舞台裏3
今日はボルフスの誕生日会にして第3王子のお披露目の日だ。
今日本当のボルフスの姿をミルティに見せるのだと思うと自分らしくもなく緊張してしまう。
「ボルフス様そろそろ向かうようです」
自室で休んでいるとグレンが呼びに来た。
「ありがとう」
父である国王、母の王妃、兄2人、姉と控え室で合流する。
王族であるボルフスたちは貴族が会場に集まってから最後に入場するため会場近くの控え室で待っている必要がある。
王族の入場の合図である鐘が鳴り陛下、王妃、兄2人、姉、ボルフスの順で入場する。
みんな特に初お披露目になるボルフスに注目しているのか視線がいたい。
今まで表に出ていなかったがこんなに視線が集まるのが煩わしいとは思わなかった。
ボルフスはさりげなくミルティがどこにいるのか探す。そしてすぐにその姿を見つける事ができた。
さすがにミルティをじろじろ見ているわけにはいかなかったので少し見ただけだけど当たり前だがどうやらミルティは婚約者と一緒にいるらしい。
普段の見慣れた服も可愛かったが、きちんと着飾った姿は想像以上に素敵だった。
しっかり見られないのが非常に残念だ。
「ボルフス様」
適当に時間を潰しているとグレンが呼びに来た。ターゲットが行動を始めたらしい。
「陛下、少々疲れてしまったので休みに行ってもよろしいでしょうか?」
具合の悪い振りをして退室の伺いをたてると家族みんなに心配されるという予想外な事態になってしまった。
でも、みんな初めてのパーティーだったからだろうと特に不審には思われなかったのは良かった。
グレンの先導で2人のいる例の部屋の前まで歩いて来たが幸い人通りがなく工作するところを見られずにすみそうだ。
この休憩室には鍵がかかっていたので、グレンが事前に用意した鍵で開ける。
グレンを見張りにしてそっと気付かれないように室内に侵入した。
そこにはきちんとフランソワとミネルバ夫人がいて2人の世界に入っているようでボルフスに気付く様子はない。
万が一違う人物だったりすると困るため確認したが、問題なかったので素早く廊下に出る。
そして人が通るのを待ってあたかも初めてこの部屋に入るかのように装って騒ぎを起こした。