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特技の使い方 〜吸えない煙草〜  作者: cozy
吸えない煙草 第二章 26班
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脱出

脱出


久信は噛まれる瞬間の勇司を見ずに、逆の通路に走り出していた。そしてまばらになった感染者の間をすり抜けていく。


(昨日よりはやはり動きが緩慢になっていますね。そしてあの騒ぎにもかかわらず、感染者があの部屋の前から動かないとなるとあそこですか。)


手を広げ掴みかかってくる感染者の白く濁った目と久信は視線を合わせた。


【視界操作・焦点】


久信は進むスピード変えないが、感染者は久信が近づく前に広げた両手を抱え込み少し戸惑っているようだ。そのまま久信は横をすり抜けるが、さらに伸ばす感染者の手も空を切り、ロングコートを翻し久信は進んでいく。


(本番では初めての使用ですが上手く行きましたね。この粘土に囲まれている場所であれば噛まれても大丈夫という安心感が大事なんでしょうか。)


次々と通り過ぎる感染者達と久信は視線を合わせ、体を触れることもさせず前進していく。そして五体の感染者が開いている扉の前に立っている姿を見ると一度目を瞑り、白く濁った5対の眼と視線を交わすと特技を使う。


【視界操作・狭窄】


久信はいきなりしゃがみ込むと、感染者達の視界からその姿を消す。そして低い姿勢のままスタン警棒を取り出すと五体の感染者達の後ろに回り込み、スタン警棒を首筋に当て動きを止めていく。


そして部屋に入るとそこには後ろ手に手錠をはめたまま、床に置いた食パンにむさぼりつく制服姿の寺塚の姿があった。久信の姿を見た瞬間、手を使わず器用に立ち上がると黒い目のまま歯をむき出しにして飛び掛かってくる。


「これはこれは、はしたないですよ。」


久信は迫ってくる寺塚の襟首を掴んで接近を阻止すると、粘土の上から手首を噛まれるが気にせずロングコートの中から麻酔銃を取り出し腹にむかって二発撃ち込んだ。


「これは少々予想外ですね。麻酔銃では効果がありませんか・・・。」


暴れ続ける寺塚を肩に担ぐと、久信は駆け出し外に出た。その姿を見た感染者達は我先にと久信目掛けて殺到し始めるが、粘土で出来たロングコートの中からありったけの発煙弾を投げ込むと、煙の中階段にむかって走り始めた。


途中寺塚を取り返そうと迫る感染者にタックルを入れ強引に道を作り、そして階段を上に駆け上がる。しかし、寺塚を抱えているためスピードの上がらない足を感染者に掴まれてしまう。すると膝から下の粘土を外し、感染者は下にいた感染者を巻き込みながら落ちていった。


そして久信は下を見ずにスタングレネードを後ろに落とすと、一段ずつ音を立てて落ちていき、感染者の群れの中で爆発しその動きを鈍らせる。

その間に久信は屋上の扉にたどり着くと一気に飛び出す。そこには十数体の倒れ込む感染者の姿があるが、驚く暇もなく扉を閉じ何かつっかえ棒になるものを探すがそこにらさらに驚く事態が待っていた。


【真銀煙・溶接】


口から吐き出された銀色に輝く煙は、扉とサッシの隙間に入り込むとその二つを繋げその形に固まる。そこには甲冑姿でアゴに小さな噛み傷が残る勇司の姿があった。




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