まさか私にラノベ主人公みたいなムーブができるチャンスが来るとは!
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とりあえずこの幸薄そうな王太子さんを客室に案内し、落ち着いてもらうためにスイーツなんかも出してみる。
ゴブリン達が放牧していた牛っぽい魔物から取れた牛乳で作ったヨーグルトにフルーツを添えて、私が作ったハチミツをかけたものだ。
地球にいたころのスイーツと比べたらあれだけど、充分美味しいものに仕上がっているはずである。
その証拠に、良いもの食べて育ったはずの薄幸王子も手が止まらない様子。
良かった良かった。
「楽しんでもらっているところ悪いけど……今後について話すわよ?」
「はっ! す、すみません、つい……」
「まぁいいけど。貴方のお兄さんが魔物を拒絶しているのは分かったけど、国全体としてはどうなのかしら」
「……半々といったところですね。と言っても、魔物との共存を許容している者達の殆どは王都から遠く離れた辺境の村に昔から住む者達で、国勢の中枢である王都やその付近の街では魔物を排斥する風潮が強いかと」
「数はともかく、勢いとしては劣勢というわけね。武力で転覆を狙ってもいいのだけど……」
「それは止めてください……」
「冗談よ。でも、なんとかして相手に魔物の存在を認めさせる必要があるのも事実。というわけで、まずは人間にとって無視できない存在になればいいわね」
「というと?」
「ここに住むゴブリン達は、牧畜や農業、建築の知識もあるわ。貴方達人間が知らないような、ね」
「なぜゴブリンがそれほどの知識を……」
「それは内緒。明かしちゃったら強みじゃなくなるもの」
まぁ、私が教えただけなんだけどね。
「私もそうだし、私の息子たちも、色々な知識や技術を持っている。それに、人間が到底たどり着けないような高度な魔法もね。それらを使って私たちの存在を認知させる……というのが一つ」
「一つ? まだあるのですか?」
「えぇ。二つ目は、私達の戦闘力。貴方もくっころ……エリザとデリガードの戦闘力は見たでしょう?」
「うむ、比類なき……まさに英雄と言えるほど凄まじいものでした」
「そう評価してくれるのはありがたいけど、私達の陣営の中ではあれでも普通ぐらいよ? そこにいるエイク……ゴブリンもエリザと同じかそれより強いぐらいじゃないかしら」
「なっ……」
『エイク』というのは、私が剣聖ゴブリンに与えた名前だ。
私が進化したことでゴブリン達も進化したようで、今や人間とそう変わらない体格を誇っている。
あのインスタ番長すら歯牙にもかけないほどの強さだろう。
「カローネ、ラクネア、バエウス……私の息子三人は遥かにぶっ飛んだ強さだから、下手に怒らせないようにね?」
「……それほどの強さを持っているとは……へレス殿が話の通じるお方で心底安心しました。……しかし、大丈夫なのですか?」
「何が?」
「それほどの強さの魔物が、もし我が国の民を襲ったらと考えると……」
「それは無いわよ。人間との共存は、私の望むところでもあるのだから。人間を襲う行為は、私への裏切り。……どんな末路を辿るか、知りたい?」
「っ! いえ、結構です! それより、私はどのように?」
「王都に戻ったら、貴方のお兄さんに私との……魔蜂の女王との繋がりをほのめかせばいいわ」
「……え、それだけですか?」
「えぇ、その間に私も色々と動いてみるから」
無視できない存在になるにはどうするのか悩むところ……と見せかけて、意外と簡単なのだ。例えば冒険者を助けたり、怪我や病気を治す魔物が現れたとなれば、人間はどんな反応をするだろうか。
くふふ、転生前にラノベとかで読んだもんね。
というか、まぁ、あれだ。
折角強くなったんだから、助けるも殺すも自由にできるみたいな強者ムーブがしたいんだもの。
所謂、『俺TUEEEEEEE!』ってやつ?
「国の王子が強力な魔物との繋がりをほのめかして、それと同じタイミングで冒険者を助けたりする魔物が現れたとなれば……ついその繋がりを想像してしまうでしょう?」
「なるほど、それなら……分かりました。そのように動きましょう。ところで、厚かましいとは思うのですが……」
「何かしら?」
「ここからコンサーヴィア王国までは数日かかります。護衛として彼らを……エリザ殿とデリガード殿を雇っても良いでしょうか」
「あぁ、その必要は無いわよ」
「それはまた何故……」
「貴方の護衛には私が付くもの」
「えっ……?」
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