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第五話 快凛との出会い

遺跡から出たアーリアたちは寮へ向かっていた。するとその時、

何かが風を切って目の前を通り過ぎる。ふと横を見ると壁にはナイフが刺さっていた。

アーリアは思わず後退り、マヤは杖を取り出して構えた。

「誰?いるなら出てきなさい!容赦はしないわよ!」

そうマヤが叫ぶと遺跡の影からまたもやナイフが飛んでくる。咄嗟に避けてバランスを崩したアーリアをマヤは支えながら、ナイフが飛んできた方向に杖を突き出した。

その時、岩陰から一人の人物がゆっくりと歩み寄ってきた。

「あーあ、なにそれ。二対一なんてずるいじゃん。」

彼の手には青く輝くナイフが構えられていた。

「ずるいも何もないじゃない!何がしたいわけ?」

マヤはアーリアを庇って前へ足を踏み出す。

「俺はそいつと戦いたいの。部外者は退いてて。」

そう言ってアーリアを指差す。アーリアを見つめる目はどこか狂気で、しかし悲しみも見えるような目をしていた。

「…マヤちゃん。私戦う。」

「そんな…!まだ…」

止めるマヤを振り切ってアーリアは一歩近づく。そして杖を構えた。

「ふぅん、いいじゃん。俺は快凛かりん。じゃ、見せてもらおうじゃん。」

そう言って彼は魔法陣からナイフを取り出した。すると突然ナイフが飛んでくる。彼のナイフ捌きはとても歯が立つものではなく、アーリアは避けることしかできなかった。

「リフト・エアリア!」

アーリア必死に浮遊魔法を使ってなんとか戦おうとするが、彼とはレベルが全く違うようだった。彼はまるで風のように素早く、今のアーリアでは手に負えなかった。

「リフト・エアリア。」

彼も同じ魔法を発動したかと思えば投げたナイフが空中で軌道を変えてアーリアへ向かった。アーリアは慌てて避けたが、胸元を掠ってしまう。ただの人間であるアーリアにとって魔法攻撃を喰らうのはたとえ擦り傷であっても致命傷ともなる危険さだ。アーリアは膝をつき、胸を片手で押さえながら彼を見上げた。彼はアーリアをニヤリと笑って見下ろすだけだった。そんなアーリアに、マヤは急いで駆け寄って快凛に向かって叫んだ。

「今日は終わりよ!帰ってちょうだい…!」

快凛は素直に背を向けたが、最後にアーリアへ向かって言葉を投げかけた。

「次会ったら、もっと強くなってきな。“あっち”に戻れるくらい。」

そう言って岩陰へ立ち去ってしまった。


マヤはアーリアを心配して、急いで校舎内の保健室に連れていった。

アーリアの苦しそうな表情に保健室の先生も口を押さえた。

「あらまあ大変!どうしたの?」

「何か突然戦いが始まって、多分ここの生徒だと思うんですけど…なんかアーリアちゃんをライバル視してたなぁ?」

アーリアの代わりにマヤが答えた。マヤの言葉に保健室の先生は首を傾げ、あの名を出した。

「快凛くんかしら?あの子、アーリアちゃんを探してたわよ。」

そう先生はアーリアの傷を消毒しながら言った。

「でもなんで…」

マヤは頭を抱え、思考を巡らせた。しかしそこでアーリアが口を開いた。

「…でもあの子、みたことある。」

「え?」

「まあ!」

マヤと先生はアーリアの言葉に驚いたように一瞬固まった。そしてアーリアは立ち上がり、先生とマヤを見つめ、保健室のドアに手をかけた。

「私、あの子探してくる。」

しかしマヤは止めた。

「待ってアーリアちゃん…!あの子、去り際になんか言ってたじゃん?次会う時は強くなって来いって…だからもう一回会う前に訓練しようよ!」

マヤはアーリアを止めたい一心で説得をした。アーリアは「確かに」と納得し、息が白くなるような寒い夜、二人は暗い廊下を通って寮に戻った。


マヤはいつもの椅子に座ってベッドに座るアーリアに話しかけた。

「ねえアーリアちゃん、明日授業終わったら図書館に行かない?私が他の応用魔法教えてあげる。」

そんな提案にアーリアは頷き、窓辺のテーブルで作戦会議を始めた。

「まず明日、朝一番で図書館に行くでしょ?そこで基本について学ぼうよ!授業にプラスで塾みたいな感じ!」

マヤは紙を広げ、指を指しながらペンでやることや時刻などを書き込んだ。それを見ていたアーリアは、うんうんと頷きながら一緒に紙に面と向かって作戦を決めていた。


いよいよ明日は「アーリア成長作戦」決行の時だ。二人は明日の特訓に向けて眠りについた。

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