第1章 遭遇 ~Prelude~
グロテスクな表現が出てきますので、苦手な方は読むのをお控えください。
「本当に良い星あるのかよ?」
珪都は朝食のトーストをかじりながら、眠そうな目を何とか開けていようとしている。
「当たり前だろ。あんなゴミゴミした都会の星より良い星はいっぱいあるって。」
その向かいに座って同じくトーストを食べる芳樹も目が起きていない。
珪都たちは宇宙船にいた。
壁、床、天井、全てが白く、それを照らす照明をしっかり反射してくれるので寝起きにはツライ。
操縦室の扉が圧搾空気の音と共に開き、優香が顔を出した。
「珪都、芳樹。良さそうな星が見つかったよ。」
「マジか!」
芳樹が眠い目を全開にして操縦室へ駆け込んでいった。
少々呆れつつ、珪都も後に続く。
「どれどれ?」
「ほら、この星。」
優香が指差すモニターには、紫色の星が映し出されていた。
「大気とかは?」
「バッチリ、人間が住んでも問題ナシの状態だよ。」
親指を立てて明るく言った。
普通星は大人の技術者達が数ヶ月かけて開拓し、そこに移住するという形をとっている。
待っている間は仮設の人工衛星で暮らし、環境が整い次第住む事が可能になるのだ。
だから未開拓の星で人間の住める環境を持ったものは珍しい上、大人のいないこのパーティーにはうってつけである。
「よっしゃ、早速着陸だ!」
芳樹がはりきって操縦席に座った。
この宇宙船は前住んでいた星で、3人がかりで盗んできたものなので、操縦の仕方は適当である。
3人が席に着き、宇宙船は着陸態勢に入った。
すぐに大気圏に突入し、摩擦熱で視界は灼熱に染まる。
だが数分後には安定し、ちょうどいい平地で無事着陸―――するハズだったのだが。
渇いた大地に強烈な轟音がこだました。
地面にぶつかって大破した宇宙船から3人はどうにか脱出した。
「イテテテ…、大丈夫か?」
一番に出てきた芳樹が珪都、優香の手を引っ張り上げた。
「芳樹、ブレーキは3人でやらないとちゃんと着地できないのなんて常識だろ…?」
「どうするの? この星から出る手段が無くなっちゃったよ。」
優香がおろおろしながら言う。
だが芳樹は全く気にしていない様子で、
「まぁ良いじゃねえか、また盗っちまえば。それよか、早くこの星を…」
明るい口調が徐々に暗くなっていって、やがて消えた。
どうしたのかと思い、周りを見渡して、珪都と優香もようやく分かった。
崩れかけたビルに民家などが不規則に点々と立ち並ぶ、だだっ広い荒野。
道も舗装されておらず、建物間の距離も少し長めで空虚な雰囲気を漂わせている。
人が住んでいる気配は全く感じられなかった。




