連鎖
連鎖
26班はワンボックスから降りると再びクレーターの前に立っていた。マンションがあったという痕跡もなく、クレーターの中を警察関係者が調べ回っている。
「これはさっきとは規模が段違いだな。クレーターのサイズが違うか。」
「だけど今回は被害者でてますからね。これで容疑者が犯行を止めるか、それともさらにエスカレートしていくか。前者だったらよいんですが。」
警察関係者も26班もクレーターを捜査するが、たいした証拠も見つからず時間だけが過ぎていく。その時、特局から連絡が入り霰がすぐに対応する。
「班長、容疑者が警察に脅迫電話を。現金で三億円を要求してきたようです。容疑者は手始めにコンビニに爆弾を仕掛けたと。まだ受け渡し方法などは指定されてないようです。」
「なかなか大胆な犯人だな。それで犯人の特定は可能そうか?」
「それは少し難しいみたいです。人通りの少ない公衆電話からかけてきてすぐ切ったみたいです。」
「そうか。手始めって事はこれからが本番って事か。」
勇司と久信はクレーター内で捜査していたが、無線で呼ばれワンボックスに戻っていた。
「なあ、久信。残念ながら後者だったな。」
「そうですね。どこにでも頭のネジの足りない人はいるものです。」
久信は勇司を見ながら軽い笑みを浮かべている。
「おいおい。なんでこっちを見てるんだ?ネジは足りてるぞ。」
「そういやあなたの歩いた後、歯車が落ちていたような。これでは茶運びができないので、壊れたからくり人形になってしまいましたね。」
「もうちょい高性能だわっ!弓も引けるぞ。」
勇司と久信が不毛な会話を繰り広げていると、元が次の指示をだす。
「よし、ここにいてもこれ以上進展はないな。容疑者も浮かんだし、爆弾を仕掛けられたコンビニに行ってみるか。」
26班はコンビニに向かい、サイレンを鳴らしながらワンボックスを走らせた。コンビニを囲むように警察官が配置され、コンビニはすでに無人になっている。
ワンボックスから降りると26班は警官にIDカードを見せ、コンビニに近付くが久信が皆を止める。
「これ以上は近付かないほうがいいですね。少し建物全体に違和感を感じます。中の商品にも同じ違和感を感じる品がありますね。」
久信が眼鏡を触りながら特技を使っている。
「それが容疑者の特技か。じゃあしばらくはここで待機だな。」
四人がコンビニに見ていると、入り口から右に入ってすぐの雑誌が爆発を起こし、すぐにその横の雑誌の誘爆を引き起こす。そして爆発が爆発を呼び、蛇腹にコンビニを進んでいく。レジまでが爆発を起こし、一瞬爆発は止まる。コンビニの店内に、無事なものはもう一つとして残っていない。
そして一瞬の静寂の後、店全体が軽く揺れる。激しい光、衝撃、音と共にコンビニは姿を消した。
「目の前で見るとなかなか強烈でしたね。また残っているのはクレーターだけですか。」
久信が冷静に爆発を見つめていた。霰は勇司の後ろに隠れながら爆発を見ていたようで、勇司の服の裾を掴む手に力が入っている。
「勇司君、すごい爆発だったね。こんな近くで見たの初めてだったよ。」
「たしかに。あんまり見たいもんじゃないけど、こんなのどうやって逮捕すればいいんだろうな。」
勇司と霰はコンビニのあった場所をずっと見つめている。元は26班と同じく爆発を見ていた警察関係者の所へ行き、袋を下げて三人の所へ帰ってきた。
「とりあえず避難するまえに警察からの指示で防犯カメラの映像はあるみたいだ。一旦帰って犯人特定するぞ。」
26班は再びワンボックスに乗り込むと、特局に急いで戻るのであった。




