表舞台5
「みんな良く集まってくれた。今日は昨日の事件について話したいと思う」
「陛下、妃殿下を我々の問題で煩わせてしまい申し訳ございません」
父が陛下に頭を下げるのに合わせて頭を下げる。他も慌てて頭を下げたことを雰囲気で察した。
この時の話し合いでは、陛下から第3王子から聞き取りした状況が語られた。第3王子は13歳という年齢からこの場には呼ばれなかったらしい。
第3王子であるボルフスの話では、初めての夜会で疲れてしまったボルフス殿下は従者に頼んで休憩室で一旦休憩する事にした。
そして、空室の札のかかっている部屋を開けると睦み合う男女がいた。
運の悪い事にまだ子供の年齢の第3王子が発見してしまったこと、従者がフランソワが婚約者のいる身だと知っていたことから大騒ぎになってしまった。との事だった。
「こちらとしては結婚前に婚約者の不貞がわかり助かったが、ボルフス殿下には気の毒な事をしてしまった」
父が申し訳なさそうに呟いた。敬語ではないので陛下夫妻に言ったというより思わず呟いた台詞だったのだろう。
「ルワーヌ卿お主が気にする必要はない。気にしなければならない者は他にいる」
父の独り言を拾った陛下はじろりとフランソワとミネルバ婦人を睨む。
陛下に睨まれ真っ青な顔をした2人はとっさに言葉が出ないのかはくはくと口を動かすだけだ。
伯爵が慌ててフランソワの肩を叩く。
「も、申し訳ございませんでした」
「申し訳ございません」
それで、気を取り直したのかフランソワが謝罪するとミネルバ婦人も謝罪した。
「ルワーヌ侯爵家としても他国の重鎮も呼んだ場での醜聞を起こした者を身内にはしたくないだろう?
では、今後だがフランソワとミルティ嬢の婚約破棄は私が立ち会いのもと成立とする。
それで良いか?」
「はい。ありがとうございます」
「……ちょ、待っ」
「問題を起こした側が私の決定に何か不服か?」
「……いえ、承知しました」
フランソワとミネルバ婦人の謝罪を無視して話を進めた陛下の決定に父は頭を下げてお礼を言う。ミルティは父に合わせて頭を下げた。
しかし、フランソワ側は納得いかないのか何か言おうとしていたが、陛下の圧力の前に口をつぐんだ。