表舞台3
誕生日会から辞したミルティは母と兄とともに今だ帰宅していない父を待っていた。
今現在の居間は重苦しい空気に包まれていて誰も言葉を発しない。
「旦那様がお戻りになりました」
父が姿を現す前にメイドが知らせに来た。
父がソファに腰を落ち着けたところで今日の騒動について話が始まる。
本当はミルティを慮って話は明日にするかと提案されたが、それをミルティは早く知りたいからとお願いしたのだ。
「まず端的に言うとフランソワとの婚約は破棄する。今日は向こうの家ときちんと話が出来なかったから明日話してくるつもりだ」
「旦那様が向こうに出向くのですか?」
母が不快そうに顔を歪めた。
向こうが悪いのだからこちらに来るのが普通だと言わんばかりだ。
「……いや、話をするのは王宮でだ」
「王宮!」
「あぁ、今回は第3王子の誕生日会を台無しにした形になるからな。我々も被害者だが、王族の皆様も被害者になる。だから普通なら他人の婚約騒動に王族が関わる事はないが今回は事情説明とともに王宮で話をしてくることになったんだ」
兄の驚きの声に父が詳しく説明してくれる。
まさか王族まで関わってくる事態になるとは。
これはフランソワはもう社会的に駄目かもしれない。被害者はこちらだというのに同情してしまう。
「ミルティ、お前は当事者だが、私はお前が気に病んでいるようなら連れていかないつもりだった。
陛下もその判断を尊重してくれてね。……それで、ここまで話した事だし私は君の判断に任せようと思う。明日一緒に行くかい?」
「……お父様。私も連れていっていただきたいです」
「わかった」
皆は心配そうにしてくれたがミルティは事情に関して知りたいと思ったのだ。知れるなら参加したい。