第三話 探検
街へ探検に来たアーリアとマヤはお祭り騒ぎの住民達を目にした。
「そうだ、今日お祭りなんだね!」
マヤがニコッと微笑む。アーリアは賑わった市場とお祭りを見つめて少し口角が上がった。
すると市場のお姉さんが二人に声をかけた。
「そこの二人!杖買わない?」
お姉さんは武器屋さんだった。アーリアの杖はシンプルな杖だったので、可愛い杖たちを前にアーリアはお祭りを見ているマヤの袖を軽く引っ張った。
「マヤちゃん、あのお店見てきていい?」
「ん?もちろん!行ってらっしゃい!」
アーリアはお姉さんのお店に足を運んだ。
テーブルには飾りのついた可愛い杖が綺麗に並べてあった。そしてアーリアは月の飾りがついた一つの杖を手に取った。
「これいくらですか?」
「これは千ウェイラです!」
ウェイラはこの世界の硬貨だとマヤに教えてもらったことがある。アーリアはポケットから、マヤからもらった千ウェイラをお姉さんに渡した。
「ありがとうねお嬢さん!大事に使ってね!」
お姉さんはアーリアが背を向けた後でも手を振ってくれた。
杖を買ってきたアーリアを見てマヤは顔を明るくした。
「わあ!可愛い杖じゃない!」
アーリアなんだか照れ臭かった。目を逸らして髪を耳にかける。
アーリアとマヤは食べ物の市場にやってきた。通路はたくさんの人々で賑わっており、とても楽しそうな光景にマヤの後ろをついていっていたアーリアは思わず笑みが漏れた。
マヤははしゃいでアーリアに色々提案してきた。
「アーリアちゃんこれ食べる?」
マヤが指さしたのは得体の知れないぐにょぐにょとしたものだった。
「な、なにこれ…?」
「魔物の腸!」
ニッコニコで指差すマヤにアーリアは引き攣った笑みを浮かべながら苦笑いした。
「ちょ、腸か…今…お腹空いてないや…」
アーリアはなんとしても断りたかった。
「えー、そう?じゃあ私食べる〜!」
そう言ってその店へ行ってしまったマヤ。アーリアは無理矢理笑みを浮かべながらマヤについていった。
「んー美味しい〜!」
超絶幸せそうな顔で頬張るマヤを見てアーリアは少し気になってしまった。
「マヤちゃん…私も食べる。」
アーリアは勇気を出してマヤに伝えた。マヤは喜んで買ってくれ、アーリアは恐る恐る口をつけた。
しかしその味にアーリアの顰めっ面は綺麗に無くなり目を輝かせた。
「何これ美味っ!」
アーリアは驚いてその食べ物を見つめた。
「でしょでしょ〜!」
マヤも得意げに胸を張る。食わず嫌いは損だということが胸に沁みたアーリアだった。
マヤのおすすめがたくさんあるらしく、食べ歩きに付き合うことになったアーリアは、とある店にやってきた。
「これは…?」
「クッキー!」
アーリアはようやくまともな食べ物に出会ったと思って胸を撫で下ろした瞬間、マヤの口からはまたもやえげつない言葉が出た。
「これねこれね、魔物の目が入ってるんだよ〜!」
マヤは堂々と紹介するがアーリアの頭は真っ白だった。
「め、目玉?」
「うんうん!ミンチが入ってるの!」
マヤに悪気はないのだろうが、この世界の食べ物にアーリアは初見でひとつも気をそそられなかった。
「へ、へえ…」
「食べる?」
「いや…さっきのでお腹いっぱいだからいいや…」
アーリアは逃げるように遠慮した。
「そう?まあ私もお腹いっぱいだからいいや!」
そうして食べ歩きは一瞬にして終わってしまったのだった。
そして二人は王国の中央でやっているお祭りを見にきた。
「このお祭りはね、ドラゴンたちを祀るお祭りなんだよ!…ドラゴンたち、魂とられてあまりこれ自体は賑わってないんだけどね。」
悲しそうな微笑みでマヤは言った。そんなマヤの手を握ってアーリアは言った。
「マヤちゃん、このお祭りも、私がドラゴンたちを助けて取り戻してみせるから…だから…」
アーリアは言葉に詰まった。私は何がしたいのだろう、なぜここまで心に来るのだろう、と。俯くアーリアの手をマヤは握り返した。
「私も頑張るから。一緒に助けよう。」
マヤの顔は複雑だった。悲しそうで、真剣で、そしてアーリアへの微笑みで。アーリアは頷き、新しい杖を握って、賑わう市場を照らす空を見上げた。




