ぐぬぬ……悔しい……
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ヤバい、殺されるっ……!
背後に迫るトンボの気配を感じ、《飛翔》を全開にして逃亡を開始する。
くそっ、来るな!《蜘蛛糸生成》!
お尻の先から網状に蜘蛛糸を発射する。
が、トンボは瞬時にバックして避けてしまった。
こいつ、トップスピードを維持したままバックしやがった……。
けど、距離が空けば何とか逃げ切れる……!
《蜘蛛糸生成》による網を乱射し、ひたすら近づけないように逃走する。
私が出てきた洞窟の入り口まで残り数m、ゾクリと背筋に悪寒が走る。
ほわっ!急降下回避!
《超音波》の衝撃波まで使って真下に進行方向を変えると、追うようにトンボも進行方向を変えて目の前に迫った。
あかん。《飛翔》のレベルが違う。
若しくは、《飛翔》よりも上位のスキルを持っているか。
どっちにしろ、トップスピードを維持したまま鋭角ターンはヤバすぎる。
第一、乱射した蜘蛛糸の網が掠りもしてない。
全部避けたうえで追いついてきやがる……。
ならもう一発、《超音波》!
は?衝撃波まで避けた?
まさか、空気の層まで見えてると?
化け物かよくそっ。
うぎゃっ!脚掴まれた!
くっ、かくなる上は……っ!
トカゲの尻尾切り作戦!痛いっ!
掴まれた足を、別の脚の爪で切り落として囮にする。
その間に洞窟にダーイブッ!
そんで蜘蛛糸の網で入り口を塞ぐ!
チッ……これにもかからないか。
網で塞がれた洞窟の出入り口の向こうでは、網のギリギリで急停止したトンボがこちらを睨んでいた。
流石に蜘蛛糸は突破できないと思ったのか。
ギリ助かったかな……脚三本いかれたけど。
んで、《鑑定》しようと思った瞬間に逃げられた。
結局、トンボのステータスを見れず終いか……。
うぐぐ……正直、めっちゃ悔しい。
産まれた時と比べてかなり強くなったと思うんだけど、目標であるドラゴンでもない相手に、手も足も出なかった。
はぁ、弱そうに見えたトンボでさえあれだと、ドラゴンはどれぐらいなんだろう。
……考えてたら震えてきた。
一先ずドラゴンは置いておいて、ドラゴンフライ……おっと、トンボをどう攻略するかを考えよう。
私の攻撃を避けたということは、受けてはいけない理由があるはず。
例えば、VITが低くて、一撃貰ったら終わりとか。
それだったらまだ希望はあるんだけど、私を相手にそれを可能にするAGIと飛行性能を持っているのが問題だ。
トンボに勝つには、私も同等のAGIと飛行性能を手に入れるしかない。
やっぱそうなるよねぇ。
となると、古代魚……というか、魚を乱獲してステータスを上げようかな。
この借りは必ず返すから、待ってろよ?
♢♢♢♢
という訳で帰ってきました。
そんなに心配そうな顔をしないで、おチビちゃん達。
ちょっと腕が三本千切れただけだから……え?重傷だって?
痛たた……意識したら余計に痛くなってきたよ……。
《苦痛耐性》と《自動再生》があるから、時間が経てば傷も治るだろう。
でも栄養は摂っておかないとだし、無茶も出来ないからなぁ。
しばらくは罠を仕掛けてひたすら捕食かな……。
あ、そういえば罠に魚かかってるかな?
ちょっと見てみよ……いや、見るまでも無くでかいのがかかってるわ……。
こいつは古代魚かな?見た目が似てる。
で、こいつ以外にかかってないのを見ると、お前他の魚を食べやがったな?
エサを狙って網に入ってきた魚を狙って、こいつが入ってきたわけだ。
なんつー勿体ないことを……私が食べたらステータス独り占めだったのに……
まぁ過ぎたことはいいや。
うーん、STRが上がったからか陸揚げもあんまり苦労しなくなったなぁ。
じゃ、三分クッキング始めるよ!
まず頭を落とします。
《蜘蛛糸》!《操糸》!《斬撃波》!おらぁっ!!
ダンッ!
ふぃー……じゃあ次は皮を剥いでいきます。
くっ……硬い……。
こういう古代魚、甲冑魚って言うんだっけ。
高いVITの源になってるこの皮は出来る限り巣の材料にしたいから、なるべく綺麗に剥ぎ取ろう。
なんか、某狩猟系RPGみたいだな。
みたいというか、そのものなんだけどね。
さぁ剥ぎ取りが終了しまして、次は……丸かじりです。
これ以上どう調理しろっていうのよ。
前世だったら、ムニエルでもなんでも……ごめんなさい作ったこと無いです……。
と、とにかく、今は魔物だからそんなにこだわりが無いの!
たくさん食べられればいいの!
子供たちも喜んでるし……可愛い。
はぁ、お母さんがこんなじゃダメよね……こんなところで足踏みなんかしていられない。
かと言って、私が死んでしまったら、それはそれで子供たちが困る。
……他のエリア無いかな。
湖エリアの魔物の強さと比べて、あのトンボの強さが飛び抜けてる。
その中間ぐらいが欲しいんだけど……。
というか、無かったらダメでしょ!
RPG的には徐々に強くなっていくべきでしょ!
バランスが悪すぎてクソゲーなんだけど!
どうなってるの運営さん!
ハァハァ……いや、これは現実なんだから的外れなことを言ってるのは分かってるんだけどね……。
でも、レベルとかステータスとかあると、本当にゲームみたいな気がしてくる。
いや……そんなまさかね……。
ま、難しい考えは止めよう。
いまはとにかく、回復に専念しよう。
《自動再生》なら千切れた脚も再生するし。
もちろん栄養を摂る必要はあるけどね。
という訳で、罠を増設!
ここの魚を食べつくすつもりで狩っちゃうから待っててよね!




