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ボルカノ物語  作者: winger86
第1章 始まりの地 アパランティア地方
5/9

第5話 シチーム街道

 僕は、ギルドで冒険者登録を終えるときに、証明書とともにゴルドナ中の街道や町が載っている地図ももらった。見た目は厚さ3cmほどでB5と結構ボリューミーだったりする。そりゃユーラシアより広いんだから当然だけども、やっぱり重い。最初に向かうフィランデルまではさすがに1日で到達できないので、ここからその町までを最短で結ぶこの『シチーム街道』を通ることにした。オキシールさん曰く、『一番平坦で一番安全なルートよ』とのこと。ただ、昨日の噴火の影響もあるため、実際の状況は分からないんだそう。ともかく、このルート上の一つ目の町であるブリーデまで向かうことにした。


「じゃあ、いってきます!」

「気を付けていってくるのよ~何かあったらいつでもここに帰ってきていいのよ、ここピーツはもうあなたの故郷なのだからねぇ~」

「はい! ありがとうございます!」


 そういって、第2の故郷となったピーツ村を後にした。ブリーデまでは道のりで約110kmありつつも、地図にはこの先のモンローからブリーデまでの無料高速馬車が出ていると書かれていた。


 小一時間ほど歩き、モンローにつくとやや簡素な作りの木製馬車ではあるものの、車輪にゴムタイヤがくっついている馬車を見かけた。これである。早速、身分証代わりの冒険者証を提示し、さっそく乗り込んだ。中は、通勤電車のロングシートのようになっていて、全部で15人は乗れそうな大きさだ。他にも複数人の乗客が乗り込んできた。ドアが閉じるとすぐに馬車は移動を始めた。速度としてはゆっくり走る観光の蒸気機関車と同じくらいの時速20kmほどに感じた。ブリーデまでは4時間ほどでつくんだそう。


 外の景色を眺めていると、今まで白い世界が広がっていたのが、急に緑が増え、植物が青々としていた。その景色の移り変わりに驚いた。そうこうしている内に景色に飽きてしまったので、ふと他の乗客が気になり、少し観察してみることにした。やはりこの世界の人たちはみんな揃って西洋の顔だちをしており、鼻は高く、目が大きい。髪色は人によって異なるが、大体ブラウンから金髪の間の人が多い。服装は基本冒険に必要な長袖シャツとズボンという格好で、人によっては権を持っていたり、盾と斧を持っている人もいた。もしこの人たちに襲われたらひとたまりもない。それに気が付いた僕は、なるべく目立たないように馬車の座席の隅っこに小さくいることにした。しかし、すぐに隣に座っていた剣を持つ若いきれいな金髪の男性に話しかけられた。


「本日はどちらから?」

「え? ああ、ピーツからです。」

「あの、アパランティアで最もきれいな森林を有する村ですね。あそこには2回ほど訪れたことがあったんですが、のどかでいいところですよね。」

「そうですね、僕も初めて見たときは思わず目を見張りましたね。ちなみに、あなたはどちらから来られたんですか?」

「私はここから少し離れたクルーランドというところから来ました。申し遅れました、冒険者で剣士をやっておりますジルと言います。」

「ああこちらこそ、僕はリオです。よろしくお願いします。」

「はい、こちらこそちなみに今はブリーデからさきフィランデルまで向かう最中なのですがあなたは?」

「僕も同じです。ただ、冒険者なり立てであまりよく分かっていないんですよね。」

「でしたら、フィランデルまで一緒に向かいましょう!」

「いいんですか? 心強いです! ぜひお願いします!」


こうして、フィランデルまでの冒険者仲間ができた。ワンチャン魔物とか出てくる可能性があったから助かった~本当にありがとうジルさん。そのあとは、ブリーデに到着するまで談笑しあった。


「ここのことはどのくらいご存じですか?」

「いえ、全くですね」

「なら紹介がてら少し見て回りましょうか」

「いいですね、そうしましょう」

「じゃあまずはブリーデの名産から見ていきましょう」


そういって連れられたのはイタリアンレストランだった。どうもこの近辺は、郊外のほうに水はけのいい丘があり、そこからとれるオリーブを使った料理が振る舞われているとのことだった。イタリアン料理に使われるパスタやマカロニといった小麦を使う料理は近辺の都市から小麦粉を取り寄せているらしい。ちなみに、こっちの世界でもオリーブはオリーブと呼ばれていた。不思議な話だ、世界が変わっても名前が変わらない実があるなんてね。


「今は大体お昼なんでちょうどよかったですね。」

「そうですね。私ここのオリーブを使った料理が結構気に入っていてね。クルーランドからフィランデルに向かう際は必ず寄ることにしているんです。」

「ここのオリーブを使った料理、オリーブの香りがしっかり効いていてどの料理も同じレシピでも1段階ぐらいおいしく感じます!」

「まさしくその通りだと思います。このあたりでしか取れないオリーブは他の地域よりも香りが強く、それでいてえぐみが少ない。そのために、ここのオリーブオイルはブランド品としてゴルドナ中に販売されているんですよ。」

「この大陸中ってすごいですね…ってことは高級食材を使った料理ってこと!?」

「はは、まあそういうことになりますね。」

「あ、どうしよお金少しだけもらったけど、足りない…どうしよ」

「それならここは奢りでいいですよ。」

「ええ?いいんですか?」

「はい、さっき馬車内でのお話が面白かったお礼だと思って受け取ってください。」

「ううっっ…あ”り”か”と”う”こ”さ”い”ま”す”…」

「お気になさらず、でも、この先の路銀が心配ですよね。なら今日はここで泊まることにして路銀稼ぎにクエストでも受けに行きませんか? もちろん同行しますよ。」

「クエストとか自分が受けれるのか心配だったんでありがたいです…」


結果として、今日はクエストデビューdayとなった。その後、二人とも料理を完食し、レストランを後にした後、ブリーデのギルドへ向かった。そこにあったのは、クエストでお馴染みのランク制度である。この世界では、冒険者にランクはないが、クエスト難易度にはランク差が存在する。もちろん、僕は初クエストなので、一番簡単なものからやることにした。これもお馴染み薬草採取である。先ほど登場したオリーブが特別おいしいにもある通り、このあたりの土壌は特徴があるそうで、ここで生えている薬草も固有種が多く占めるんだそう。この薬草は、ゴルドナの様々な研究所から採取を頼まれるため、このギルドで最も数が多く、安定して収入が多いのも薬草採取だったりする。あれ?そういえば昨日の火山灰でダメになっているのではないかと考えたが、ここブリーデはフィランデル方向に山脈が存在し、その山脈によって火山灰のを含む噴煙が遮られたことでそこまで大きな被害は出なかったんだそう。そして、クエストの受付を完了し、ジルさんとクエストに向かった。


「今回の依頼はブリデール草を2cm束5本を採取すること、だそうですね。」

「結構条件細かいんですね。」

「まあ科学者は何に使うかわからないですからね。とりあえずブリデール草の生息地を教えてもらった通りに向かいましょう。」

「そうしましょう!」


そういって、ブリーデ郊外の森林を30分ほど歩くと、クエスト依頼書の絵と同じ見た目の薬草がたくさん生えていた。


「まずは照合のために香りをかぎましょう。この草のにおいは…やや酸っぱさがあり、爽やかな香りがするとのことですね。」

「結構曖昧なんですね。」

「それを回避するために実物サンプルも用意されていますね。嗅いでみますか?」

「やってみます!」


そういってサンプルを嗅いだ後、その薬草を嗅ぐと同じ匂いがした。


「これで間違いなさそうですね。では採取していきましょう。」


二人で手分けして薬草を採取し、採取用の袋に詰めた。


「これにてクエスト完了ですね。あとはこの薬草をギルドまで届けるだけです。」

「やっぱり一番簡単なクエストなだけありますね。」


そういって来た道を戻ろうとした矢先のことであった――


『ギエエエエエエエエアアアアアアアアアアアーーーーーー!!!!!!!!』


突然大きな動物の叫び声のような音が聞こえた。と同時に足音がどんどんこちらに近づいているのも感じた。そして、後ろを振り返ると、全身が青い羽根で覆われており、ダチョウを一回り大きくした動物が現れた。


「初モンスターバトルって感じだ…」

「ここは私が時間を稼ぎます…! その間に町まで逃げてください!」

「ジルさんはどうするんですか?」

「とにかく逃げるまで時間を稼いで、その間に倒せれば万々歳ってところですね では早く逃げてください!」

「分かりました! ジルさん! どうかご無事で!」


そういってジルさんから回れ右をし、街の方向へ全速力で走った。

本日も読んでいただきありがとうございます。

明日の投稿に関しては、投稿主が多忙のため、1日のみお休みいたします。

少し投稿期間が空きますが、しばしお待ち位だ抱きますようお願いいたします。

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