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リーティアの領地経営  作者: 優義
第2章 荒れ果てた故郷
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第8話 問題

道中イベントは必須ですよね(時間稼ぎ)。

 ガラガラギィギィと今にも壊れそうな音を出す馬車をヨボヨボの老馬が引く。


 帝都を出発して既に2週間、ようやくアレクサンドラ領にたどり着いた。まぁ、ここから更に3日かかるんだけど。

馬車の窓から領地を見てみると荒れているのが分かる。聞いてた通り20年前より悪化していた。


「リーティア様が家出した後に、税収が更に重くなり農民や職人、あらゆる働き手がこの地を捨てていきました。その代わり荒くれ者がやって来て治安が悪化して帝国の薬屋と言われたアレクサンドラ領の名は地に落ちてしまいました」


 アメリアが話す。私も冒険者時代、炭鉱などの多くの労働者が居た街でアレクサンドラ領から逃げてきたという人が多く見掛けた。家名がバレて嫌な顔をされたり暴言を吐かれたりした事は数え切れないほどあった。


ここから元へ戻すのか................これ10年で足りるかな。まぁ、やらなきゃ首が飛ぶのだが。


考え込んで居ると御者席からジャックが話しかけてきた。


「ルーティア、いいえ領主様。この道から魔物が出やすいのでここから一気に進みたいと思うのですが、馬が疲れているので1度休憩を取らせてもよろしいでしょうか」


「分かった。休もう、私も体がバキバキだ」


 オンボロ馬車のクッションは硬く、歩くよりも疲れてしまった。

 幸い、近くの村があるのでそこの村長の家で休ませて貰う。ジャック曰く、まだマシな村らしいが家がボロボロだし全員痩せ細っている上暗い。村長の家すら廃墟一歩手前だ、これは早急に対策を立てねば。


「村長、ここの天候は相変わらずですか?」


「そうですな、天候はいつも通りですよ領主様。これで天候も荒れるようなら村は一気に壊滅しています」


 アレクサンドラ領は冬が長く夏が短い。そして1年を通して寒い、幼い頃凍死するんじゃないかとヒヤヒヤさせられたことは何度もあった。

でも天候が安定しているのなら農作や1年のスケジュールは立てやすい。災害対策は進めないといけないだろうがそれも急ぎではない、あとは向こうに着いてから細かく決めていかないと..........対策の草案を頭の中で作っていると1人も村人が慌てて入って来た。


「村長!大変だ!!」


「急に入ってくるな!!!バカモン!貴族様が来ているんだぞ!!」


「構いませんよ、かなりの緊急事態のようですし」


「.........お嬢さ_領主様(汗」


 ジャックが何か言いたさげな視線を送るが今はそれどころじゃなさそうだ。


「ゴ、ゴブリンの群れが北側からやって来そうだ!!冒険者だったリュエル爺さんも殺されちまった!!」


「な?!」


「村を捨てないと俺達も..........」


「しかしワシらの足では追いつかれるぞ!」


「でもアイツら倒せるわけが.......」


「あの、私が討伐しましょうか?」


 ゆっくりと挙手する。村人と村長がびっくりしている。私がAランク冒険者だというのは知らないのだろうか。


「え?いや領主様?!わしらのことは良いですから!!」


「こう見えても少し前までベテラン冒険者だったので。それでゴブリンの人数は?」


「30体は......あとリュエル爺さんがソードマンだのウィザードだの言ってた気が」


「まぁ、その規模なら職持ちはいるか。じゃあちょっと行ってくるわ。村長さん、念の為警戒しておいてくれ」


「りょ、領主様?!お待ちください!!」


「貴方、あの方が1度決めたら止まらない困った方なのはむ昔からでしょうに。領主様?危なくなったらすぐに戻って来てくださいね?」


 止めようとするジャックをアメリアが諌めてくれた。でもアメリア、昔からってずっとそう思ってたの??酷くね??


「領主様、わたくしも同行を」


「いや、もしかしたら魔術使って巻き込むかも知れないから来ないで」


「...............」


 ソフィーのヤツ納得はしたようだが不服そうだな。でもそんなことを気にしている余裕はない、私は腰につけておいたポシェットから愛剣いや愛刀を引っ張り出して、北側へ走り出す。


 ゴブリンは雑魚と認識される魔物だ。しかし10人以上の群れをなすと危険度は跳ね上がる。たかがゴブリンの群れだろうと油断した新人が返り討ちに遭って死ぬなんて冒険者時代はよく見てきた。時間が無いけど焦らずに行かねば。


「油断はしない、素早く終わらせて出立しよう」

次回、戦闘回。

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