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【ボツネタ救済】『遅刻常習犯が立派なテイマーになるまでの物語。』③

~前回までのあらすじ~

遅刻常習犯の高校一年生である鷹見葉太は、登校中に未来から来た自身の使い魔、リーフと遭遇する。

どうやら未来の葉太が、強すぎるテイマーの力のせいで、その力を欲した各所からの攻撃により大ピンチの模様。

それを助けるためにリーフがタイムスリップしたらしい。

一連の説明を受けた葉太は困惑するも、ライトノベルで培った知識により、即座にリーフとの契約を了承する。

こうして、遅刻常習犯の駆け出しテイマー(Sランク)の物語が幕を開けたのだった。



衝撃的な始業式の翌日、俺の朝のルーティンは劇的に変わった。


まずは学校に着かなければならない時間の20分前に目を覚まし、身支度が終わり次第イタチのような相棒と学校にワープである。


そうはいっても、これは念力と高速移動の合わせ技なので、正確にはワープではないらしい。


というわけで、今日は非常に早く学校に到着。ワープ先は大宮学園高等学校の旧校舎である。


窓から外の時計を見ると、8時半。


昨日ならまだ駅にいる時間である。


室内なのに心地よい風を感じる……


早起きは3本の徳だな。


「何を脳天気なこと言っているんだ」


俺の清々しい気持ちを一瞬で打ち壊したのはリーフだ。まったく、これだから心の読める使い魔は…


「あのね、まず、早起きは3本の徳っていうのは3ついいことが起こってからいう言うものだ。今日はまだ清々しくなっただけじゃないか!」


今日のコイツは当たりが強い。


と言っても出会って1日しか経っていないが……


昨夜から俺のアホっぷりに腹を立てているようだ。


『国家機関を目指す者なのに。これじゃあ君が死んでしまうよ!』


とは昨夜から数えてもう4回くらい聞いた言葉である。


しかし、未来で俺の使い魔をしていたなら、慣れていてもいいと思うのは我儘だろうか?


「我儘だね。そもそも未来の君は割と頭は良くなっている。」


「そうなの!?」


「ああ。国家機関に入るために頑張って成績は上げたんだ。遅刻回数がオーバーしてて手遅れだったそうだけど…」


「なるほど。だから俺のアホっぷりに慣れていなくて、機関に入れるか怪しいから機嫌が悪かったのか。」


「ずっとそう言っているだろ!」


「そうでしたっけ」


「あー、もうこれダメかな」


「そんなこと言わないで!?」


遅刻しないように世話を焼いてくれるのはありがたいが、少々口調がキツくないか、?


もっと優しくしてくれてもいいと思う。


俺、主人だし。


「っと、そろそろ教室に向かった方がいいんじゃないかい?」


落ち着きを取り戻したリーフがそう尋ねてくる。


「そうだな、俺の優等生生活スタートだ」


「気が早い」


「すみません」


俺たちはその流れのまま人通りがあるところまで軽口を叩きつつ教室に向かった。

 


 放課後、俺は今朝登校に使用した旧校舎に立っていた。


帰宅もリーフの能力を使うためだ。


別に、普通に帰ってもいい。いいんだけど、よくないのだ。


せっかく目の前に喋るタクシーがあるのだから利用しない他ない。


最初は彼も乗り気ではなかったようだが、明日以降の体力温存や宿題の有無を理由に土下座して頼み込んだら承諾してくれた。


楽したいというのが本音だが、心を読めるリーフが承諾したなら深く考えなくてもいいだろう。


承諾の決め手は執拗な土下座である。


心が読めるリーフには正々堂々とした交渉じゃ立ち向かえないので、「めんどくさい」と思わせることが重要だ。


こうして勝ち取った家までの切符で、俺は一瞬で自分の部屋にワープをした。


まだまだ残暑が厳しいのでエアコンをつけながら荷物を下ろす。


そのタイミングでリーフが俺に問いを投げかけた。


「ご両親は今はいないのかい?」


「ああ、うちは共働きだからな。今日は遅くまで帰ってこないからしばらくは姿を消さなくても大丈夫だぞ。」


「君にしては気が利いた発言じゃないか」


「いちいち気に触る言い方をするな!」


リーフの発言が気に入らなかったが良しとしよう。


さっきも言ったが、今日は両親共に帰りが遅い。


それが意味することといえば、今夜はここが俺の家になると言うことだ。


リーフとも出会ったばかりなんだから親睦でも深めてみようか……いや、ムカつくのでやっぱりいいや。


まずは晩御飯を食べるとしよう。自炊もありだが…


「おいリーフ!」


俺はある計画を実行するために、キッチンで勝手に牛乳を飲み始めたリーフを呼ぶ。


なんで牛乳なんだ。


それと、ちゃんとコップに注いでいるのが見ていてとてもシュールだ。


「皆まで言わなくてもわかるぞ。少し遠い飲食店にワープで移動して食事を取ろうって言いたいんだろう?」


「さすが話が早い!じゃあ頼ん…」


「だめだ」


仕方ない…ここはまた土下座でなんとかしよう。


「やめろ!そんなに軽々しく頭を下げるんじゃない!この能力は登校と緊急用だ!下校は百歩譲っていいとして、飲食店へ向かうための足代わりは絶対に許さないぞ!?」


ー30分後ー


「うっまぁ!」


先程まで説教をしていた口が、北海道にある大人気のラーメン店の味噌ラーメンを啜っている。


埼玉県から出発したのに、三十分でラーメンにありつけているのに感動を覚える。


「はらな、言ったろ?絶対後悔しないって!」


「確かに美味しいけど…明日も平日だよ?」


「いいんだよ、行き来は不便ないんだから。それに、身を預けるパートナーなんだからこうやって同じ飯を食って親睦を深めるのも大事だろ?」


「馴れ馴れしくするな!」


そんなことを言っているが、なんやかんやで嬉しそうなリーフを見ていて気づいた。


「お前、今周りには見えないようになっているんだよな、? てことは、俺って…」


「あぁ、ラーメン2人前を注文して独りごちる変質者だね。」


急にラーメンの味がしなくなってきた。


さっさと食べて帰って寝よう。


「そうはさせないぞ!贅沢した分、今日は勉強だ!」


「あー、はいはい…」


「はいは一回!」


「はーい」


「伸ばすな!」


「いちいち厳しいイタチだな」


「名前で呼べよ!」


「メンヘラかっつの。」


「君ってやつは……!!」


その後も、決して会話の内容の質が上がることはなかったが、自然とラーメンの味は復活していた。ちょっとは親睦深まったのか…


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