前章1
お待たせいたしました。
今回はキリの良いところの関係で少し短めです。
花園でグレンと別れたボルフスは色とりどりの花を見て回った。
王宮の庭園と違って素朴な花も多い花園は思ったよりも見応えがありなかなか楽しめる。
「あれ?君1人?保護者の人は?」
花園をのんびり見学しながら歩いていたボルフスに見知らぬ声が話しかけてきた。
ボルフスがそちらを向くと地味な若草色のワンピースを着た少女が立っていた。
「連れは向こうにいます」
自分に話しかけられたのだろうと認識したボルフスは少女に丁寧な言葉でそう答えた。ボルフスの本来の身分ならもちろん少女にそんな言葉使いをしないが今は身分を隠しているため年上に対するものとしてそのようにした。
「はぐれた訳じゃないのね?」
「……えぇ。大丈夫ですよ」
心配そうな少女を安心させるためにボルフスは微笑む。
それでも心配そうな少女にボルフスは内心ため息を吐いた。
「……そろそろ疲れたのでそちらのベンチで休もうと思うのですが貴女もいかがですか?」
「!ええ」
ボルフスの提案に心配そうな表情を一転させ柔らかく笑う少女に不覚にもボルフスは見惚れてしまった。




