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【ボツネタ救済】『遅刻常習犯が立派なテイマーになるまでの物語。』①

私が人生で一番最初に作成した物語です。


少し手直しを加えて、なろうに載せられるクオリティにしたので、是非読んでやってください。


陽の光が眩しい。


カーテンを閉めずに寝てしまったようだ。


昨日の記憶を掘り起こしながら、自らの体もベッドから起こす。


「そうか、夏休み昨日で終わったんだ。」


9月1日、午前8時。


大宮学園高等部、1年B組に所属するこの俺、鷹見葉太(たかみようた)はこの日、寝坊をした。


急いで身支度をしながら、昨日の出来事を思い浮かべる。


数学、歴史、読書感想文の宿題を残して迎えた夏休み最終日。にも関わらず、昼間にはそれに手をつけることなくのんびりと過ごしてしまった。


夜の9時から残りの宿題を始め、時刻は日を跨いで午前2時半。


ようやく宿題が終了した安心感で眠りについた。


数日前にエアコンが壊れていたので、窓を開けて勉強をしていた。


かろうじて窓を閉めたものの、カーテンがそのままだったようだ。


昨日の記憶が整理され、目が冴えてきたところで、俺は家を後にした。


午前7時15分、俺は駅のホームにいた。


数分後にやってくる電車を待ちながら、用もないのに携帯電話を弄る。


何気なく開いたSNSの画面に表示された俺のアイコン、友達リストは殺風景で、登録しているのは4人。


うち3人は家族で、もう1人は幼馴染だ。


幼少期からの付き合いだが、最近は連絡どころか街でも見かけない。


近所に住んでいるのに、高校に入ってからは一度も見かけたことがないので不思議だ。


あちらが少し遠くの高校に転入したからと言っても、昔の仲の良さからは想像ができないほどの現状だ。


親も幼馴染については話題に出してこないし、幻だったのではないかと疑わざるを得ない。


俺は友達と呼べる人物が含まれない自身の人間関係にため息をつきながら、いつの間にかに到着していた電車に乗り込んだ。


「次は大宮、大宮です。」


車内アナウンス独特の声が響く。


いつものように大宮駅で降りる。


人混みが落ち着いた場所に行くと、現在時刻の確認だ。時計の針は8時半をとっくに過ぎている。


いつもと比べて大幅な遅刻だ。


そもそも、学校には9時までに着いていなければならない。


この後、20分以上バスに揺られて学校に行く。


事情を知らない人が見れば、間に合うと思うだろうが、正直に述べると怪しいラインだ。


なぜなら、学校行きのバスはそんなに都合のいい時間にやってこないからだ。


いまからバス停に向かっても、次のバスは15分後とかだろう。


案の定、数分で到着する都合のいいバスは見当たらない。


同じ制服の仲間を見つけても、奴らはチャリ通学なので仲良くなることはできない。


遅い時間に来るとこうなるのは、過去数回の遅刻により私も承知していた。


本能が叫んでいる、もう間に合わない。


その時、残暑が厳しい9月上旬にしては冷えすぎた風が全身を包む。


風の来る方向がわからない。


不思議に思って自身の両肘を抱えた瞬間、ジェットコースターのような浮遊感と疾走感が身体を襲った。


そして視界は激しい光に包まれ、思わず目をギュッと閉じた。


目を開けると、ビルが立ち並ぶ大宮駅の風景からは一変し、目的地の学校の目の前にいた。


慌てて辺りを見渡す。何が起こった?


すると、耳鳴りのような現象が起こり、風により木々が揺れる音や、自動車の排気音が遮断された。


こういうの、小説で読んだことある。


しばらくすると、耳には人の声が聞こえた。


その声は、どこか人を小馬鹿にするような口調でこう言っている。


「どうだ、便利だったろう?鷹見葉太くん。」


辺りを見回すと、声の主どころか、耳鳴りがあるまで確かに存在していた人間や自動車の姿が見当たらない。


テレパシーってやつか。


名前を呼ばれたし、俺に話しかけているのは間違いないだろう。


そう考えて、俺はその声に向かって1つ質問をした。


「今の現象は一体なんだったんだ、誰かによって引き起こされたものなのか。そしてなぜ俺の名前を知っているんだ。」


本気で返答を期待するほど俺は馬鹿じゃないが、声は通じたようで、しばらくしてまた声が聞こえてきた。


「僕の仕業さ。遅刻をしてしまいそうだったからね。君に遅刻をされると僕も困るんだよ。名前を認識している件は追々説明をしよう。」


俺は、次々に浮かぶ疑問の解消に努める。


「なぜ俺の遅刻でお前が困るんだ?」


その謎の声は少し悩むように間を開けて、再び喋り出す。


「それはまず、僕の正体を明かさなければ説明ができない。」


「だったらさっさと正体を教えてくれ。」


俺は答えを急かして呼びかける。


そして、やたらと偉そうな口調で言葉を続けた。


「僕は未来の君の使い魔、リーフだ。」


「は?」


一瞬外国語を話されたと思った。未来の俺?使い魔?…悪質な冗談か何かか?


なんだそのSFじみた展開は。


まず、未来って使い魔とか普通にいるのか?そして、名前がリーフって…葉っぱって意味だよな、俺でもわかるような英語だ。


ダサすぎる。


そんな俺の疑問が見透かされたかのように、リーフとやらは怒りを抱いた口調で叫びだした。


「ダサくねえし!」


その一言を放って気分がスッキリしたのか、その後からは真剣な口調で説明を始める。


「ここから数年後の近い未来では、人間が思い描いた生物を具現化する力が一部で普及し始めたんだ。

思い描いた見た目、能力で。」


そしてリーフが覚悟を決めたような口調で


「出現」


と言った直後に、俺の目の前に頭に葉っぱが生えたイタチのような獣が出現した。


そしてそいつは、先ほどまで自身の耳に聞こえていたのと同じ声で続ける。


「そして、その現象によって生まれた獣を人は使い魔と呼び、僕は未来の君が作った使い魔だ。また、そんな使い魔をつくり操るものを人々は能力者とよんでいる。」


おそらくはこいつがリーフだろう。


葉っぱが生えているからリーフとは、なんと安直なニックネームなのだろう。


「うるさい、未来の君がつけた名だぞ。」


まただ。俺の心の声と対話しているかのような返事。


もしかしてこいつ、人の心を読めるのか?


「ご名答。僕の能力の1つだ。」


なるほど、便利な能力だ。


俺は絶対いらないけど。


だって心を読んでも悲しくなりそうだし。


しかしなんだ、未来では平凡以下な俺でも使い魔なんてものを操れるようになるのか。


しかし、油断のしすぎは良くない。


特殊なコスプレかもしれないし。


ある程度の疑心暗鬼は捨てずに聞くよしよう。


俺はヤツの正体が分かった(?)ところで、保留にしていた疑問を再び頭に浮かべる。


「未来がどうとか、使い魔だとか、そういう話はまあ、信じてないが理解はした。だが、なんで俺の遅刻が関わってくるんだ。」


リーフは覚悟を決めていた力強い口調から、話しかけてきた時と同じ口調に戻ってまた口を開いた。


「そう焦らなくても、今は僕の能力で作った隔離空間にいるから遅刻の心配はないので安心してくれたまえ。」


隔離空間…?


現実では聞かない単語が多すぎる。


が、なんとなく理解できる。


ラノベの読みすぎだな。


今居るこのやたらと静かな空間のことを指しているのだろう…たぶん…


間違ってたら恥ずいなこれ。


とにかく順番に疑問を解消したいところだ。


「コホン…」


リーフはわざとらしく咳払いをすると、説明を始めた。


「君は数分後に使い魔を作る能力が覚醒する。しかしその力は偉大且つ危険なもので、沢山の人間に狙われることになるんだ。」


俺は驚きを感じながらも、話の続きを聞く。


「僕は君の力を悪事に利用しようとする者から守るため、君に使い魔の取り扱いを専門に行う国家機関に入ってもらいたいんだ。だから、その組織に入るための成績と評定を確保してもらうために遅刻は許されないんだ。」


「はぁ…すまん、話が急すぎて飲み込めない」


「そう思われても仕方ないと思う…だけど、君を守るために、未来の君が僕にそう指示を出した。使い魔である以上逆らうことはできないんだ…どうか、ここは飲み込んで欲しい。」


俺は小説をたくさん読み込んでいる。


中でもラノベは大好きで、もし自分がSFっぽい状況に巻き込まれても、対応できると自負していた。


だが、いざ巻き込まれると冷静ではいられないものだと実感した。


なんせ、何もかも捨てて戦うことができれば楽なのに、目の前に現れたファンタジーは俺に勉強をしろと言っているのだ。勉強って大事だな。


よし、勉学の重要さを理解したところで状況を整理するとしよう。


俺が数分後に使い魔とやらを操る能力が覚醒し、危ない奴らが狙ってくる。


その脅威から俺の身を守るために、未来で追い込まれている未来の俺がこのリーフという使い魔を現在に送り込み、俺を国家機関に入れようとしている。


しかし国家機関に入るためには十分な評定を確保する必要があるから、今後の遅刻は許されないということか。


一部説明が不鮮明な部分は想像を付け足したが、大体合っているだろう。


その説明なら名前を認知されている件も合点がいく。


なるほど、なんとなく分かった。

…気がする。


だけど俺は遅刻常習犯だから、今更しっかりやっても無駄な気がしなくもない。


…が、しかし!先ほども述べた通りに俺はこんな非現実的な状況が大好物だ。


俺は恐怖を興味が塗り返す感覚を覚えた。そして気づかないうちにこう返事をしていた。


「わかった。そう言うことなら、俺もできることをする。」


決まった。


いや、決まってしまったというのが正しいだろうか。


面倒ごとに巻き込まれた主人公のど定番セリフを堂々と言ってしまった。


「そうこなくっちゃ!」


リーフは元気に返して見せた。


「じゃあ契約だ」

そう言ってリーフは自分の前足を差し出す。


契約、、まさか、リーフを俺の支配下に置くことができるとか、ラノベでよくある展開か!?


「勘が良くて助かるよ。昔から君は変わらないんだね。」


ってことは俺、未来でもやっぱりラノベが好きなんだな。


心の内で未来の姿を想像しては、変わり映えのない見た目に勝手に苛立ちを覚えたので、その想像は早々に終わらせた。


そして、俺は目の前の人懐っこい顔を向ける獣の前足と握手をした。


いや待てよ、?握っているのは前足だから握手とは言わないのかもしれない。


「契約成立だ。そして君はたった今、使い魔を作り出し、操る力を手に入れた。」


「これでもう、お前を操ることができるようになったのか。」


「そゆこと!」


国家機関やら何やら、初めて聞く単語に羅列のせいで状況を把握しきれていないが、どうやら俺はテイマーになったらしい。


これから、何が起こるのやら。



注意:タイトルに含まれる「テイマーもどき」なる単語は作中では扱われない非公式的な呼び方であり、「能力者」のことを指す。


※この作品はフィクションです。実際の人物、地名、団体等は一切関係ありません。

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