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少女の心情
「…ったく、なんであたしがこんなこと…」
国家人間狩り計画本部の会長を父に持つ少女ーイアはそう愚痴をもらした。
父であるサト=クライルを中心に成り立つ世界政府の一つである国家人間狩り計画本部。
そこに勤めるイア=クライル。13歳。誰よりも父と兄と政府に忠実な少女。そして、残念な少女。人々はそう呼んだ。
なぜなら
彼女は人間狩り計画が大好きなのだ。
(愚かな人間どもを生贄にしないでどうするのよ。計画に反対派が多い?…ふざけてるわ、父様のこの計画に反対だなんて…)
彼女は大切な人間以外が生贄になろうがどうでもいい。
大切なのは父と兄に忠誠を誓うことーそれだけを心にして生きてきた。
だから彼女はそれなりに武術にも優れており、冷静な判断力ができるのだ。
ー大切なもの以外には