進化完了……えっ、なんでここに人間が!?
本日2本目です。
ふぁ……よく寝た……。
あれ?でもまだ外は暗い?
じゃあ、もう少し寝よ……じゃなくて。
三回目にもなれば流石に分かってるよ?
何かに包まれてるって。
バリバリバリッ
私を包んでいるものに爪を立てると、いとも簡単にそれは破れた。
解放された私を、洞窟の静けさが包み込む。
天の声さんによると、私はまた進化したみたいなんだけど……まさか成体からさらに進化するとは。
これも《暴食》の影響?
食べた相手の身体的能力を得る、だもんね。
ふと、開けた視界に意識を向ける。
八つの複眼によって、首を動かさなくても360°全方向が全て見渡せる。
しかも、三対目の脚の下には小さな四対目の脚が生えてきており、蜘蛛と同じく八つ脚になったようだ。
蜘蛛を食べたことによって、目と脚を奪ったのかな。
更に、爪は鋭く大きくなっており、散々苦しめられたカマキリさんの鎌と似たような形になっている。
これはカマキリさんから奪ったやつかな?
殺傷力がさらに上がっていそうである。
くふふ、ともなれば『ステータス』を見るのが楽しみである。
あれだけ強かった蜘蛛とカマキリさんを食べたんだ。
かなり上がっているだろう……じゃぁ、『ステータス』!
名前:無し
種族:女王魔蜂(変異体)
Lv:5
状態:普通
HP:6950/6950
MP:2758/2758
STR:3988
VIT:1882
AGI:3460
DEX:3428
RES:2260
スキル:『禁忌の暴食Lv――』、『禁忌の強欲Lv――』、『女王の下賜Lv――(new)』、『女王の支配Lv5』、『魅了Lv5』、『過食Lv5』、『猛毒生成Lv5』、『熱感知Lv5』、『飛翔Lv6』、『超音波Lv4』、『鑑定Lv4』、『自動再生Lv5』、『身体強化Lv3(new)』、『毒耐性Lv4』、『斬撃波Lv3(new)』、『空間把握Lv2(new)』、『威圧Lv3(new)』、『蜘蛛糸生成Lv3(new)』、『操糸Lv3(new)』、『隠密Lv1(new)』、『遠見Lv1(new)』、『アナフィラキシーショックLv1(new)』
称号:《禁忌を犯せし者》、《魔虫の女王》
うーわっ。
倍どころじゃない。軒並み4倍ぐらい。
レベルアップ分もあるんだろうけど、カマキリさんと蜘蛛を食べてステータスを奪えたのが大きそうだ。
それにスキルもかなり増えてる。
一応確認しとこうか。
『女王の下賜Lv――』
自分のスキルを配下に与えることができるスキル。また、ステータスが上がるほど、配下にもステータスの一部を分配する。
ふーん。
配下ができたら、スキルを与えることができる訳ね。
それと、私が強くなるたびに配下も強くなると。
まず配下を作らないとね。
『斬撃波Lv3』
攻撃に斬撃を乗せることができるスキル。
ん?つまりどういうこと?
例えば《超音波》にこれを使ったら、《超音波》が当たったものが切り刻まれるってこと?
それは強い。後で試してみよう。
『空間把握Lv2』、
目で見なくても、周囲の状況や生物の気配を感じ取ることができるスキル。
これは便利。
目が八つあるから死角は無いんだけど、光が全く届かない場所でも自在に動けるわけだ。
重宝しそうだね。
『威圧Lv3』
他の生物を威圧し、恐怖状態に陥れるスキル。
つまりは威嚇のスキルだ。
カエルとかの弱い相手が殺しやすくなるかな。
『蜘蛛糸生成Lv3』
蜘蛛糸を生成するスキル。
『操糸Lv3』
生成した糸を操るスキル。
この二つめっちゃ欲しかった!
蜘蛛の糸って滅茶苦茶丈夫だし、色んな物をくっつけられるから卵を守る巣を作りたい。
岩とかを繋げれば丈夫だし、カモフラージュにもなるよね。
帰ったらまずは巣を作ろうかな。
『隠密Lv1』
気配を消すスキル。
『遠見Lv1』
遠くを見渡すスキル。
『アナフィラキシーショックLv1』
二度攻撃を与えた相手に死を与えるスキル。
《隠密》と《遠見》はともかく、《アナフィラキシーショック》はなんて物騒なんだ……。
私がハチだから、アレルギーのやつとかけてこんなスキルがあるんだろうけど、スキルが無効化されなければ確殺……強すぎぃ。
ま、でもこれで各上相手にも勝機が出たわけだね。
RESの値が高い相手には効かないけど、MPがこれだけあればなんとかなるでしょ。
うーん……ところで、このステータスだとこの世界でどれぐらいなんだろう。
確かに高くなったと思うんだけど、あのドラゴンに勝てるビジョンが浮かばない。
他の魔物に殺させるも嫌だしなぁ。
もっといろんな魔物を狩らなきゃダメかな。
ん?称号、《魔虫の女王》?
《魔蜂の女王》じゃなくて?
《魔虫の女王》
自分と同じ種族以外の魔虫を配下にしたものに与えられる称号。
ステータスとスキルレベルの上昇に補正を得、更なる高みへ上る素質を得る。
はぇー。
成長補正まで手に入れちゃった。
それは素直にありがたいけど、魔蜂以外の種族の魔虫?
心当たりが……って、あぁ!
配下かどうかはともかく、魔蜂以外となると、卵が孵ったとしか思えない。
うへへへ……顔がニヤける。
私の初めての仲間、私の初めての子供……んふふふ……。
こうしちゃいられない!
お母さんすぐ帰るからね、待ってて!
♢♢♢♢
という訳で、全力で戻ってきたんだけど……。
なんでっ、なんで人間がいるの!?
人間が居るのは私の巣の近くで、小さな蜘蛛と二匹の幼虫が囲まれている。
あぁ、やっぱり卵が孵ってたんだ……じゃなくて!
なんで剣を振り上げてんの?
まさか、殺す気?
私の子を?
そんなことさせるかっ!
スキル《威圧》を発動し、子供たちを庇うように間に割って入る。
それ以上近づくなら私が相手になるよ?
ん?《威圧》だけでかなり狼狽えてる?
意外と人間て弱かったり?《鑑定》!
名前:ゲオルグ
種族:人間
Lv:23
状態:恐怖
名前:マリア
種族:人間
Lv:19
状態:恐怖
名前:シャルル
種族:エルフ
Lv:28
状態:警戒
前言撤回。この人たちレベル高すぎ。
私はレベル5だぞ!?
レベル28とか相手にしてられるか!!
カチカチと牙を鳴らして威嚇する。
レベルが何倍も上の相手なんかと、出来れば戦いたくない。
頼むからこれで引いてくれ。
ガルルル……お?
ゆっくり下がってる?
よし、そのまま帰って……ふぅ、良かった。見えなくなった。
《熱感知》で見ても、真っ直ぐ離れていっているようだ。
はぁ、命の危険は無かったのに気疲れした。
我が子に危険が迫った母親はこんな感じか……。
でも、無事でよかった。
ひょいっと、三匹の魔虫を抱き上げる。
可愛いぃぃ……。
虫に全く嫌悪感が無いどころか、可愛くて仕方ない。
名前を考えなきゃ。
あ、その前に糸で巣を作ろうかな?
いや、まずは場所を変えなきゃ。また人間が来たら困る。
色々やることはあるけど、魔物になって初めて幸せを感じたかも。
子供達が私と同じ目に合わないように、お母さん頑張るからね!
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