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特技の使い方 〜吸えない煙草〜  作者: cozy
吸えない煙草 第一章 入局
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顛末

顛末


翌日には局長の勝義より勇司達に、処分が言い渡された。


雪は1ヶ月、情報室にて謹慎。外出禁止で、全班の書類整理も任される事となった。

26班の面々は1ヶ月の再訓練、さらに全員に減俸3ヶ月の処分が下された。



勇司は再訓練を受けながらも、この前勝義との会話を思い出していた。


「勇司君が気絶させたという黒山という男だがな。搬送班に確認したんだが、どうにも確認できないらしい。」


「どうゆう事ですか?」


「まあ、簡単に言うと逃走を許したと言う事か。なぜか、解体されていたビルの残骸も確認したが、死体などは発見されなかったから、見落としって事はないだろう。」


「自分が甘かったですね。ちゃんと確保しておけば。」


「まあ、それはしょうがないさ。それにしても【隠蔽】とはやっかいな特技だったね。」


勝義は二枚のDVDをヒラヒラさせながら言う。


「また、報告書DVDだったんですか?」


勇司の質問に、勝義は苦笑いを浮かべる。


「謹慎を言い渡したからな。少し暇だったらしく、今回はなぜか上下巻だったよ。そしてパッケージもばっちりだ。タイトルは、《四騎士物語、塔に閉じ込められた姫を救え》だそうだ。」


「それは見るの、お疲れさまでした。」


「まあ、それは構わないんだがよく勝てたな。今後また遭遇する機会があるかもしれない、そうなった時のためにも再訓練に励んでくれ。」



勇司は治りかけている傷を見て黒山の事を思い出す。


(やっかいだったな。どっちかと言えばこの前のは逃がしたから負けか。再訓練で勝てるようになるかも謎だが、やるだけやってみるけど、なんとか赤煙を使わず、勝ちたい。苦労せずに勝ちたい。ちゅうかもう逢いたくない。)


勇司はよくわからない決断をし、再訓練に励んだのである。




とある再訓練期間中、食堂に勇司と霰がきていた。


「いらっしゃい、今日はどうするかい?」


近代的な建物である特局に似つかわしくない、完全に昭和の居酒屋な雰囲気の食堂にきていた。

声をかけてきたのは食堂のおじちゃん事、金子 和男、特技は【厨房掌握】である。


「ねえねえ勇司君、たしか前に奢ってくれるって言ったよね?」


「確かに言ったがもしかして、今か?このお互い減俸の中、今なのか?」


霰は満面の笑みを浮かべ、勇司を見ると元気に頷いた。


「おじちゃーん、X定食一つください。」


「これはなかなか久々の注文だな。本当にいいのかい?今日のはそこそこ高いぞ。」


X定食は時価なのである。勇司は懐を気にしながら青ざめ始めた。


「霰さん、霰さん。それはどうなんでしょうか?今はこの黒豚御膳、1200円などもオススメみたいですが?」


「勇司君、勇司君。たしかX定食を奢ってくれるって言ったらしいね。お姉ちゃんが教えてくれたよ。」


そうこうしてると、いつの間にか厨房が居酒屋から鉄板焼スタイルに変わっている。


「今日のX定食は鉄板焼です。じゃあお客様、ご注文をどうぞ。」


「じゃあまずは、えーと黒豚下さい。」


(おいっ、じゃあ黒豚御膳でいいじゃねえか。)


しかし、その後は豚、牛、鳥と交互に霰は食べ続け、お腹をパンパンにしている。勇司はお財布の中が気になり、自分の食事所ではない。


「ごちそうさま、勇司君。じゃあ明日もよろしくね。」


「えっ?もしかして明日もX定食なの?」


「そうだよー。覚えておいてって言ったでしょっ!じゃあ訓練に戻らなきゃ。」


霰は食べた直後にも関わらず、元気に走って訓練室へと戻って行った。


「兄ちゃんもなんか大変そうだな。まあ、しょうがねえ。ちなみに今回は値段はこんなもんだな。」


勇司は財布と会議を始める。しかしながら会議は難航し、残念ながら会議は破談したようだ。


「すみません。財布の中身が少し足りないんですが・・・。」


勇司の会議の結果を聞くと、和男は少し考えてから勇司にある提案を伝える。


「たしか兄ちゃんは今謹慎中で、事件はなにも担当してないんだよな。なら少し相談があるんだが。乗ってくれるなら、今日と明日の分はこっちで持つぞ。」


勇司は断れるはずもなく、和男の相談に乗るのであった。




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