表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
イニシエーション  作者: みきのり ゆう
3/5

第3話 違和感


章護は今ある情報を整理したノートをじっと見つめる。

(深鈴は、不安なことは逐一相談してくる奴だ.。だから何も言わずに転校するわけがない。さらに昨日の様子を見る限り……転校のことを知らなかった?…まだ深鈴の家にまだ何かしらの情報が落ちているかもしれない)

章護は急いで玄関から飛び出した。

少しの希望を原動力に我武者羅に走った。


(柱 幸子、か。どっかで聞いたことがある。柱、はしら。ああ!柱成人!!今の内閣は柱という総理大臣と国土交通大臣……)


そうこうする内に深鈴の家に着いた。

家はまだ静かなままだった。

玄関を駆け上がって乱暴にリビングを漁った

(引っ越しするのにこんなにも丁寧に物が片付けられてるなんておかしい。)

章護は有益な情報を得るため隅々まで探す。

(机の上にブラックライトか。ブラックライトって確かジェルネイルの硬化に必要だったはず。出かける前にネイルでもぬったのか?)

これっきりの情報も見つからない。


(ここにあるカレンダーとかに何か書いてないのか....?)

旅行とだけしか書かれていない。

あっという間に時間だけがすぎていく。

章護は焦りを隠しながら歩き続ける。


「「ぎしぃ」」

(?!)


台所の床が軋む音が響く。

(台所のこの床だけ脆い。床下に支えが入ってないのか?)

章護は拳を握って床に軽く叩きつける。

床下全体に反響する音が鳴り響く。

(ここら辺の床下の支えが少ない...。)


続けて拳を何度も軽く叩きつける。

「「ポコン」」

軽めの高い空洞音が床下で反響する。

「極々小音だったが明らかに空洞音だ!この真下に空間がある!」

辺りを見回した。


(床下収納がある。ここから...)

章護は床下収納内の全ての物資を取り除いた。

(床下収納に通路はついてない?!ならどこに地下に繋がる道があるんだよ。)

隣の部屋の風呂場に行った。

床下の地下空間の有無を探るが反響音はしなかった。

(急に空洞音がしなくなった。台所と風呂場の間に何がある?)

台所と風呂場を行き来しながら床を叩く。

「「ポコポコポコポコポコポコ、コツコツ、ポコ、コツ」」

(台所と風呂場に音の境界がある。間に地下室があるとしか思えない。入口は?どこに?)

章護は少し考える

「とりあえず整理しようか」

深鈴の家のカレンダーを破いて裏面にする。持っていたペンがカレンダーを走る。

[台所と風呂場の間に地下室が......]

カレンダーを走っていたペンが途中で止まる。

章護は書いていたメモをぐちゃぐちゃに塗りつぶす。

「家全体の大きさ、部屋の位置を把握するか。」


自分の所持物を確認するが、距離を測るようなものはない。

全ての部屋を確認したが、15センチのものさししかなかった。

「何かないのか?手軽に距離を測る手段が......。!!そうだ!」

章護は急いで玄関まで戻り、廊下を歩きながら思考を巡らせる。


(1..2..3..4..5..6..7..8..9..10..11..12..13..14とちょっと。俺の歩幅が70弱だから......。大体10メートル前後ってとこか。次は横を...。)

「11とちょっと、大体8メートルか。」

(この調子で家の構造を把握しよう。)

章護は黙々とカレンダーの裏に家の構造のメモをとっていく。

(地下室は縦3メートル横4メートルある。)

ペンがスラスラと動き続ける。

(地下室の真上には冷蔵庫、カレンダーが貼ってある壁、食器が入れてある棚。)

家の詳細がわかっていくにつれて章護は不可解な点に気づき始めた。

「ここは...?!ここはなんだ?」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


幸子は屋敷の真ん中で、財布の中身を見たまま固まっていた。

(あれ、免許証が無い、、、)

幸子は急いで玄関から飛び出し、車のハンドルを握った。


〜〜〜〜〜〜〜


章護は完成した間取り図を見つめる。

明らかに一箇所何も無い空間がある。

しかも台所と風呂場の間。カレンダーが貼ってある壁の中に。

(推定縦50センチ横30センチの空間がある。何のためにこの空間を作ったんだ?まさか...)

何かに気づいた章護は2階へと駆け上がり、深鈴の部屋のクローゼットに近づいた。

(縦50センチ横30センチはちょうど大人の人間1人がギリギリ収まる程度の隙間。つまりその空間は地下への道だ。そしてその地下への道の真上がこの深鈴の部屋のクローゼット。)


深鈴のクローゼットを開けて中にある備品を全て取り出した。

(な...?!何もないだと?)

そこには何もなかった。扉の影すらない。

(俺の勝手な思い込みか?台所でした空洞音。その上にある人1人がギリギリ通れる空間。条件が揃い過ぎている。間違いないはず。)

「この真下なのに。すぐそこなんだぞ!」

(3階からか?いやでも3階なんてこの家にはない。)

「くそっ!どこにあるんだよ」


一旦一階に戻ってカレンダーの余白に今ある情報をまとめる。

[台所と風呂場の間の地下に部屋がある。]

[床下収納には地下室への道らしきものは見当たらなかった。]

[台所と風呂場の間の壁の中に人1人がギリギリ通れる空間がある。]

[壁の中の空間の真上は深鈴のクローゼットでそこには何も無かった。]

(やっぱり台所か?)

台所の換気扇を見つめていた章護の脳みそに電撃が走った。


一読いただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ