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転生したらまさかの蜂の魔物って、噓でしょ……?  作者: 風遊ひばり
天災の誕生
24/74

欲を言えば本物の『くっころ』を聞きたかったなぁ

評価・ブックマークありがとうございます!

「悪夢でも見ているの……?」



不意に聞こえた声にバッと顔を向けると、蜘蛛糸で縛り付けられた女剣士とナイスガイがいた。


あ、そうだったわ。

この二人はなぜか殺せなくて、とりあえず身動きを封じておいたんだった。

うーん、女剣士さん結構美人……というかイケメン?

あれだ、『くっころさん』と呼ぼう。


というか、あれ?私、人間の言葉が分かった?

あれか、スキルに《言語理解》があったからかな。

私も喋れるかな?


あ、ダメダメおチビちゃん達。

怒るのは分かるけど、殺そうとしちゃダメ。

こいつらには利用価値があるから。



とりあえず糸を解いてやると、ナイスガイとくっころさんが困惑半分、恐怖半分といった表情でこちらを窺っている。



「あー、あー……ふふ、ねぇ人間さん?」



私の声を聞いて、ナイスガイとくっころさんの表情が完全に絶望に染まるのが分かった。

《鑑定》で見ても、状態が恐怖になってる。

《威圧》も使ってないのに、やっぱり私の強さは異常みたいだ。

いや、見た目が完全な魔物なのに人間の言葉を話し始めたらそりゃ怖がるか。


それに、私の身体の大きさも人間と同じぐらいになってるみたいだし。

何ならくっころさんより私の方が身長が高いかも?


人間を食べたことで、声帯と舌がかなり発達したようだ。

《言語理解》も備わり、自由に喋ることができる。



「私の声、聞こえるでしょう?返事は?」


「……わ、私達をどうするつもりなのだ?」



恐怖を煽る様にゆっくりとくっころさんの頬を撫でると、ようやく返事をしてくれた。

カチカチと歯を鳴らし、一層恐怖に飲まれている様子。


うーん、正直言って気持ちがいい。



「貴方達、私と取引しないかしら?」


「な……取引だと?」


「えぇ、これ以上人間が襲ってきても面倒だし、貴方達が何とかしてくれないかしら?」


「魔物と取引など……!」


「あら、じゃあ自分で何とかするわ。……人間を滅ぼせばいいのでしょう?」


「そんなことっ……!」


「不可能とでも?試してみる?」



手をするりと首に移動させると、くっころさんは黙ってしまった。

くふふ、チョロい。


くっころさんは怖がってしまったのか、すっかりおとなしくなってしまった。

ナイスガイも動かない。

下手に逆らったら殺されると思ってるのかな?

間違っては無いけどね。



「それで、返事は?」


「っ……分かった。どちらにしろ、第三騎士団の一分隊が壊滅したのには変わりない。その処理でしばらくは動けないだろうからな」


「それは重畳」



喋り方から、くっころさんはおそらくそれなりの立場の人。

くっころさんが声を上げれば、人間は私に危機感を持って戦闘を避けるだろう。

と思う。



「代わりに、私の子を襲ったことは水に流し、貴方達二人をここから生きて帰しましょう。どうかしら?」


「っ……私の部下をあれだけ殺しておいて……」


「貴方達が先に手を出したのでしょう?貴方達風に言えば正当防衛よ。そもそもなんで私達を狙うの?」


「それは……変異体の魔物は今までに何度も我々に被害を出してきた。先に対処しなければ、我々がまた被害を受けるのだ」


「私達は何もしてないのに?被害を出した魔物を討伐して、それでいいじゃない。魔物が他の生物を襲うのは、生きるため。ただ殺すためだけに魔物を殺すなんて、貴方達の方がよっぽど非人道的じゃない」


「っ……」


「その理論が通るなら、やっぱり人間を滅ぼした方がいいかしら……。私達も被害を受けてるのだから……」


「お前は、いや、貴女はいったい何者なのだ……?喋ることはもとより、ステータスも知能も、ただの魔物ではないぞ……『名前付き(ネームド)』か?」


「ネームド?それは何かしら」


「違うのか?そんな馬鹿な……」



迫ると、くっころさんは怖がりながらも教えてくれた。

どうも、強力な魔物は個体を判別するための名前が付けられるらしい。

私ぐらいの魔物に名前が無いなんて、逆にあり得ないって。



「そうね……じゃあ、『へレス』とでも呼んでもらおうかしら」



へレス……なんとなくで決めたけど、なんだかいい響きだよね。

ちょっと厨二臭いけど、人間に対してはインパクトあったほうがいいでしょ。

くっころさんも『自分で名付けなんて……』と、また表情が強張ってる。



じゃ、そろそろ仕上げ。

私は《召喚魔法》を使って、指先サイズの子蜘蛛を二体召喚。

《女王の下賜》で《アナフィラキシーショック》を二体に与え、くっころさんとナイスガイにけしかける。



「っ……」

「痛っ……!」



小蜘蛛がくっころさんとナイスガイの身体を這う

そして首筋を噛み、攻撃を与えた。これが一撃目・・・



「その子達は貴方達の監視役。貴方達が私との約束を違えようとすれば、もう一度噛みつくわよ?もちろんその子を潰そうとしても。《アナフィラキシーショック》というスキル、知ってるかしら?」



顔を一層強張らせて小さく頷く二人。

いつでも、どこにいても私が二人を殺すことができると気づいてくれたみたいだ。



そろそろお二人さんの精神が限界みたいだし、帰してあげようかな。

くっころさんもナイスガイも結構強そうだし、ここから帰るぐらいは余裕でしょ。


私が帰るように促すと、産まれたての小鹿みたいにビクビクしながらゆっくり出口に向かっていった。

身体の正面を私の方に向けて後退りしながら。

私に背中を向けるのに抵抗あったのかな?


別に後ろから襲ったりしないって。

私に攻撃を向けない限り。



さ、二人も帰ったことだし、子供達にも名前つけてあげないとね!


いつも応援ありがとうございます!

思った以上に評価をいただいて正直ビビっています……(早めに続き書かないとね……)

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― 新着の感想 ―
[気になる点] いつ召喚術習得したのでしょうか、ステータスを見てみても記述されていなかったと思います、あと女王の支配の効果が具体的にわかりませんいつか紹介はされるのでしょうか
[良い点] めちゃくちゃ強くなって言葉も話せるようになって続きが楽しみです [一言] できれば人化はしてほしくないな~
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