魔人1
自分の体が引き裂かれ、首が飛んで転がって行く
景色がぐるぐると回転して、あの憎々しい猫の顔が見えた
あいつだけは、俺が殺す
そう思いながらも俺の意識はブラックアウトした
気が付くと帝国の自室に寝かされていた
俺は確か首を飛ばされて死んだはずだ。なのになぜ?
いくら魔人といえどそうなれば絶対に死ぬ
「よぅやくお目覚めですかぁ!」
あの不気味な魔人ダンタリオンが俺の目の前にいた
「運がいいですねぇガララドさん。あなたあの死の淵で魔人の核たる部分を脳に移動させてたようですぅ。そのおかげで死ななかったんですよぉ」
「・・・」
口を開いたが声が出なかった
「まだ無理ですねぇ。今取り付けてる体はまだあなたに馴染んでませんからねぇ。もう少し休んでいなさい」
ダンタリオンにそう言われ俺は体を見てみた
人間の体ではなく亜人、恐らく竜人の体だろう
世界でも屈指の実力を誇る竜人の体を提供できるとは、帝国はかなりの戦力をまだまだ有しているようだ
「クフフフフ、まさか竜人の素体を使えるようになるとは思いませんでしたがぁ・・・。ガララドさん、感謝しますよぉ」
感謝されるいわれはない
こいつは俺の体での研究をただ単に楽しんでるだけなんだからな
「ほれ、これを飲みなさい」
薬を飲まされ、俺は再び眠りについた
ふぅ、帝国との戦いも終わって私は再び学園に通い始めた
まぁ私の実力ならもう通う必要もないって言われたんだけど、ミナモちゃんの成長を見届けるって役目もあるし、学園には勉強だけじゃなくて先生としても顔を出してるからね
そうそう、魔法の授業で先生をやってるんだけど、この時黒板に字が書けなくてね
仕方ないから字を書く時だけは変化というスキルで人間に変身して授業をしてる
見た目は前世の姿だけど、少しだけ変えておいた
前世では黒縁眼鏡にいかにもな根暗女子のような姿だったけど、眼鏡は外して髪もあげて顔が見えるようにしておいた
こうして見ると私前世での素体はよかったのかも
出るとこは出て引っ込んでるとこは引っ込んでる
それに顔も、うん、なかなかじゃない? 私に教わる男子生徒が憧れの眼で見てる、気がする
まぁ私がこの姿になるのは授業の時だけ。普段は猫生活を満喫するのだ
いやぁそれにしても人間形態も猫形態もいけてるなんて私って最強すぎない?
すみません冗談です
「ミーニャ、最近忙しいみたいだけど大丈夫?」
「んにゃ、ミニャモちゃんほどじゃにゃいにゃ」
ミナモちゃんは伯爵令嬢となったことでなにやら色々と忙しくなってきたようだ
貴族としてのふるまいを習ったり社交界デビューも控えてる
ちなみに伯爵にこうも簡単になれたのには理由がある
実を言うとお母さん、もともと貴族だったらしいんだよね
二十年くらい前、まだ幼かったお母さんは両親と一緒に王都への馬車に乗ってたんだけど、そこに運悪くモンスターパニックが襲って、両親はお母さんを守って死に、お母さんは一人生き残ってしまった
その後そんなモンスターからの脅威から人々を守りたいとお母さんは貴族家を継がずに冒険者を目指した
お母さんが貴族だったころの家の名前はバーンズ侯爵家
すでに無くなったこの国ができたころからある名門家だったけど、お母さんが伯爵へと復権したからまたこのバーンズ家が復活したってわけだ
ちなみにみんなお母さんがバーンズ侯爵家の人間だったって分かって驚いていたよ
つまりミナモちゃんは伯爵令嬢ってことになる
あ、私もなのかな?
私はペットとしている体なんだけど、私の授業中の人間形態を見て私にまで変な求婚が来てるって言うのはやめてほしい
猫と結婚するなよ人間
しばらく平和な日々が続き、私とミナモちゃんは高学年へと上がった
ミナモちゃんの魔法は今まで類を見ないほどの腕前と評されていて、しかもかなり美人さんに成長したから、男子のお誘いが後を絶たない
私はと言うと、なぜか子猫のまま成長しない
配下の猫はチョコチョコ増えてはいるんだけどね
帝国との戦争から二年。未だ帝国は沈黙を貫いている
ちなみに帝国からはあっさりと賠償があった
これからは有効な関係を築きたいと新皇帝が同盟を打診してきたらしい
まぁ胡散臭いよね。だって魔人まだ向こうにいるしね
どの国も心では帝国を一切信用してないけど、表向きは平和を保ててるからなぁ
でもま、警戒するにこしたことはない




