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婚約破棄からの国外追放でざまぁとかもう遅い

【IF】婚約破棄からの国外追放でざまぁとかもう遅い【なんてことにはならない世界】

作者: 大貞ハル

「婚約破棄からの国外追放でざまぁとかもう遅い」のミランダが追放される気なかった場合のもしもバージョンです。

きらびやかなホールに集っているのはシュトランス王国王立学園の卒業生たちだ。

ホールの中央は空けられており、周辺に料理などが置かれたテーブルが囲うように置かれている。


今日は学園の卒業記念パーティーという事で、学園内にあるホールではなく、王城の迎賓館にあるホールを借りて行われている。高いと言うより遠いといった方が合いそうなアーチ状の天井には複雑な構造に合わせて模様が彫り込まれ、そこから豪華なシャンデリアが吊り下げられている。学園のホールも立派な物だが比較するのもおこがましい程、豪勢な建物だった。


生徒の他、家族や卒業後に関係する者たち、それに卒業生の婚約者なども来ているが、今はまだ卒業生とは別の集団を形成している。


国王や学園長などの挨拶、卒業生代表の挨拶などが終わり、次第にそれぞれの場所に移り始めた。


「もう、今日で終わりなのですね」

「そうね」

「長かったような短かったような…」

「ほんとうに…」


卒業生の中心に居るのは公爵家令嬢ミランダ エルランド。その斜め後ろに控えるように立っているのは男爵令嬢のマレーラ プラテルラ、ミランダのお気に入りの美少女だ。


「今年の卒業生は例年になく少ないらしいですね」

「そうね…」


ミランダが入学した当時のことだ。

ミランダの提案で授業初日に抜き打ちでテストが行われた。

入学試験と同様の内容で、一部の生徒を除いては何のために行われたのか分からない物だったが、10人ほどの生徒がほぼ解答できないと言うひどい結果を残した。


彼らは即日退学処分。


替え玉受験や裏口入学した生徒の中に宰相の息子リチャード ダリも居た。

かなりの騒ぎになったようだが、退学になったリチャードや、宰相がどうなったのかは知らない。


当時、ミランダの婚約者だった第一王子にして王太子だったエバンス シュトランスも入学していたが、その成績はあまり奮わず、一般生徒と同じクラスに入ることとなり、プライドばかり高い彼は努力を放棄し、男爵令嬢のマレーラとの恋に溺れた。


ミランダはエバンスに対して何の感情も持たなかったが義務として苦言を呈したりしていた。しかしエバンスが改善する事はなかったため、王室の指示により婚約は白紙、エバンスは再教育のために何処かへ連れて行かれた。



「あの時、ミランダ様にお声をかけていただけたから今の私があるのです。ほんとうに運が良かったと思いますわ」

そう感慨深げに語るのはマレーラだ。

「ここまで完璧な淑女になれたのは貴方の努力の賜よ。良いお相手が出来たらどこかの家に養子縁組を頼んで家格を上げてもらいましょうね」

「ありがたいお言葉ですが、出来ればミランダさまのお側に仕えたいと思っています」

「まあ、嬉しい事を言ってくれるわね」



王子が無能な分はミランダが補佐すれば良いではないかと主張する者も居たが、ミランダは有能すぎて雑用をさせるには勿体なさすぎた。彼女の好きにさせるだけで経済は潤い犯罪や災害は減り、他国との関係まで良くなるのだ。馬鹿の尻拭いのために使い潰して良い人材ではない。わざわざミランダに余計な仕事をさせるのはそれこそ国にとって損失なのだ。


そもそも現在の公爵家は先代国王が旺盛な方だったため、ほとんどが王の家族で各家の関係は良好。王や前王、王の兄弟姉妹達からも気に入られていたミランダは国内外で権力もある方だったから王妃になったからどうと言う事はなく興味もなかった。


ちなみに、王子の教育に失敗したのは、4年ほど前まで敵対関係にあった隣国トバステの間者による妨害工作であり、気がついた時には修正不能のバカ王子になっていたのだった。現在のトバステはミランダの起こした事業によって経済が成り立っており、当時の政権は既に存在しない。


王子の取り巻きだった大司教の息子イヴァーノ ヴィッラーニは、王子と共に女の尻を追いかけ回していたため、教義的に不味いと大司教によって回収され、その後どうなったのか分からない。


王子の護衛も兼ねて入学した騎士団長の息子バルブロ イェップソンとその取り巻きは王子が退学したことによって王立学園に通う必要がなくなったと言って騎士養成学校へと転校していった。将来は王子の口添えで近衛騎士にと考えていた彼らにとっては大きな痛手だろう。


ミランダはマレーラら気に入った者に手を差し伸べたが、そうではない者は容赦無く切り捨てた。

不正を行う者、そこまで行かなくとも貴族として相応しくない者、全て排除した。


こうして一年経つ頃には生徒数は半分ほどになっていた。



ミランダが学園を卒業することでミランダの家も変化が訪れることになる。

この国の公爵家は国王の血族だ。

ミランダの両親は2人とも亡くなっており、エルランド公爵家の当主は王妹である母だった。現在のミランダの父親と兄は、病気がちだった母が体裁を整えるために入れた飾りで、ミランダの卒業によって不要になるのだ。


さすがに平民に落とすのもかわいそうなのでエルランド家が持っていた子爵位を兄のリカルドが授かり、父親は隠居してリカルドの世話になる事となった。とは言え、領地などがあるわけではないのでリカルドは近い家格の貴族の婿養子になる方向で動いていた。



学園に残った優秀な者達だけの卒業パーティーはトラブルもなく、厳かに終わり、彼らはそれぞれの人生を踏み出した。




なんかこう言うの好きなのです。すまん

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― 新着の感想 ―
[一言] まっとうな国だ。 危機管理がちゃんとできればこうなるのは当然だわな
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