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脅威5

 ようやく目が覚めた少女はまずまわりを見て私達を発見して震えた

 とりあえず落ち着かせようと私が彼女の前に歩いて行ってスリスリすると、私を抱き上げて撫で始めた

 でもまだまわりの大人たちには警戒を解いてくれないみたい

「お、お嬢ちゃんは帝国から来たのかな?」

 その聞き方ちょっと変態っぽいんだけど・・・

 まぁ一応エグズさんが聞いてみたけど、彼女はそれでまた震えて目を伏せてしまった

 これじゃあ埒が明かなさそうなので私が話してみることに

「えっと、お嬢さんや」

「・・・。猫が、しゃべってる?」

 驚いたみたいだけど、私が子猫と言うこともあってあんまり警戒はしてないみたいだね

「んにゅ、世にも珍しい話しができる猫だにゃ。ところでお嬢さんは帝国から来たのかにゃ?」

「う、うん」

「にゃまえを教えてくれるかにゃ?」

「わ、私、エナ・・・」

「エナちゃんかにゃ。いいにゃまえだにゃ」

「あ、ありが、とう」

 それからまだ震えているエナちゃんにゆっくりと質問していった

 まずこの子は親に売られて帝国の実験体として酷い扱いをうけていたらしい

 生まれてから十年、虐待に次ぐ虐待、人間扱いされない家畜のような生活

 親から離れて少しはましになるかと思ったら帝国の研究施設で死よりもつらい実験の数々

 聞いてて吐き気を催すような境遇だった

 彼女以外にも実験体となった子供達は大勢いて、その中でも彼女ともう一人、キメラとして成功した男の子がいるらしい

 彼女は成功したかに見えたけど、一週間たって魔物の体が拒絶反応を起こし始めたためこの村の近くで捨てられた

 どうやってここまで来たのか聞くと、真っ黒なゲートをくぐって来たという

 ゲート? テレポートみたいなものかな?

 そのゲートを作った男はフードをかぶってて顔は見えなかったらしいけど、神経質で常にがなり立てていたらしい

 そして村はずれで捨てられた彼女は、暴れ出そうとした魔物にあらがいながらなんとか生きようとしたけど、私が助ける少し前、意識が消えて行ってもうだめだって思った

 そこを私が助け出したわけか

「あ、ありが、とう、私、もうだめって、思って。怖くて・・・。でも人を、傷つけるの、いやだったから、このまま、死んじゃおうって・・・。でも怖くてできなかった。怖かったの。ひっぐ、ごめんなさい!ごめんなさいぃいいぐすっ」

 泣きじゃくる彼女をエグズさんがそっと抱きしめる

「怖かったろう。大丈夫、もう大丈夫だからな。おいで、俺が君の新しいお父さんになるから」

 それを聞いてあまりの突然のことだったのか、彼女は泣くのをやめて目をぱちくりとさせてエグズさんを見た

「お、お父さんって、え?」

「ご、ごめんな、混乱させたか? 俺は孤児院を経営しててな。そこにはたくさん子供達がいるんだ。みんな俺の大切な子供達だ。どうだい?君も俺の子供に痛っ、何するんだシア」

「そんな一方的に迫っちゃ余計怖がらせるだけでしょ? まずはちゃんと落ち着いて説明しなさいっての」

「そ、そうだなすまん」

 それからエグズさんがもろもろ説明して、エナちゃんはようやく理解したみたいだ

 しかもかなり嬉しそう

 そりゃそうだ。ついこの間まで死と隣り合わせで生きてきたんだもん

 エグズさんの経営している施設ではちゃんと衣食住が保証されている上に、週二回勉強の日と言うのがあって教育まで行き届いている

 エナちゃんにとっては願ってもない幸運が舞い込んできたわけだ

「そこ、お腹すかない? 食べ物、ある?」

「あるとも! たくさん食べれるぞ。それに友達だっていっぱいいる。友達というより家族だがな。当然俺はお父さんだ!」

「お、お父さん・・・。殴らない?」

 可哀そうに、この子はお父さんやお母さんは殴るものだと思って育ってきたんだ

 人並みの幸せを味合わせてあげたい

「殴るなんてとんでもない! 子供は宝! 叱っても手は出さないのが普通だ。子供だって人間なんだから話せばちゃんと通じる。殴って分からせるなど愚か者のすることだよ」

 少し難しかったのか、エナちゃんは首をかしげてる。でも優しく接してくれるエグズさんに段々と心を開いてくれた

「私、行く。お兄さんのお家行きたい」

「そっか、よし! 今日から君は俺の娘だ!」

 エグズさんは嬉しそうにエナちゃんを抱え上げると頭をよしよしと撫でた

 それに安心し、よっぽど疲れていたのかエナちゃんはまたスヤスヤと寝息を立て始めた

 何とも子供らしい可愛い寝顔。なんだか早くミナモちゃんに会いたくなってきたよ

「取りあえず報告は任せてくれ。この子のこともあるし、施設へも申請しないとだからな」

「うん、じゃあ私達はもう少しこの周囲を調べておくね。もしかしたらエナちゃんをここに捨てたクズの痕跡があるかもしれないし」

「そこは任せるにゃ。あたしのスキルで調べれるはずだにゃ」

「万能だなミーニャちゃんは。助かるよ」

「いやいや、猫にできることはこのくらいだにゃ」

「いや普通猫にそんなことできないからね」

 まぁそんなこんなでキメラ事件は無事解決することができた

 あとは私のリーディングでエナちゃんをあんなふうにしてここに置き去りにした誰か、それを調べないとね

 私はリーディングでエナちゃんのいたあたりを読み取ってみた

 するとここに来るまでのエナちゃんの様子が見えてきた

 誰かに村近くに捨てられてからここに来るまでの過程は言ってたことと一致してる

 で、その誰かなんだけど、私はこいつの正体が分かってしまった

 まさか帝国に逃げていたとは思わなかったよあのクズ野郎!

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