第5話 弾劾裁判(後編)
後編です
「お久しぶりでございます、皇帝陛下」
「帝国に神のご加護があらんことを」
皇帝に挨拶する白い服に身を包んだ双子の金髪碧眼少女たち、なるほど彼女たちが教会の秘蔵っ子である神託と裁定の巫女か。
「貴女たちの奇跡をお願いする」
「畏まりました、神託の奇跡をここに」
「畏まりました、裁定の奇跡をここに」
「裁決の儀式起動、神よ、我々に真実をお伝えください」
2人がそう唱えると淡い光が皇帝の間を包み込む。
神が下す裁決の儀式とは本来は高位の神官数十名で行う、あらゆる偽りを許さず真実のみを神が神官に授ける儀式らしいが、この双子は【裁定】と【神託】というギフトを用いることで2人で裁決の儀式を起動させられるらしい。
「..........神託が下りました」
「..........裁定が下りました」
どうやら儀式が終わったらしい。
「「始祖神の子リーティア・アレクサンドラは無実の子である。罪の者は家長であり、全てを知っていた者はその妻と子供である。罰は皇帝に委ねることとする、今ここで罰を決めよ。そして新年の神託を実行せよ」」
おぉ、流石ギフト。頼りになる。これで私も帰れるだろう。何か大声で喚く連中がいるが気のせい気のせい。てか新年の神託ってなんだ?
「なるほど、それが神の御心ならば..........
罰を言い渡す!アレクサンドラ元辺境伯爵、その妻と子供は禁錮10年の後に処刑とする!!
そして、神託に基づきリーティア・アレクサンドラをアレクサンドラ領の領主に命ずる!!彼女が務めを果たしたその時はリーティア・アレクサンドラを無罪放免、他の者たちの刑を幽閉へ変える!!!」
「え???」
思わず声を出してしまった。領主だって???神託になぜそんなことが???周りも結構どよめいている。
巫女たちは私の混乱を見て、話しかける。
「リーティア・アレクサンドラ、これは神の御心です」
「傷つき病んでいる土地を人の子を癒やせと神はおっしゃっております」
「貴女のギフトはそのためのもの」
「いつか現れる星の道しるべとして土地を治めるのです」
そんなことを言われても困る、パーティーは?Sランク冒険者への道は?領主になれば冒険者を引退することになる。冒険が生きがいだった私に領主の務めなんて果たせるわけない..........。
「貴女のお気持ちは分かります、神々にとってもこれは苦情の決断」
「事態は切迫しています、あの地は護らねばいけないのです」
「「どうか決断を」」
承諾しろという圧が体にのし掛かる。そもそも皇帝の命令以前に神託を断ること自体が重罪だから断れない。
仕方ない。
「皇帝陛下、巫女殿。神託、確かに聞きました。リーティア・アレクサンドラ、アレクサンドラ領の領主の任、引き受けます」
「リーティア・アレクサンドラ領主、其方の仕事に期待する」
はぁ、パーティーの皆には謝らなくてはいけないな。
誤字してたー!!!
読んでいただきありがとうございます。
いつか某裁判ゲームみたいなシナリオを書きたいと思っています。(今は知力が足りない)