南を受けた。
「まあ、国の歴史とか世界のことは、幼少のころから僕たちは叩き込まれてきたから、一通りは教えることができると思うよ」
「そうなんですね。でも、自分で調べたいので、分からないところがあったら教えて頂こうと思います」
「そっか、それでもいいと思うよ。まあ僕も一通り教えることができるといっても、僕自身苦手分野答えられる範囲は決まっちゃうだろうから……そこはリッシャ―か、僕たちにいろいろと教えてくれた先生がいるし、その人に聞いてみるといいよ」
「あ――あの人だな……」
「そうそう、あの人」
「あの、ハデン王子……。先生って言ってたあの人というのは?」
リッシャ―王子の何とも言えないような反応に頷くハデン王子に、私はどんな人物か聞いてみた。
「会ってからの方がインパクトが強いから、会ってみてのお楽しみってことで教えない。けど、名前はヴェルヴァラ、ヴェルヴァラ・ファニーズ卿っていう人だよ」
「むぅ……(ヴェルヴァラ・ファニーズ卿……)」
ハデン王子は意地悪で、名前だけしか教えてもらえなかったけれど、教えてもらった名前を心の中で反芻する。
「まあ、怖い人ではないから安心してほしい。とても面白い人だから話していて楽しいと思う」
「そうなんですね。会うのがとても楽しみです」
リッシャ―王子の補足にヴェルヴァラさんがいったいどんな人か想像して微笑んだ。
「とりあえず。この世界にはいろんな種族が住んでるんだ。その参考書籍なら、さっき見つけたからこれを読んでみるといいよ。家にある書籍は難しいからね。これならまだ簡単に覚えられると思う」
「俺は君の記憶が思い出せるように、何かいいヒントがあるかもしれないと思って、これを選んでみた」
二人は一冊ずつ私の手元に乗せていった。
ハデン王子から受け取ったタイトルは『超簡単! 世の中の種族大全集!』という名で、大全集とうたっているわけだから、分厚いかと思ったけれど意外と軽くコンパクトなものだった。
リッシャ―王子のは『記憶を思い出させる方法』と書かれており、ちょっと分厚くてどのぐらい項目があるのかさっぱり把握できそうにない書籍を受け取った。
「お二人とも、有難うございます」
受け取ったものは全く違うものでも、二人の気持ちが嬉しくて、私はお辞儀をしてお礼を言った。
とはいえ、まだ会計を終えていない物であるのはわかっていたので、私はめぼしい書籍を見つけて、受け取ったものと一緒に会計を済ませた。
そして、私達は書籍店を去り、時間もいい頃合いのため、お城へと一緒に帰ったのだった。
つづく
次回で、もう少し進展する予定(未)です。
新しい人物の名前を出しましたが、二人の先生とは一体どんな人物なのか、お楽しみに!!(次話に登場するかも!?←)




