第8話 遺跡調査クエスト with a lady
翌日、フィランデルから移籍へ続く道の入り口でカボディアと待ち合わせをした。
「お待たせ、待った?」
「なにデートみたいなこと言ってるの? 彼氏気取り止めてよね」
「全然そんなつもりないよ」
「なっ…!!! あんたねぇ!!!」
やはりこの人難しい。もっと言葉に気を付けながらしゃべらないと。自分は転移する前は驚愕だったものの、部活は基本写真系の部活で基本的に女性との関わりがなかった。さらに、大学に行ってからも学部は工学系だったため、女性が少なくサークルもまた女性が少ないところに入ってしまったため、本当に今まで女性との関りがなかった。だから、話し方が分からない。
「ちなみにあんたこれまで何して過ごしてきたの?」
「僕は、小中高そして大学を進んでちょうど勉強のさなかでこっちに転移したんだ。そして中高と大学では写真が趣味だったんだよ。」
「本当にあんた外の世界から来たのね。聞いている感じだと、大学はこっちで言うところの最終学問学校ってところかしらね。ということはあんた結構頭いいのね。で、写真って何? なんかの芸術のみたいなやつ?」
「先に大学のほうから話すね。あっちの世界の大学は、昔は一部の人しか入れなかったけど、今はもうお金を払えばだれでもはいれるところなんだ。自分がいたところは試験を二回受けないと合格がもらえないところだったけど。次に写真について、写真はそうだね…結構芸術と言われれば近いかも。基本的には、カメラっていう機械を使って様々な風景だったり人物を撮影するんだ。このカメラって機械、ボタンを一つ押すだけでその瞬間を切り取って一瞬で絵を描くことができる代物なんだ。だから、こっちの世界でもあるのかわからないけど、ずっとその場所にとどまって風景画を描いたり、人物のモデルを同じポーズのままにいさせるっていうのが必要ないんだ。すごいでしょ。」
「そのカメラ?ってやつがこっちの世界に来たら画家の仕事無くなりそうね。もしかしてあんたがそのカメラっていう機械を作ったの?」
「いや、カメラメーカーがあって、その会社が作ったのを買って使ってるだけ、ちなみに大学に入ってからはバイトで稼いだ自分のお金で買ってるよ。」
「あんたが作っていないならすごくないじゃない。見え張らないの。でも、そういうのを自分のお金で用意するのは好感が持てるわ」
「ありがとう こっちの世界に来るときにカメラ一つ持ってくればよかったな~当時は寝起きで気付かなかったし。」
「じゃあいつかあっちの世界に戻って、またこっちの世界に来れたときは見せなさい。」
「はい!仰せのままに」
そういって、ティアと雑談を続けながら遺跡へ向かった。そうして、約30分ほど歩いて今回の目的地である『トレン遺跡』に到着した。この遺跡はすでに最深部まで探索されているものの、未だに探索されていない箇所が多いのと、一部の場所のみ構造が絶えず変化する関係で、結構な頻度で遺跡探索のクエストが出ている。ちなみに今回向かうのは最深部ではなく、中腹にある二股の道の最深部と逆方面である。何度か訪れた人がいるものの、そのたびに報告書の内容が異なるため、今回もこのクエストが依頼された。
「このあたりは結構浅い部分とはいえども他の遺跡に比べて罠の量が多いから細心の注意を払って進むのよ。」
「オッケー気を付けるよ。」
「軽いわね、そんなんだと死ぬわよ。まあ私は清々するかもしれないわ」
「ひどい…」
そんな感じで軽口を叩きながら遺跡の中を罠を突破しながら進んでいった。いや~まさか本当に漫画に出てくるような壁から矢が飛んでくるとか、石を踏んで落とし穴ができるとか、後ろから大岩が追いかけてくるとかみたいな罠あると思わなかった。面白いなこの遺跡。それはさておき、調査地の二股路に差し掛かった。
「ここからは本当にわからないことだらけになるから今まで以上に慎重に進むわよ」
「イエッサーボス!」
「ふざけてると見捨てるわよ…」
「はい…すいません…」
「ん? ここって…まさしく迷路って感じだわね、早速目印を置きながら前へ進むわよ」
「迷路には左手の法則っていうのがあるのは使わないよね?」
「何それ?」
「左手を壁に着けたまま歩き続けると必ずゴールに到着できるっていう方法なんだけど、よく迷路で使われる。」
「つまりそれってしらみつぶしに色んな道を行ったり来たりするってことよね、途方もない時間がかかりそうだからやめておくわ。」
「了解」
「目印にはこの色を付けた石を置いておくわ。あんたにも半分くらい分けておくから二手に分かれて捜索するってことでいいわね? 私はこっち行くからあんたはそっちお願い」
「り」
そういって二手に分かれて迷路の探索を始めた。迷路の探索を始めてしばらくして、気付いたのは、この迷路には全くというほど罠が存在しないということだ。だから、簡単に探索が行えている。しかし、行き止まりがあり、そこから引き返したときに置いたはずの石が無いのだ。少し不安になり、その場で立ち止まって周りを観察すると、たまに迷路の壁の一部が動いていることが分かった。それも、基本的に人から見えないように動いている。しかし、今は僕が動いていないために、迷路がもう見えないと判断して壁を動かしているのだろう。ちなみに、僕に渡された石は青に塗られており、ティアの石は赤に塗られている。この時、壁が移動したことで赤い石が置いてあるのが確認できた。つまり、入ったらよほどのことをしない限り抜け出せないということだ。そうこうしている内に入り口ではない場所でティアと再会した。
「あら、また会ったわね。どうして? ずっと石を置いていたはずなのに。」
「ちょっとここで待ってみて」
すると、今まで1か所の身の壁が移動していたが、今度は2か所同時に動き始めた。このことから、この壁は迷路に入った人数分だけ壁を動かすということだ。これでは、左手の法則が使えない。また、壁の動く頻度は大体1分に1回程度、動く場所はそのプレイヤーの死角から1か所ランダムという法則があることが分かった。ということでいったんティアと作戦会議をすることにした。
「どうするのよ、あんた大学出ているんでしょ、考えなさい」
「今考えているところ、ちなみに戦闘系のスキル何できる?」
「私は剣術を習っているわ、ちなみに大剣や両手剣のようじゃなくてただの大きさの剣よ、自慢じゃないけど、私こう見えてフィランデルで最も剣術がうまいって言われてるの。だから、その気になればあんたなんて一瞬で命を奪えるのだから、言葉遣いには気を付けておくことね。」
「あの、普通に怖いっす。で、今思いついたんだけど、その剣を使ってこの壁を破壊することはできる?」
「ちょっとやってみるわ」
そういって背中に背負ってあった剣を取り出し、黄土色の壁に向かって思いっきり斬撃を与えた。すると、壁は1枚壊れた。しかし、壊した部分はすぐに修復し元通りになってしまった。破壊不能である。
「これ出来ないんじゃどうするかね、うーん」
「早く思いつきなさい。私たちこのままだとミイラになるわよ。」
「分かってるって、そうだ、また二手に分かれてちょうど壁が動いた場所を通って、そこを通ったら止まってまた動く壁があったらそこを通るを繰り返してみよう。」
「本当に大丈夫でしょうね?」
「知らないね。とりあえずやってみるしかない。」
そういって、再び二手に分かれて動く壁の方向へ向かった。すると、二人同時に迷路の反対側へたどり着いたのだ。
「やったー!! 到着した!!!!」
「あんたにしてはよくやったじゃない。褒めてあげる」
「ありがと、素直に受け取っておくよ」
そういって道の先を見ると、到着した喜びも束の間、その先には何やら不思議な絵と英語?らしき言語で書かれた文章が書かれていた。
「」
2話目もお読みいただきありがとうございます。なんとか2話目間に合いました。明日からはまた毎日更新に戻しますのでよろしくお願いいたします。改めて、二日連続で更新が止まってしまったことをお詫び申し上げます。それではまた。
メモ
トレン遺跡:フィランデル郊外にある中規模の遺跡。そのアクセスの良さから多くの冒険者が探索を行い続けているものの、未だに不明な場所が多い。この遺跡が出来たのは大体1000年前ほどであると研究者によって判明している。




