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第四話 試験に難あり

次の日、マヤと勉強をしに来たアーリアはグランダリア国立魔法学校の中にある広大な図書館に目を輝かせた。アーリアが本棚を見渡していると、

「ちょっと待ってて!」

と小声でアーリアに伝え、小走りでどこかへ行ってしまった。その間、アーリアはそこら辺にあった魔導書をペラペラとながら見をした。中にはびっしり何語かで書かれており、おそらく魔法の説明をしているであろう文章を目の前にして冷や汗が流れた。

 するとマヤが戻ってきて

「それは聖ダリアドール語ね。」

と、口を挟んだ。

聖ダリアドール語はこのグランダリア王国で使われている魔法言語で、魔法陣などに書かれているような文字だ。そしてまたもや、アーリアは息を飲んだ。

 広大な図書館から数冊分厚い魔導書を引っ張ってきたマヤはドサッと机に置いた。

「さ、勉強勉強ー!」

張り切るマヤを横目に喪失感に見舞われるアーリア。

「まず、多分アーリアちゃんは基礎魔法しか使えないと思うから応用魔法から教えるよ!」

「は、はい…」

基礎の次は応用だ。魔法を使うには魔力、クリスタルが必要だ。クリスタルは魔物を倒すことで入手できる基本の資材だ。このクリスタルがあることで魔力を大幅に上げることができる。その上、強い魔物からドロップしたクリスタルならさらに魔力を上げることが可能だ。


 次は魔力。この世界の人間は生まれつき少量持ってるものだが、アーリアはただの人間なのでクリスタルで地道に特訓するしかないのが欠点だ。基本的な魔法使いになるには平均にしては少量で済むが、アーリアからしたら零から百くらいだ。

アーリアは少し考えたあと、マヤに特訓してもらうことにした。


 アーリアたちはグランダリア王国北西にある『デナント遺跡』を目指した。デナント遺跡ではよくレベルの低い魔物が出現するので鍛錬にはちょうど良い場所だ。

アーリアはまだ少ししか魔法が使えないので物理攻撃で行くことにした。

「アーリアちゃん、光魔法使ってみたら?」

マヤの提案にアーリアは真剣に頷いた。

昨日習った光魔法を使って進もうと、アーリアはアリーシェル先生に習ったように大きく杖を振った。

「ルミナス・フレスト!」

するとアーリアの杖は光り、真っ暗だったデナント遺跡を照らし上げた。

「凄いじゃんアーリアちゃん!もう使えちゃうなんて!」

「あ、ありがと…!」

マヤの喜びでいっぱいの笑顔を見て、アーリアはさらにやる気に満ち溢れていた。

 ある程度進んで、遺跡の中間部まで降りてきた二人はとある物音を聞く。するとマヤが咄嗟に構える。

「アーリアちゃん、魔物いるかも…!」

その言葉にアーリアは急いで構え、周りを見渡す。

すると突然小さなドラゴンが飛び出してきた。純白の羽に天使の輪、水色の体に羊のようなツノを持ったなんとも可愛らしいドラゴンだった。アーリアはまさかの姿をした魔物に驚いて固まった。

「え、魔物ってこの子?」

「ええおそらく…」

マヤもポカンとしていた。しかしマヤは杖を振り上げ、口を開きかけた。

「ちょ、ちょっと待って!この子危害ないなら倒さなくてもいいんじゃないかな…?可哀想だし…」

そうアーリアが言うとマヤは少し同情したがきっぱりと言った。

「そんなんじゃダメだよ!えっとね…かわいい見た目でも凶暴な子がいるからね!魔物ってのはね、どこにでもいるから倒してもまた会えるから!」

マヤの説得にアーリアは渋々頷いてドラゴンに杖を向けた。アーリアの初めての戦闘をマヤは親の如く見守っていた。

アーリアは息を呑む。そして全ての魔力を隣の岩に込めた。

「リフト・エアリア!」

浮遊魔法を唱えた時、岩が浮かび上がり目の前の魔物へ一直線に飛んでいった。

魔物は岩の下に下敷きになり、そして岩の下から赤い何かが染み込んだ。

「ひいいい?!」

アーリアは可愛かった魔物を殺してしまったことと、予想外な事態に思わずマヤに抱きついた。

「あ、あぁ…アーリアちゃん大丈夫…?」

マヤは苦笑いでアーリアの頭を撫でる。

「は、はい…」

なんとか魔物を倒したアーリアは落ちていたクリスタルをそっと拾い、ポケットへ入れた。

「これである程度は実技できるね!さ、帰ろー!」

そう言ってマヤはルンルンで遺跡の階段を登っていき、アーリアは慌てて彼女の背を追いかけた。

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