部隊
部隊
間違いなく全身を狙われている勇司は、前方を見渡し溜息をつく。
(はぁ・・・、多いなこりゃ。俺一人に血税が使われまくってるぞ。それにしてもどこの部隊だよ?あんな武器持ってる部隊なんて警察にあるのか?)
きっかけは後方で現場を見渡している一人だけヘルメットを被っていない、四十は超えているであろう厳しい顔つきをした男からの指示であった。
一斉に銃口から弾丸が吐き出され、避ける隙間もないほどに押し寄せるが、勇司は相手の装備を見た時から避ける選択肢は頭になく、特技を使う。
【喫煙室】
地面から透明な壁がせり上がり勇司を囲むと、破られる事なく銃弾を受け止め続け、ついでとばかりに手榴弾が三つほど投げ込まれた。
「まったく派手な攻撃しやがって。ここが日本って事分かってんのか?だけど脱出チャンスだな。」
爆風と飛んでくる手榴弾の破片を喫煙室の壁は受け止めると、勇司は白い煙草に火をつすぐに備え付けの灰皿に捨てると喫煙室を消失する。爆発で舞い上がる塵に紛れて外に出た勇司は、一目散に山の中に戻って息を潜めた。
すると、またもタイミングを計ったかのように無線が鳴り、響き渡る音に慌てて無線を繋ぐが何の声も聞こえない。
そして突然後ろからは肩を叩かれた。
「ウォッ!」
驚きながら振り返る勇司の先にいたのは久信であり、軽く微笑みながら無線を耳に当てている。
「お元気そうでなによりです。」
「びびったわっ!寿命が一週間は縮んだぞ。」
「それはおかしいですね?あなたの寿命の灯火は八年前に消えているはずですが。」
「まだまだ燃え盛っとるわ。・・・今は少々消えかかっているが。」
無線と話し声を聞きつけた黒ずくめの部隊は、木の後ろに隠れていた二人を完全に囲み殺気立った気配を隠そうともしない。
「これはこれは。やはり貴方ですか住吉さん、父が頭を抱えていましたよ。」
攻撃の指示を出そうとしていた住吉は、久信の顔を見た途端に一度部隊の攻撃を止める。
「君の父上の顔を立てて、君を狙わなかったんだ。今更もう遅いが。」
すぐに部隊に攻撃指示を出そうとする住吉だが、様々な場所に見張りのため配置していた兵から連絡が入り、上空を見上げると何かが落下してきている。
素早い判断で部隊を下がらせると、巨体の男が降ってきて木をなぎ倒し、更地へと変える。
着地した道着姿の雄山は、勇司と久信の襟首を掴むと離れた場所へと投げ捨てた。
「猫扱いかよっ!」
「とりあえず一応の脱出は完了ですね。」
飛んでいく二人を小さな影が飛び出し、大の大人を二人キャッチすると見事に着地する。
「・・・無事?」
小さく口を開く黒マント姿の美優が二人を地面に下ろしながら尋ねると、二人は頷き遠くの辰雄を見つめた。
一人で部隊を前に立ち塞がる辰雄を見ていた二人に美優が声をかける。
「辰雄ちゃんなら問題ない。ただの不沈艦じゃないから。」
いまいち言葉の意味を掴みそこねる美優の言葉に勇司は首を捻りながらも、頼もしい辰雄の後ろ姿にあまり危機は感じないのであった。
主人公のターンはたいした見せ場もなく終了です。
最終話までに見せ場があるのかは我ながら謎です。




