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第八話 訳あり修道女

「わっ!す、すいません!」

アーリアはある日、とある女性と廊下でぶつかってしまった。

「いえ…こちらこそ…」

アーリアは顔を上げるが、その女性はふらふらと歩き、満更でもない様子だった。

彼女を見過ごす訳にはいかず、アーリアは近くのカフェで話を聞くことにした。彼女はヘレナと名乗り、王邸近くの教会で修道女として働いてるそうだ。

ヘレナの話によると、最近この辺りでドラゴンが暴走しており、それはもう残酷な状況のようだ。

「信者様からたくさんの祈りの申し立てが来ており、しかもドラゴンたちが…もう可哀想で…」

俯いて涙目で話すヘレナにアーリアはどうにかしてあげたかったが、戦うことしかできないただの人間であるアーリアは、慰めながら話を聞くことしか出来なかった。

 しかしドラゴンたちの状況は深刻のようでますます魂が奪われてるようだった。アーリアはヘレナに祈りをしてほしいと頼んだ。ヘレナは快く受け止め、今夜、ヘレナの教会で会うことになった。

 その夜、アーリアはヘレナの教会に向かった。その時、静まり返った夜の街に遠くでドラゴンの呻き声のようなものが響くのが聞こえた。

アーリアは顔を引き攣らせ、急いでヘレナの元へ足を動かした。冷や汗を流しながら教会に駆け込んだアーリアにヘレナは急いで駆けつけた。

「…どうされたんですか?」

「じゅ、ドラゴンの鳴き声が…!外で…!」

慌てた様子でアーリアは身振り手振りで説明した。今も鳴り響く鳴き声、アーリアは足からすっと恐怖が込み上げ、思わずヘレナに抱きついた。

「どどどどーしましょうヘレナさぁん〜!」

涙目で訴えかけるアーリアにヘレナはちょっと考えてから口を開いた。

「…私にお任せを。」

「え…?」

アーリアは涙を拭き、ヘレナに詰め寄る。

「あ、危ないですよ…!そんな…こと…!」

止めるアーリアを振り切り、教会の外へヘレナは出る。


「任せてください。私、強いですから。」


そう凛々しい顔で言うヘレナに後押され、アーリアは頷いた。


 外へ出ると街は闇のように暗く、ドラゴンを探すだけでも精一杯だった。アーリアはなんとなく人の気配を感じながらヘレナに抱きついて進んだ。

そしてとある一角にたどり着いた時、赤く燃え盛る閃光が見えた。

「フィレント!」

ヘレナは悲しそうな顔で暴走するドラゴンに近づく。フィレントという炎属性のドラゴンは魂を奪われ、理性を失ったかのようにヘレナ達に敵対した。

炎を吹き、火の粉が夜の暗い空に光り舞う。

「うわあ!へ、ヘレナさん!」

アーリア咄嗟に身構え、ヘレナの方を見た。ヘレナはフィレントを見つめたまま動かない。

「へ、ヘレナさん…?」

アーリアが心配そうに声をかけると、ヘレナはアーリアの方へ真剣な顔をして振り向いた。

「アーリアさん、ドラゴン達を助ける旅、私も協力しますわ。」

アーリアはヘレナの言葉に目を輝かせ、うんうんと涙目で頷いた。


ヘレナは手を組んで祈るような仕草をとった。

「チル・ペチュニア。」

するとヘレナの足元に魔法陣が広がり、アーリアは驚いて一歩下がった。

そして夜空に粉雪のような光が舞い、フィレントはみるみる力が抜けていき、最終的に地面へゆっくり横たわった。

ヘレナの魔法に驚いて見つめていたアーリアにヘレナはニコッと微笑んで口を開いた。

「大丈夫、この子は少し眠らせただけよ。」

そう言ってフィレントに歩み寄り、そっと竜体を撫でた。


「ねえ知ってる?この世界には逸話があるの。」

ヘレナはフィレントのそばに座り、昔話を始めた。

「昔ね、ドラゴン達は私たち人間に身近な存在だったの。飼うこともできたわ。でもね、ある日突然ドラゴン達が悪い勇者様達に狩られていったの。そしてこの国の王女様は五匹のドラゴン達を神体として定めることにしたの。炎属性のフィレント、自然属性のネイティア、雷属性のサンディ、闇属性のダークル、そして水属性のヴィージュ。」

アーリアは息を呑んだ。

「でもその子達を狙う組織が現れたの。それがザグレシア。彼らはドラゴン達の魂を取り込むことで不死身になれると信じてる。真相は不明なんだけど。でもドラゴン達が苦しむのを放っておくことなんてできない。ね?アーリアさん。」

アーリアは感情が昂り、さらに涙目になって頷いた。ヘレナはアーリアを抱きしめ、アーリアにリラックス魔法をかけた。

「アーリアさんならできる。きっと、ドラゴン達を助けれるわ。」

ヘレナのリラックス魔法は本当にどこか心が白くなり、軽くなったような気がした。

「私は支援魔法しか使えないけど、ぜひ協力させてちょうだい。」

ヘレナの優しくて本気の目にアーリアは悲しみで胸が痛かった。


アーリアはマヤと合流し、とある人物がいる空き教室へ向かった。

ドアを開けると、そこはいろいろな配線が行き交い、機械まみれで暑い空間だった。そして奥から歩いてきた一人のお姉さん。

「ニコさん!ちょっと頼みたいことが…」

「ふぅん、私にできること?」

お姉さんはニコと言うらしく、ここで機械と魔法で見張っている警備員さんだった。

「ザグレシアのアジトを調べて欲しいのですが…」

マヤが遠慮気味に言うと、ニコさんは立ち上がってモニターを見た。

「そうね、わからなくもないわ。でも少し時間をもらうわ。」

「はい、ありがとうございます!」

マヤがお礼を言った後、ニコさんは静かに机に座って調べ始めた。

「アーリアちゃん、あとはニコさんに任せよう。」

「う、うん…!」

アーリアは部屋を出る前にニコさんに小さい声でお礼をしてからドアを閉めた。彼女に聞こえていたかはわからないが、最後のニコさんの口は微笑んでいたように見えた。

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