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聖生誕

クリスマス用に書き下ろしました。

聖生誕と書いてクリスマスと読む……

あと少しでクリスマスは終わりを迎えますが、彼らのクリスマスは今からだ!!


そして最後に空白がありますが、少しだけ続いてます。


 街が、国が、彩られてて――とてもきれいで――。



「巫女様、今日は聖生誕ですので、街全体が一夜限りだけライトアップされるので、見てみませんか?」

「聖生誕? ライトアップ?」

 自室で朝食をとっていた時、キッシュさんの言葉に首を傾げる。

「聖生誕は聖人であった人たちが一同に介して生まれた時を祝うもので、今では聖人という人達はいませんが、それを祝うために、色鮮やかな光源を使って街をライトアップするんです。それで生まれた日は一日しかないので、一夜限りなんですよ」

 聖生誕という説明を聞きながら、私はなるほどなぁ、と納得した。

「あと、この日は特別なプレゼントをお世話になった方に贈る風習もあるんですよ」

「特別な……プレゼント……。二人に渡したら喜んでいただけるでしょうか……」

 キッシュさんの言葉を反芻しながら、リッシャー王子とハデン王子の事を頭に思い浮かべる。

「ええ、絶対喜んでくれると思いますよ。それで今日、街にお買い物しますので、巫女様も一緒に行きませんか? そこで王子達にお渡しするモノを選びましょう」

「はい!」

 口をついて出た私の一言に、キッシュさんはにこやかに微笑むと、買い物に誘ってくれて私は頷いた。





 朝から私とキッシュさん、その他数名のメイドさんと一緒に街へ買い物へ行き、お昼すぎまでお世話になった四人に渡すプレゼントの中身を買ってキッシュさんと合流した。

「巫女様、買いましたか?」

「はい、バッチリです」

 私はそれぞれ別の場所で男性ものと女性ものを買った2つの袋を見せた。

「あら? 王子達以外に上げる方がいるのですか?」

「はい、いますよ。誰、とはまだ言えませんけど」

「巫女様に貰える方がとても羨ましいですね」

 プレゼントを渡す女性の1人であるキッシュさんは頬に手を当てて白い息を吐いた。

 私はキッシュさんの手元を見るとたくさんの袋が下げられていた。

「キッシュさんもいっぱい買い物されましたよね」

「えぇ。いっぱい買いました。……さて、ほかのメイド全員揃い次第お城に戻りましょう」

「はい」


 待つこと数分でメイド全員が戻ってきて、私たちは街を後に城へと戻ったのだった。


 * * *


 日が落ちて夜になり、私はアリアッテさんとキッシュさんにプレゼントを渡した。

 キッシュさんはまさか自分が貰えるとは思っていなかったのか、目を見開き驚いて涙を浮かべながら感謝された。アリアッテさんは占いでそんな気がしてたと笑って言っていた。

 そして私は二人の王子を誘って、一緒にライトアップされた街中を歩いていた。

 昼間来た時とは違って、夜の街は色とりどりに飾られ、同じ場所だとは思えないほど街中は幻想的だった。

「いろんなバリエーションの飾りが色に彩られて、とてもきれいですね」

「あぁ、多種多様な形で見ていてとても楽しいな」

「うん。毎年やることとはいえ、毎回コンセプトとか違うから楽しめるっていいよね」

 二人に囲まれて感情を統一できているようで嬉しく思った。

「そういえば、中央広場に大きな木があるじゃん? あそこもオーナメントとか飾られてライトアップされているみたいだよ」

「そうなんですね。行ってみましょう!」

「そうだな」

 ハデン王子は思い出したように遠くに見える開けた場所を指さして、私たちはその場所へ向かった。

 

「わぁ……とても大きくて素敵!」

 たどり着いた広場にはたくさんの人が木の下に集まっていたけれど、それを光で覆い隠すようにたくさんのライトと光に反射してきらりと輝くオーナメントが飾られていた。

「しかし……よく見てみると、カップル同士が多い気がする」

「そういえば」

 リッシャ―王子の呟きにハデン王子は何かを思い出して、納得するように頷くと言葉を続けた。

「風習でお世話になった人にプレゼントを渡すという行為が、恋人同士で贈り合うと効果絶大というジンクスがいつのぐらいか出来てて、そのジンクスを受け入れて行動に起こしているみたい」

 確かにハデン王子の言うとおり、目の前のカップルがお互いにプレゼントを見せ合い、渡し合っている光景を目の当たりにした。

「……!?」

 そして、渡し合ったカップルは、人目を気にせず抱き合いキスをしていた。そんな彼らを直視できずほかの方へ視線を向けた。けれど、ほかの周りの人たちも同じようにしていたことで、結局俯くしかなく私は恥ずかしさに萎縮してしまった。

「ありゃ……、大丈夫? ここから離れようか?」

「いえ、大丈夫です」

 心配してくれたハデン王子に迷惑を掛けたくなくて、私は顔を上げてハデン王子にほほ笑む。

「そう? それならいいけど、無理しないでね?」

「はい」

「…………」

 私は意を決して周りのカップルを極力見ない方向で、二人と一緒に飾られた大きな木を見据えた。

 


 カップルたちがいた場所から移動して、イルミネーションの最終地点に着いた。

「あの、リッシャ―王子、ハデン王子。二人に渡したいものがあるんです」

 そこで、私は二人の方に向き、持っていた紙袋から二つ色違いのリボンでラッピングされた箱を取り出した。

「なに?」

「?」

 首を傾げながらきょとんとしている二人は私の手元を見ていた。

「今日、お世話になった人にプレゼントを渡す日でもあると聞いて、今朝お二人の為に買ったものです」

 二人分のプレゼントを持った私の心臓はドキドキと高鳴り、その音を落ち着けさせるために一度、深呼吸をして言葉を続ける。

「よろしければこれ……受け取ってください!!」

「…………」

「…………」

 腰を折ってプレゼントの箱を突き出すように二人に差し出した。

「……ありがとう」

「……まさか君から貰えるなんて……」

 私の手から離れていく二つのプレゼントの応酬にそれぞれ口に出た言葉を聞いて、私は姿勢を正した。

 二人の手には大事そうに抱えられたプレゼントがあり、私は安堵した。

「さ、帰ろう」

 二人はすぐに私が渡したプレゼントを開けることはしなかったけど、二人とも嬉しそうにしていたから、とても幸せな気分になりながら私たちはお城の方角へ向かって歩いた。







































 聖生誕が終わり朝を迎えると、私の枕元に二つのプレゼントが置かれていて、その二つとも手に取るとヒラリと一枚の紙切れが太ももへ落ちていき、その紙切れをみてみると執筆の違うメッセージが二つ書かれていた。

 その内容を見て、私は口元が緩んでいくのが分かった。そして、私は二つのプレゼントを胸に抱いたのだった――。


 おわり

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