深夜のタクシー 終電を逃した客とタクシードライバーの会話
週末。同僚と呑み終電を逃したケイ氏は、タクシーを拾い帰路についていた。
外の景色を見ながらケイ氏は思う。
家まではあと半分といったところか……まだまだかかりそうだ。
そして暇をもてあましていた彼は、暇つぶしにと運転手に話し掛けた。
「こんな時間まで仕事とは大変ですね」
「ええ……」
ケイ氏の質問に運転手は適当な感じに答える。
なんだか感じの悪い運転手だな。
少し不満を感じたが、彼は暇なので話を続けた。
「ところで……やっぱりこのくらいの時間だと、酔っ払いが多いでしょ?」
「ええ……」
「僕みたいにいくら呑んでも素面と変わらない人だったら良いけど、そうじゃない人が相手だと大変だ。特に同じ話を繰り返す人の相手なんて、どうすれば良いのか悩むでしょ?」
「ええ……」
「ちゃんと聞いてます?」
「ええ……」
反応のつまらない人だな……そう思いケイ氏は口を閉じる。
そしてしばらく――
ぼんやりと外の景色を見ていたケイ氏は思う。
家まであと三分の一といったところか……まだかかりそうだ。
暇をもてあましていた彼は運転手に話し掛ける事にした。
「こんな時間まで仕事とは大変ですね。ところで……やっぱりこのくらいの時間だと、酔っ払いが――」
「ええ……」