釣果
釣果
「何人いるんだよっと!」
勇司は左の前蹴りで相手を突き放し、大勢を低くしながら前に出ると大振りなフックを上から被せる。
こめかみに強い衝撃を受けた柔道着の男が倒れ込むと、膝を顔面に容赦なく落とす。
「久信よ、このままじゃ保たないどころか明日は朝起き上がれないな。」
そう言いながらもすでに周囲に追手の姿はなくなり、久信はせっせと動きを止めた追手を拘束バンドで縛り上げている。
「手錠では間に合いませんね、バンドは嵩張らないので助かります。それにしても目的が分かりませんね。」
「確かにな。もしかして暇なのか?」
「それすらも答えの候補に入れるほどに動機が不明瞭です。特局が標的であるならば黙って狙った方が確実ですし、もしや本当に暇潰しでしょうか?」
二人は頭を捻り考えていたが答えは出ないまま時間は過ぎていく。そのまま歩いていると二人を待ち構えるように、半透明のレインコートを羽織る小柄な男と上下トレーニングウェアでフードを深々と被る痩せ型の男が道を遮るように立っていた。
久信が足を止め道を塞ぐ二人を見ると、勇司もすぐさま軽く身構える。
「間違いない、あの二人か。高山久信と橋中勇司、写真の通りだな。足ひっぱるなよ。」
「五千もらえるんだからやるよ。かなり
割のいい仕事だし。」
二人の言葉に勇司と久信は気付き、更に警戒を強めていく。
「ようやく現れていただけましたね。少し本命に近付いたようです。」
「だな、五千ってまさか五千円じゃないよな。88万から値上がりしたもんだ、俺出世したな。」
「ですが足止めという言葉が少し気になりますね。どこに行くのを足止めしようというのでしょう?目的地など今のところ・・・」
すると二人の情報端末に同時に連絡音が鳴り、画面を見た途端顔を見合わせて頷いていた。
「あきらかにこれだな。」
「まさにこれですね。」
二人の情報端末には雪達の乗るフライトプランの時間変更が送られてきており、0班へ今の任務の対処と共に空港へ護衛に行くようにと記されている。
「久信お前行け。ここは俺がなんとかジタバタしてみるよ。」
「それはいい考えですね。ですがそこのお二人は我々の事をすでにご存知のようです、対策を練られていると見て間違いないでしょう。」
その時突然の変化に気付き二人は空を見上げる。頬に水滴が落ち、久信の眼鏡を雨が濡らした。
「温度が下がり、気圧も変化しましたね。雨は苦手なのですが。ところで本当にお任せしても?」
「ちょっと勘弁してください。俺は更に雨どころか湿気にすら弱いんだぞ。対策練られるとかどうこう以前に、分かりやすい弱点だな俺ら。」
少しずつ雨は強くなり、四人を中心に土砂降りと言える程の天候に様変わりしていく。
あまり時間を取ることのできない戦いに二人は少し焦りながらも、目の前の相手との相性の悪さを感じ取り慎重に動き出すのであった。
久々の主人公です。たまには活躍させたいけど、活躍する予感はなしです。
かるーく読んでいただければ幸いです。




