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煙~anothER stoRy ~
ベランダを見ても、
そこにあなたはいなかった
代わりに黒と灰色だけで縁取られた
私だけが写っている
あなたは出て行ってしまった
たくさんの思い出とあなたの匂いを残して
いつもと同じ部屋で、
何も変わらない夜に、私だけが取り残された
テーブルの上にあるのは、
まるで我が物顔で置かれた煙草だけ
何で一緒に持っていってくれなかったの。
そう呟くと、あなたを真似てベランダに出た
煙草は嫌い。
それでもあなたの匂いに触れたかった
静かに明かりを灯し、そっと息を吐くと、
あなたが私を包み込んでくれたみたいだった
私はもう一度、いつか吐き出したものを
取り戻す様にそっと息を吸った
二人で過ごしたあの時を想い出しながら、
灰色の夜に小さな光りが灯った
それは私を微かに照らし、
優しく包み込んでくれた後、
匂いだけを残して夜と混ざっていった




