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後日談 サーディス大陸編2

(´・ω・`)全部で5話くらいになる予定です

「本当にもう行っちゃうの? もう二、三年くらい城に泊まってってもいいのよ?」

「時間の感覚が俺と違い過ぎるわ! まぁまた今度遊びに来る。とりあえず今回も魔車、ありがとうな」

「いいのよ。じゃあお嫁さん達との旅、楽しんできてね」


 二日後、セリュー領を出発しエルダイン領へと向かう。

 あの有り様だったんだ、たった一年で劇的に浄化されたとは思えないが……まぁヴィオちゃんの働きに期待して向かうとしましょうか。


「こんな素敵な魔車、有り難う御座いますファルニルさん。返却の際はどうすれば」

「いいのいいの、適当にどこかの港に置いちゃって。たぶんこっちに送られてくるだろうから」

「へー便利だね。何か識別の魔術でも……あ、あった。信号を発生させている部分があるね。すごいなぁ……盗難防止にもなるし一石二鳥だね」

「……相変わらず凄い娘さんよね、平然とこっちの機密まで暴いちゃうなんて」


 でしょう。自慢の娘さんなんです。それに可愛い。


「エルダインは今全面的に改修工事の最中よ。治安面はマシになりつつあるけれど、純粋に建設作業や解体作業に追われているから危険よ、事故が多くて」

「なるほど。一応こっちからも人材やら医者、術師は派遣しているんだよな?」

「当然よ、同じ共和国民だもの。ただそれでも気を付けて。事故が多すぎるっていうのもあるし、色々あの場所が変わる事に不満を持つ人間だっているわ」

「……まぁそうだろうな。忠告、感謝する。何かヴィオちゃんに伝言あるか?」

「そうね、じゃあ秋になったら使者を送るから、領内にいるようにって伝えておいて」

「了解。じゃあな、ファルニル。世話になった」

「またねファルニルさん、また今度お話しようね」

「ありがとう御座いましたファルニルさん。では、失礼します」


 そして魔車は出発、一路エルダインへと向かうのだった。




「ところでリュエ。ファルニルは“ちゃん”じゃなくて“さん”付けなんだ」

「うん。だってあの人私よりも長生きしてるんだもん。魔力の質からして……二〇〇〇年は軽く過ぎてるんじゃないかな、生まれてから」


 何それ凄い。とんでもねぇお婆ちゃんじゃないか……いやそういう種族なのか……?


「私初めて見たよ、自分より年上の人なんて」

「確かにリュエよりもとなると……実はこの世界の最年長じゃないかと思っていました」

「俺も」

「……実は自分でも。いやあびっくりだね……いろんな種族がいるんだねぇ。ドラゴニアはたぶん、強さが寿命に直結してるんじゃないのかな」


 そんなリュエさんの年齢事情を聞きながら、エルダインへと向かうのだった。




 道中、以前は切り開かれただけで整備もされていなかった森の道を通ったのだが、今では微妙に整備され、多くの馬車や魔車が通った跡が見受けられた。

 それに以前……チセを含めて野営をした広場には、獣避けの柵がつくられ、立派な野営用広場として運営されていた。


「まぁ交通の面でもこの道は有用だしな。ここで一泊してから明日の早朝の出発しようか」

「そうしよっか。へぇ、前は壊れた馬車やら瓦礫やら散乱していたけど、綺麗になったね」

「交流が盛んになった以上、ここは中継地点としても重宝しているのでしょうね。見てください、あちらには井戸も掘られているようです」

「なるほど。けど利用者は俺達だけか……」


 まぁここはエルダインに向かう時にしか利用しないからな。

 ファルニルが危険だと言っていた以上、一般の人間はあまり立ち寄らないのだろう。

 ちなみに今日の晩御飯はヴィオちゃんに会いに行くという事で、彼女の好物である『カニチャーハン』と、中華料理が食べたくなったので同じく中華のおかずです。

『バンサンスー』と『肉団子』これ、小学校の頃給食に出た記憶がある。

 なんでバンサンスーなんてマイナーなメニューが給食に出たんだろう?


「チャーハン私好きかも……なんだろう、卵の甘味とこのスパイシーな香りとかが凄く好き……」

「実は俺も好物だったりする。小さいころは良く母親に強請ったものだよ」

「へぇ、そうなんですか? ふふ、では思い出の味なんですね」


 いやまぁうちの母親は手っ取り早くお弁当持たせるって意味も込めて、おかずなしでも喜ぶこれを持たせていたんだと気が付いたんですけどね。

 天国の母さん。貴方の息子は今、異世界で同じような理由でチャーハンを作っていますよ。


「このお団子も美味しい……アマカラ味っていうんだっけ? 私この味も好き! いいね、この味! 丸いハンバーグだと思ったけど、ちょっと違うし」

「チュウカ料理でしたっけ? カイさんのいた世界にはいろんな料理があるんですね……あの、マグロを使ったチュウカ料理というものは……?」

「うーーーーん……アレンジでマグロに変えた物ならいくつか思い浮かぶかな。うん、美味しそうだ。今度作るよ」

「本当ですか! ふふ、嬉しいです」


 俺も喜んでもらえて嬉しいです。酢豚の豚をマグロにかえたヤツとかどうだろう?

 シンプルにマグロチャーハンもなかなか……マグロのスープもアリだな。

 そんなマグロ中華の事を考えながら、野営地の夜が更けていく。

 周囲が森で明りもないからか、星が随分と綺麗だな――




 正午には到着したエルダイン領。

 主都であるこの場所は、確かにファルニルの言うように、街壁から何やらが全て取り壊されており、残っているのは大きな建物、元々貴族や実入りの良い人間向けの宿や酒場くらいなもので、あばら家のような建物はすべて取り壊されていた。


「……まぁ簡素な宿ってほぼ一〇〇%人身売買の温床だったみたいだしな」

「そうですね、コロシアム周辺以外はほぼすべてさら地に……同情はしませんけれど」

「あちこちで建設が始まってるね? でも……コロシアムだけもう建設が終わってない?」


 言われて気が付く。遠くに見えるコロシアムだが、明らかに以前よりも大きく立派な、石造りのコロシアムにかわっている。

 全部壊して、最初に作るのがあそこ、か。


「行き場を失った悪党とか、他の領地に溢れたらしないのかね。セリューは平気そうだったが……」

「対策なしって事はないんじゃないかな? もしかしたらヴィオちゃんが全員……始末したとか?」

「……あながち冗談では済まないかもしれないのが恐ろしいですよね」


 そんな恐ろしい予想をしながら街中を進むも、やはり以前のようにからんでくる住人はおらず、前はとてもじゃないがリュエやレイスには見せられなかったアダルトな通りも、今ではただのサラ地になっていた。うむ、怪しげな暗がりから手招きしてる全裸のお姉さんはどこにもいないな!


「カイくんどうしてそんなにキョロキョロしているんだい?」

「怪しい人間がいないか観察中」

「そうなんですか? ここって前はたしか……」

「痛い。小突かないで下さい」


 思い至ったレイスからひじうちが。ごめんなさい少し期待していました。


「……解放された奴隷がどうなったのか、気になっていたっていうのもあるんだけどね」

「あ……そうです、ね。ヴィオさんに話をきかなくては」


 領主の屋敷はまだ取り壊されてはいない様子だったが、あの屋敷とコロシアム、どちらに彼女がいるかと聞かれたら、当然後者なわけでして。

 まっすぐに俺達はコロシアムへと向かうのだった。




 コロシアムの盛況っぷりに引いてます。どうも僕です。

 街はほぼさら地だというのに、この場所だけ常軌を逸したレベルで賑わっています。

 荒くれ者とか全員ここにいるんじゃないでしょうか。


「えーと……コロシアムの戦績によって刑期が縮む……今やってる大会の出場者全員犯罪者かよ……」

「これはなんとも……敗者はその段階で地下牢に送られて作業員として労働……」

「これはあれだよね? 合理的って言うやつだよね?」

「非人道的ともいう。けどまぁ……前の状況から比べたら大分マシなのだろうか」


 とりあえず領主と面会したいと受付に言ってみたところ、『会いたいのでしたらトーナメントに出場して活躍してください。それ以外の方法では一切お取次ぎ出来かねます』とのこと。うわぁ……領主になったからとはいえこれは酷い。


「はい! 私出る!」

「おっと、まさかの立候補」

「リュエが出てくれるのなら私は安心です……私が出たらヴィオさん、絶対乱入してきそうですし」

「俺は出ても良かったけど、リュエはどうしてまた?」

「こういうの出て見たかったんだ。エキシビションでしか戦った事ないんだもん私」


 ……心配だ。全員コテンパンに倒してしまいそうで。


「リュエ、やり過ぎない事。使って良いのは魔術と普通の剣だけ。OK?]

「おーけー! 魔術で作った氷の剣だけで戦うよ」

「ならばよし。じゃあ早速受付しようか」


 どうやら今行われている犯罪者トーナメントは、毎日行われている行事らしく、この後に外部から参加者を募うトーナメントが行われるのだとか。

 当日募集で即日大会なんてかなり無茶に思えるのだが、優勝賞金が結構な額である事から、参加者には事欠かないのだそうだ。

 予算はどこからーとも思ったのだが、その日の観客の入場料、そして選手の参加料金で普通に儲けが出ているのだとか。


「はい、では受付が完了しましたので、選手登録を済ませた方はあちらの控室へ移動してください。控室内での私闘は即失格、罰金が科せられますのでお気を付けください。また話しかける行為も原則禁止となっております」

「はーい。じゃあカイくん、レイス、行ってくるね」

「ほどほどにな、リュエ。殺さないように」

「ルール上試合中の殺人は事故と見なされます。気を付けてくださいね」


 ニコニコと控室へと向かうリュエ。不安だ。凄く不安だ。


「では観覧席のチケットを取りましょうか、カイさん」

「あ、そういえば前に貰ったこれって使えるのかな……」


 以前、ヴィオちゃんに貰ったVIP席の利用パスを提示してみる。

 もう建て直されてしまっているが、使えるだろうか?


「あ、勿論使えます! では今係の者に案内をさせますので、どうぞごゆるりとお楽しみください」

「使えたわ……ラッキー」


 VIP席は以前同様、豪華な内装の施された個室になっており、大きなガラス張り一面からフィールドを見下ろせるようになっていた。

 しかも遠見の術式も組まれているらしく、かなり大迫力の試合観戦が出来そうだった。

 そしてまだ犯罪者トーナメントが行われている関係で、割とスプラッタな光景が映し出されております。


「これが犯罪者の決勝戦か。あー……瞬殺だよこれ」

「……ある意味、犯罪者の処刑を犯罪者に任せている、という事なのかもしれませんね」

「なるほど。さらにそれを見せものに……たぶん浄化の意味も込めた一時的な催しだろうけど、中々に悪劣な事を考えるな、彼女も」


 そうして犯罪者による見世物が終わったところで、メインイベントであるトーナメントの開催が宣言される。

 こちらは毎日行っている物ではないらしく、週に一度だけなんだとか。

 ちなみに『第四八回』とのこと。つまり一周年というわけだ。


「だからこんなに盛り上がってるのか……セミフィナルの七星杯を思い出すね」

「ええ。ですがこの大会には、命を守る為の仕組みがありません。……彼女風に言うのなら、温くありません。これはかなりの激戦が予想されます……」

「さらに言うなら途中棄権は……違約金を支払う羽目になる、と。まぁリュエなら問題ないとは思うけど」


 そう、本当に心配する必要がない。というかそもそも観戦する必要性すらないのだ。

 戦いなんて成立しないし、相手が死ぬことだってない。そして虐殺なんて事もおこりえない。リュエだから。

 そして案の定、リュエは順調に勝ち進み、全ての相手を一瞬で戦闘不能に追い込み、無傷で撃破という、観客からしたら称賛するべきか、虐殺が見られないと罵倒をすべきか分からない試合模様を繰り広げ続けていた。


「ん、ここのオードブル美味しいな……酒も中々……」

「カイさん、もう試合見る気ないじゃないですか……」

「ちゃんとリュエの試合は見るよ。他の人間はまぁ……興味を引く選手がいなくて」

「確かにそうですけど……あ、私も頂きます。……良いブランデーですね」


 ストレートでグビグビ飲まないで下さい。お酒に強すぎるでしょ貴女……。


「決勝が始まるね。ええと……リュエの相手はダークエルフさんだね。あれは戦士だろうか」

「ここまでの試合を見た限りでは戦士ですよ。巨大な戦斧を扱っていますが、恐らく魔法で身体を強化しているんでしょうね」

「なるほど……ふむ」


 恵体……というべきか、ナイスバデーというべきか。相変わらずダークエルフの皆さんは発育が宜しいですな。

 しかし自己強化か……俺にも出来るのだろうか?


「試合が始まりましたね」

「そして終わったね。ダメだ、やっぱり試合に出しちゃいけない子ですねこれは」

「手加減はしているんだと思いますよ、お相手さんも生きていますし……」

「アルヴァと戦った時みたいにとはいわないけど、もっと試合を見せるように戦わないとだなぁ……」


 結果、流石に大ブーイングでした。決勝までこれじゃあなぁ……。

 なんだかもの言いたげな様子の司会進行役から、優勝賞金を受け取るリュエ。

 大勢のブーイングに囲まれながらも、嬉しそうに賞金袋を掲げて消えていく彼女を迎えに行くべく、ロビーへと向かうのだった。


「なーんかあんまり歓迎されていなかったよ私」

「そりゃみんなは試合を見に来たのに、試合になってないんじゃなぁ……」

「あ、そっか。お金貰う事しか考えていなかったや」

「そ、それはさすがに……ですが、これできっとヴィオさんに会えますよね!」


 受付嬢に聞いてみたところ、ドン引きした様子で取り次いでくれた。

 どうやら彼女は屋敷でも闘技場でもなく、ここの地下にある地下牢で、囚人たちにここでの取り決め教え込んでいるのだとか。おーこわい。




「お兄さんじゃん! そっか、取り次がないようにそんな命令だしてたっけ。いやーごめんごめん」

「いや別にそれは構わないんだけどさ。それよりエルダインの状況はどんな感じだい? 地上の方は大分変った様子だけど」


 地下牢から戻って来たヴィオちゃんと共にVIPルームへ。

 そこでここ最近の様子を聞いてみたのだが――


「都市の取り壊しが完了。今コロシアムを中心に新しい街造りを始めてるんだ。元々犯罪者の行きつく先がこの場所だったからさ、全員掴まえて、使えそうなヤツを外に出しつつ、手配されていた連中は各領地に引き渡して、残りは闘技場で使い潰すつもり。安心してよ、残ってるのは全員クズだからさ」

「さすが、甘さも容赦も一切ないね。それで、元奴隷の皆さんやら娼婦の皆さんはどうしたんだ?」

「奴隷は全員解放してもよかったけど、この領地じゃ面倒見切れないからね。教育が必要な人間はサーズガルドの方で預かって、そのまま新設する港? なんか新しい街造りの労働力にしてるんだってさ」

「マジか。ダリアがそんな奴隷労働なんて真似してるのか」

「さぁ、さすがにそれはないんじゃない? 大方、三食宿付きで面倒見てるんじゃない? 報酬は新しく出来た街で暮らす権利とか言って」

「だといいが。……まぁ聖女だからな」


 驚異の強制労働。休んだ人間は地下送り! みたいなどこぞの逆境無頼な事をしている可能性も捨てがたい。だってダリアだし。


「ま、そのうち様子を見に行くさ」

「で、お兄さん達はどうしてここに? もしかして大会出てくれるの? だったらちょっと今ここに集まってる連中じゃ話にならないでしょ?」

「いんや、顔見せに来ただけ。ついでに何か困った事でもあれば手伝おうかな、と」

「お、本当? ならゆっくりしてってよ。そろそろ外国からお客も来るんだ、出迎えたら驚くんじゃない?」

「お? なんだ、なにか予定でもあるのかい?」


 ニマニマと笑みを浮かべるヴィオちゃん。その何か悪だくみでもしているような笑顔に、こちらもついわくわくしてしまう。


「なんかさー、向こうの大陸、セミフィナルから『レン』って子が来るんだって、修行の為にさ。大陸にはもう着いてるはずなんだけど、ちょっと到着が遅れてるの」

「マジでか! そうか……レン君か。久しぶりだな」

「なんでも人と会う為でもあるんだって。この街が約束の場所らしいんだけど」

「ほほう、こっちに知り合いでもいたのかレン君。まぁいいや、楽しそうだし暫くここに滞在するよ。それで、仕事とかあるかい?」


 働かずにだらだらっていうのも都合が悪い。

 いやぁ……ファストリアで過ごした一年間、常に何かしらの仕事に追われていた所為か、一か所に留まるとどうしても何か仕事をしていないと落ち着かないのだ。

 前じゃ考えられないな、ダラダラ旅するのが生きがいだったのに。


「うーん……じゃあ夜の見回りとかお願い出来る? 実は幾つかの建設現場で不審な事故が起きてるんだよね。ここの連中使ってそういう警備とかしてみたんだけど、やっぱり元が悪人だからさ、イマイチ信用出来ないんだよね。かといって外から来た戦士をこういう仕事で雇おうとしても断られちゃうし」

「まだまだ課題は多そうだな……街が完成する前から自警団を組織するってのも手だけど」

「人手がねぇ……宿舎だって用意出来ないし」


 まぁ今この街に集まってるのは、そういう仕事を求めてる連中じゃないし、どうしてもしっかりとした設備や手当が保証された上で、外部から雇うしかない、か。


「分かった。じゃあ少しの間だけ俺が見回りしておくよ。俺とリュエ、レイスの二人組。これで見回れば大丈夫でしょ」

「大丈夫? 一応夜に女が出歩いて平気な程治安が回復したわけじゃないんだけど」

「しつこい連中を見せしめにしてもいいなら問題ないよ?」

「……リュエお姉さんさらっと恐い事言うよね。うーん……やっぱりまだ私が勝負挑むには早すぎるかな」

「ふふん、実はさっきも大会で優勝してきちゃった」

「え!? リュエお姉さんが出たの!?」

「悪い、俺が出るべきだった。良い感じに試合盛り上げたり出来たんだ、俺だったら……」

「……じゃあさっきの大会は……?」

「ブーイングの嵐。リュエが戦った試合は全部二秒以内に試合終了だった」

「げぇ!!! もー! お姉さんあんまりだよそれは!」


 ヴィオちゃんのぽかぽかパンチ。

 リュエは凄く申し訳なさそうだ!


 その後、どういう経緯でレン君が来る事になったのか、そしてその後共和国はどう変化したのかを尋ねてみる。


「半年くらい前にさ、ギルドの総帥、オインクさんだっけ? あの人が共和国の領主会談に外部参加者としてきたんだよ。ほら、港がノクスヘイムに出来たでしょ? それについての会議に、隣の国の代表って形で来たんだ」

「へぇ、豚ちゃんここ来たのか。で?」

「うん。その時にさ、レンとその仲間が、見聞を広める為にこっちに来るから、もしよければそのうち面倒を見て欲しいって。私としてもあの子のガッツは評価しているし、磨けば光ると思うし、ここで戦う人間が増えそうだしって事で了解したんだよ」

「なるほど。で、さらに追加で人と会う約束をしたと」

「そ。今日は来ていないんだけど、たぶんその待ち合わせ相手かな。可愛い女の子が最近うちのコロシアム盛り上げてくれてるんだよねー」

「ほう、レン君女の子と密会か。これは修羅場の予感がするな」

「カイさん……そんな嬉しそうに言う物じゃないですよ……?」

「そ、そうだよ! 私はてっきり、あの取り巻きの子……金髪で元気な子と仲良しなんだと思っていたけど」


 いやぁ、中々にプレイボーイじゃないですかレン君。お兄さん君と再会するのが俄然楽しみになってきましたよ!


(´・ω・`)2/29はつばいの書籍版10巻もおろしくおなしゃす

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