第21話 兄妹
sideロベニア
「フフフ」
私が化粧をしていると愚図がノックもせずに入ってきた。
「と、棟梁!討伐隊が来やがった......!!」
ふぅん、本当に来るとは思わなかったわ。リーティア・アレクサンドラ。
あの小娘を相手にするなら真っ正面でも良いけどちょっと違うわね............
そうだ。ちょうど良い、刺激が足りない所だった。
「それなら此処にあのチビ.........ベアトリーチェとか言うヤツ、こっちに連れてきて」
半年ほど前に前領主のお抱えの商会連中が押し付けてきた3人兄妹のガキたち。親が医者だったらしいが末のガキの病気の治療で税を払いきれずに両親が他界した。貸してた分を払わせるために借金奴隷になっちまったという。まぁ、奴隷になったは良いものの利用価値がなくって押し付けられたヤツらだ。
「なっ.......」
「アレは私の所有物よ、とっとと連れてきなさい」
愚図が引き返してチビを連れてきた。魔力が病に掛かって腐っていく魔腐病を患ってたガキらしい。
「お前は私に恩がある、そうね?」
「は、はい........」
「これから来るヤツを止めたいから肉盾になりなさい」
「え.........」
「大丈夫よ、相手は優しい優しい領主様、人質を傷つけずに助けたいはず、ほら分かったならさっさと檻の中に入りな」
「はい...........」
ガキはトボトボと私が指差した方へ歩いて行った。良いわねぇ、物わかりの良いやつは。
主人の証である権利書は私が持っているからだが、今は奥の部屋に保管してある。
「良いんですか、棟梁、アイツの兄貴と姉貴が黙ってませんぜ」
「もう一度言うけどアレは#私の所有物__・__#なのよ?私がどうするかなんて私の勝手よ」
むしろ今までむだ飯食らいだったのだ、ここで飯代払って貰わなくては。
「まぁ、確かにそうですね..........」
「分かったならお前は奥で仕事でもしてなさい、領主は私が直接手を下してやるわ」
「わ、分かりました」
─────────────────────
sideベアトリーチェ
お父さんとお母さんが亡くなってからすぐ怖い人たちがやって来た。お金を返して貰えてないって言ってたな。
そしたらお兄ちゃんとお姉ちゃんと一緒にここへ連れて来られた。そしたらもっと怖い人たちと生活することになった、わたしとお姉ちゃんは料理や洗濯をする係でお兄ちゃんは怖い人たちの仕事の手伝いをすることになった。でもその仕事が出来てないらしいからお兄ちゃんは雑用ばっかりやってる。
さっきとうりょうとか言ってた人がわたしに檻に入れって言われた。怖いな、大丈夫かな。領主って悪い人じゃなかったっけ?パン屋のオバサンやお父さんに診て貰ってたおばあちゃんの旦那さんのおじいちゃんが領主は悪い人だって言ってたような??
「大丈夫、わたしには魔術があるもん」
魔術、魔力と引き換えに火をおこせたりする凄い力だってお父さんから聞いた。わたしには他の人より沢山魔力があって、色んな属性が使えるから魔術師になれるって神官様から言われたとお母さんが言ってた。
お母さんも魔術が少しだけ使えたらしいから盾の魔術を教えてくれた。
「大丈夫、危なかったら盾を出す、呪文言って盾を出す」
早く檻から出たかった。
お待たせしました。
作中でロベリアがリーティアのことを小娘って呼んでますが、実年齢だとリーティアの方が年上です。
ギフトって怖い
 




