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転生したらまさかの蜂の魔物って、噓でしょ……?  作者: 風遊ひばり
コンサーヴィア王国編
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▼ゆうしゃは『せいけん』をてにいれた▼

評価・ブックマークありがとうございます!

コンサーヴィア王国王宮の地下深く、厳重に守られた宝物庫に近付く二人の影があった。



「こ、これはミネルヴァ様。宝物庫に何かご用件で?」



二人の影というのは、もちろん私とモンキー……じゃなかった。ミネルヴァ王女だ。

うーん、思春期の男子高校生を捕まえて王女とは寒気がする……。



「何、聖剣を守る結界を張り直しておこうと思ってな。アーノルドが帰ってきて、何かが起こる気がしてな……備えておくに越したことはないだろう」


「はっ! では私も同席いたしましょう」


「うむ、では貴殿に立ち会いを任せる」



実を言うと、聖剣を守る結界を扱えるのはミネルヴァしか居ないのだ。転生特典の《魔導王》とかいうチートがあるからこそ、全てを阻む強固な結界を張ることができる。


しかしそれでは、聖剣や国宝などの貴重なものをミネルヴァが独占できてしまう。

そうならないように、たとえ王女という立場であっても一人での宝物庫の立ち入りは許されていないのだ。


現国王の決定であるため、たとえミネルヴァや第一王子達が束になっても覆ることはない。



問題は……立ち会いを請け負ったこの衛兵、第一王子派なんだよなぁ……。

『鑑定』したら、称号のところにハッキリ書いてあった。


見られてるとやりたいこともできないじゃん。

邪魔だなぁ……



(焦らなくとも良い。下手に行動を起こして我々が疑われても嫌だからな)


(分かってるけど、私の正体がバレそうで嫌じゃない)



さすがは《魔導王》、念話もお手のものだ。



「ところでミネルヴァ様。こちらの方は?」


「あぁ、彼女は愚弟……アーノルドが連れてきた侍女だ。今は私が借り受けている」


「……分かっているとは思いますが、中には入れませんよ?」


「構わん。彼女も立ち会いみたいなものだからな」


「では……」



宝物庫にたどり着くと、衛兵がその扉を開ける。

おぉ、宝物庫というだけあって綺麗だなぁ。


私も女の子だし?

きらびやかな宝石とか夢があるでしょ。私はこれ以上入れないらしいけど。



「ではミネルヴァ様」


「うむ、ヘレナ(・・・)はここで待っていてくれ」


「かしこまりました」



ミネルヴァと衛兵は宝物庫の中へと消えていく。私は待ってる間、じっくりと観察させてもらおう。



        ♢♢♢♢



「ふぅ……全く立ち会いがなければ入れないとは面倒な決まりだな」


「だったら内緒で入っちゃえばいいじゃない。あなたが結界を張ってるんだし、突破も自分次第でしょう」


「そうは言ってもねぇ、蜂須賀さん。聖剣が突然消えるなんてことになったら、真っ先に俺が疑われるじゃん」


「それは確かにね」


「だから、私が真面目に結界を張ってるってところを第一王子派のやつに見せる必要があったの。これなら何かが起こって聖剣が無くなっても、俺じゃない何者かが疑われるってわけさ」


「ホント変わったわね、黒崎君」


「王女として十六年生きてるからね。それより、このあとは頼んだよ? 蜂須賀さん」


「大丈夫よ」



もう、リスクを冒して衛兵を突破する必要もない。私の『空間転移』は、一度見た場所(・・・・・・)に転移できる。



一瞬の暗転の後、私の視界がきらびやかな宝物の輝きが私を包み込む。

うふふ、侵入成功。


お~……キラキラしててテンション上がる。


私はこっちの世界で貧乏暮らしが……というか野生生活が長かったから、これだけの金銀財宝に囲まれてるとドキドキしてくるわ。


……多少くすねてもバレないかな?


っと、そんなことしている場合じゃなくて、とりあえず聖剣の確保かな。



静かに奥へ進んでいくと、強力な結界が幾重にも張り巡らされてるのが見える。さすがは《魔導王》といったところか、私の歩みを止めるほどの強度がある。


けどごめんね。

後で直すから今は突破させてもらうわ。



『禁忌の憤怒』を発動し、結界を切り裂く。私のチートスキル『禁忌の憤怒』の前では、あらゆる物体の防御力など無に等しい。


たとえ《魔導王》の結界であっても……



爪の先で結界をなぞると、何の抵抗もなくサクッと切れた。

本来は邪なる者の侵入を拒む結界も、完全に無効化されてしまったようだ。



そんな感じに突き進みながら一番奥にたどり着くと、そこには台座に突き刺さる、白銀の美しい剣があった。


確信した。これが噂の聖剣だ。

確かに強そうかも……。


対魔物補正もあるとは思うんだけど、それを加味すればバエウスの外骨格に食い込むほどの切れ味はありそうだ。パラクレート大迷宮に潜む魔物の討伐を期待するのも頷ける。


さて、そんな聖剣に私が触れても大丈夫なのかという疑問があるが……大丈夫なんだよねぇ。


だって、私は《勇者》の称号を持ってるし。


ほら、ちょっと前に居たインスタ番長……ラインハルトだっけ?

騎士団長の。


あの子が持ってたんだよね、《勇者》の称号。

それを私が《禁忌の色欲》で奪っちゃった。


お陰で私も、魔物でありながら聖剣に触れることができる。



台座から無造作に引き抜くと、白銀の刀身はさらに輝きを増す。まるで、主の帰還を待っていたかのように。


うふふ、私が有効に使ってあげるわ。



『スキル:聖剣技を獲得しました』



あら、スキル獲得のアナウンス?

懐かしい。しばらく無かったからねぇ。


『聖剣技』は後で確かめるとして……さぁ帰りましょうか。

あ、もちろん結界は直しておくよ?


《魔導王》じゃないけど、《魔法を極めし者》だからね。


誤字報告等も助かります(_ _)


最近、新しい作品の連載を始めました!タイトルは


『アネックス・ファンタジア ~V配信者による、神ゲー攻略配信日記~』


です。

下の方にリンクを貼っておきますので、読んでいただけるとありがたいです!

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