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転生したらまさかの蜂の魔物って、噓でしょ……?  作者: 風遊ひばり
天災の誕生
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必死

評価・ブックマークありがとうございます!!

獲物としては蜘蛛を狙ってたのに、私が獲物になってどうするよ。

ちょっ、糸揺らすなバッタ!

そんなに暴れると巣の主が……


ゾワッと背筋が泡立つ。

皮膚はないのに、鳥肌が立ったように身体の表面がゾワゾワし、この世界で初めて明確な(・・・)危険を感じた。


巨大な巣が張り巡らされる端から姿を現したのは、これまた巨大な蜘蛛。


鋭い牙に八つの目、岩でさえ穿ちそうな爪が生えた、八本の足。

なんの感情もない無機質な目に、私とバッタの姿が映っている。


やべぇ……強いわ、この蜘蛛。

エサ(・・)ではなくであることが、本能的に理解できる。



……でも、怖くはない。

あの時の恐怖に比べたら、敵の強さがはっきりしてる分、まだ希望がある。


何より、恐怖に立ち向かうという、人間にしかない精神を私は持っている。


相手の土俵でこっちはろくに身動きができない状態。

でも、生きるためには何とかするしかない。

かかってきな。返り討ちにしてやるかんね!



って最初に狙うのはバッタの方か――――――――いっ!!



そりゃそうか。

蜘蛛はたしか、糸に伝わる振動を感じて獲物を察知するはず。

なので、おとなしくしてる私より暴れるバッタを狙うのは自然か。


だが待て、そのバッタは私の獲物だ。横取りは許さないぞ。

とはいえ、こんな状態で正面から蜘蛛に喧嘩売っても勝てないしなぁ……。


というわけで、『漁夫の利作戦』だ!



暴れるバッタを糸と爪で押さえつけ、鋭い牙をその体に突き刺す……このタイミング!

スパイスに私の毒はいかが?猛毒発射じゃおらぁっ!


蜘蛛がバッタに噛り付く直前に、バッタに向けて毒液を発射してやった。

とっさに止まれなかった蜘蛛は毒まみれのバッタにそのまま噛り付き、耳を劈くような悲鳴を上げた。



「ギィィィィィィィッ!」



さて、これでヘイトが私に向いたはずだ。

当然向かってくるよね……《超音波》で足止めを……



あっ……れ……?



自分の腹に深々と突き刺さった蜘蛛の脚を見て、込み上げるものを我慢できずにガフッと体液を口から吐き出した。


『スキル:苦痛耐性Lv1 を獲得しました』


ぅぐ……こいつ、《超音波》が全く効いてない……。

『苦痛耐性』のおかげで痛みが少しだけ和らいだけど、まだまだくそ痛い。



「ッ―――――――!!」



腹の中で爪を捻られ身体を裂かれる苦痛に、産まれて初めて自分の口から声が漏れた。

言葉でもない唯の鳴き声であったが、もし聞いている者が居れば思わず耳を塞ぎたくなるほどの苦痛に満ちたものであった。


しかし、この場にいるのは感情すら持たない魔物のみ。


脚力……強化っ!


身体を裂かれる前に、糸が絡まっていない脚を強化し、身体に刺さっている蜘蛛の脚を弾き返す。



「ギィィィ……!」



まずいっ!

自由に動く腕だけでも……いぎっ!


振り降ろされた蜘蛛の脚により、盾にした右側の脚二本が持っていかれた。


脚力強化してたのに、少し威力を弱めただけで軽々貫通かよ。蜘蛛のSTR強すぎ……

いっ……痛みで意識が飛びそ……



『スキル:苦痛耐性 のレベルが2に上がりました』


ぐっ……『苦痛耐性』のおかげでギリ意識を保っていられた……。

ふざけるなよ、まだ超痛えよくそっ……

こんな……こんなところでっ、死んでたまるか!


『スキル:脚力強化 のレベルが3に上がりました』


待ってました!


二本の腕を犠牲にして守り抜いた腕が、蜘蛛の腹部を貫いた。

最初にバッタにぶっかけた毒が傷口から入り込み、バッタが死んだようだ。

それによって《強欲》が発動し、『脚力強化』とステータスを奪い、蜘蛛の腹を貫いたのだ。


確か、蜘蛛の神経節は腹の内側だったよね?

経口と注射、私特性の猛毒をたっぷり食らいな。



「ギィィィィィィィィィィッ!」



わお、めちゃくちゃ苦しんでる。

けど、身体は動いてない。

神経節を壊したんだ。人間で言えば、脳から体へ信号を出す神経を元から切り離したのと一緒。脳から命令が届かないのに身体が動くわけがない。

まだ死なないのが不思議なぐらいだ。


っう……思い出したら身体痛くなってきた。

そりゃ、お腹に穴開けられたんだ。痛くない訳がない。

『自動再生』があってよかった……お腹とか脚とか治るのかなこれ。



でも一先ず……何とか生き残った。

蓋を開けてみれば一撃……いや、二撃だけど、これだけ苦戦したのは初めてだ。

命のありがたみが……ヒェッ


再び、ゾワッと背筋が泡立つ。

蜘蛛の巣の向こうから感じる、明確な殺気。



複眼で辛うじて捉えられる速度で何かが空を裂き、私と蜘蛛の身体はボタッと地面に落ちた。


痛っ……あれ?糸から解放された……?

もしかして私を助けて……『鑑定』。



名前:無し

種族:魔蟷螂ディアボロシネンシス

Lv:3

状態:普通



そこにいたのは、蜘蛛と同じくらいの大きさのカマキリが、私を見下ろしていた。


ぁっ……(察し)

まぁそうだよね、私と大きな蜘蛛が一緒に倒れてたら、ちょうどいいエサだよね。

それにしても、名前の『ディアボロ』って、私と一緒?

『悪魔』って意味だよね?

つまりあれだ……魔蜂と同格なぐらい、このカマキリが強いという訳だ。



これは死ぬか……?


……そんなの、認められるか。

まだ我が子の顔も見てないんだ。

あのくそドラゴンに復讐もしないうちに死ねるわけがない。


だから考える。

私は蜘蛛やカマキリと違って、人間の知識がある。

それを使わない手は無い。


考えろ、生き残る方法を。


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