0班
0班
翌日の朝、元以外の三人が揃うと昨日の事件の話しになった。
「昨日の黒い服着た娘すごかったねー。あたしより年下かな?」
「たしかに強かったですね。だけどたしか班長、美優姉と呼んでたから班長より年上なんじゃないですか?」
「そんな風には見えなかったけどなー。可愛かったし。勇司君は何か知ってる?」
霰からの質問に勇司は特局にきた初日を思い出す。
「そういや一回だけ見た事あるな。たしか0室ってとこの前で見た気がする。」
0室と聞いた途端、久信と霰の表情が驚きに染まる。
「0室ですか。ではあの強さも納得ですが勇司さんも流石ですね。」
「なにが流石なんだよ久信?」
「ロリコンの鏡だなと思って。ちゃんと自分の職場で自分のタイプはチェック済みですか。仕事が早いですね。」
「誰がロリコンだこらっ!」
霰は勇司を見ながら自分の体を抑えている。
「やっぱり勇司君はロリコンさんなの?もしかしてあたしもチェック済みなの?」
勇司は霰の姿を見ながらも、少し可愛いなーと見つめていた。
「勇司さん、そんなに霰さんを見てたらロリコンの病がうつってしまいますよ。」
「うつらねえし、ロリコンでもねえよ!ただ可愛いと思って見てただけだよ。」
「そんな可愛いなんてー・・・、だけどあたしを可愛いっていう人はロリコンだから気を付けなさいってお姉ちゃんが言ってたし。って事は勇司君もお姉ちゃんもロリコンさんなのかな?」
霰はニヤニヤしたり悩んだりと、かなり忙しそうだ。勇司はなんとか話題をロリコンから変えようと話し出す。
「そーいや昨日の中年だらけの将棋大会みたか?」
「それですか。たしかにシーズン9は悪くはないんですが順調に勝敗つきすぎていまいち盛り上がりに欠けますね。」
霰も通常の状態に戻り、話しに参戦してくる。
「だけどあたし、あの62歳の人の指し手好きだよー。62歳が中年なのかは謎だけど。」
「たしかにあの人はおじいちゃん感が強いよな。とりあえずシーズン10に期待だな。来シーズンには海外から強敵が登場らしいし。」
三人が来シーズンの天望を話していると、26室に元が入ってきた。
「よし、とりあえず昨日はお疲れさん。さっそくだが訓練室に行くぞ。帽子のお礼に美優姉が訓練つけてくれるらしい。」
元は三人を引き連れて、エレベーターにむかう。
「なあ、親父昨日のあの人誰なんだ?」
「美優姉か?あの人は局長とは別の、昔の俺の上司だよ。」
三人はやはり元より年上だったのかと驚く。
「やっぱりあの見た目ってのは特技の関係なのか?」
「それがやっぱり気になるか。あれは元々だよ。昔あった時から1日たりとも老けた姿見た事ないからな。」
元は懐かしそうに昔を思い出している。
「それにしても半端なく強かったな。」
「そりゃそうだ。ああ見えても0班の一員だからな。」
その言葉を聞くと、久信と霰は納得している。いまいちよく理解できない勇司は質問した。
「まずその0班ってのはなんなんだ?」
久信は勇司を見ると一つ大きなため息をつく。
「やっぱりあなたは知りませんでしたか。学校で幼児の事ばかり考えているからですよ。0班とは特局設立と同時に編成された班で、0班のメンバーであればどんな凶悪事件も一人で解決できるという凄まじい特技を持った班ですよ。簡単にいえば一人軍隊とでも言いましょうか。」
勇司はようやく理解ができ、そしてエレベーターは訓練室に到着する。
そこには訓練室のど真ん中で天蓋付きのベッドで眠り込む黒マントの少女の姿があった。




