脅威3
その人間素体の魔物はキメラのようで、他の魔物と合成されたものだそうだ
帝国は一体どれほどの人間をそんなひどい実験に使ってるんだろう
人を人とも思わない鬼畜の所業だよ
「はぁ、ミーニャちゃんの毛、ふわもこ~」
この人は緊張感がないな・・・。でもそのくらい気を張らずにいた方がいいのかもしれない
何かで見たな、適当こそがベストって
「もうすぐ着きますよ」
私達に優しく呼びかける今回一緒に行く冒険者のガイウスさん。彼はシアさんと同じく弟子らしくて同じような課題を出されたらしい
と言っても槍の達人クリーミアさんの弟子じゃなくて、その友人で弓の達人、エルフのヘリヤさんの弟子らしい
ヘリヤさんは冒険者の中でもトップに位置する女性で、その美しさから金の宝珠とも呼ばれてるらしい
同じく美しいクリーミアさんと並ぶと男たちは目が離せなくなるんだそうだ
全く男と言うのは悲しい生き物だよ
まぁかくいう私なんて魅力がすごいからその二人にアイドル性も勝るとも劣らないのですよ
「ガイウスさん、一緒に頑張りましょうね!」
「はい」
ニコリと微笑むガイウスさん、やだ、イケメン
シアさんも頬を赤く染めてるってことは、おやおやぁ、シアさんもしかして
まぁ確かに彼は優しそうだし女性への気遣いもあるし実力も申し分ない
シアさんだけじゃなくてこのクエストに参加してる女性冒険者は、みんなガイウスさんを狙ってる気がする
まぁシアさんは師匠同士が友人でよく会ってる分一歩リードかな?
そんなことより到着したのは小さな村アーリー
この村は農業で細々と暮らしてるのどかな田舎村で、自然が豊かでのんびりと過ごせる
そんな村になぜ帝国は人間のキメラを送ったのかしら?
考えても仕方ないからとりあえず村長に話を聞くことになった
「おお、これで村も救われます」
やってきた私達を大歓迎してくれる村人たち
彼らは村の特産物であるパイナップルに似た果物をふるまってくれた
味は少しの酸味と蜂蜜のような甘みがあって、食感もパイナップルに似てる
とにかく甘くておいしい果物ね
「こんなものしか用意できませんでしたが存分に食べてください」
「いやいやいや村長さん、これ街だった高級フルーツですよ!」
シアさんは驚きながらそう言ってる
でも村長さんは気にせず食べて欲しいとのこと
報酬もこの果物なんだけど、どうやら依頼を受けた冒険者たちはこの果物目当ての人がほとんどらしい
まぁこれが目当てだとしても誰も手は抜かない。なにせBランクという難易度の高いクエストなんだもの
それだけ人間のキメラが危険ってことね
現にこの村や周辺の村を守っていた冒険者数名が返り討ちに会って大けがを負ったらしい
幸いにも命に別状はなかったけど、しばらくは戦えないみたい
「さて村長、僕らはさっそく討伐に向かいたいと思います。目撃された場所を教えてくれませんか?」
「はい、在中冒険者が打って出たのは二日前のことなのですが、キメラはここから一キロほど離れた洞窟に入って行ったそうです。その洞窟は村の避難所として使っているので食料もあるのですが、それが狙いではないかとのことです。ただその魔物、意思疎通ができたようなのです。彼らが言うにはまだ人間だったころの記憶が残っているのではないかとのことでした。しきりに、殺してくれと言っていたそうです」
なんて悲しいものを生み出してるんだ帝国。人としての記憶が残ってるなんて、この前の魔物たちよりも悲しいよ・・・
「分かりました。それで数はどのくらいだったのですか?」
「一体です」
「一体!? ここの常駐冒険者はCランク数名でしたよね?」
「はい、しかし相手にもならなかったようです。傷一つつけられなかったとか」
深刻な顔のガイウスさん
「Cランクの冒険者数人でも倒せないとなると、Aランクの魔物かそれ以上ということになりますね。殺されていないところを見るに人としての理性をまだ残している・・・」
なるほど、でもここにいる冒険者は三人がBランク、二人がCランクの計五人
それに私もいるんだから多分倒すのには問題がない
でも人としての理性が残っているとしたら・・・。考えたくはないけどこれはきつい
だって何の罪もない人を私達の手で倒さなくちゃいけないんだから
過去の事例として人間と魔物のキメラは何体も確認されている
当然倒されたりしてるんだけど、生け捕りにして切り離せないか試した事例もあった
結果全てが失敗。切り離した途端に素体の人間は苦しんで死んだ
そうなるくらいなら殺してしまうのがそのキメラの素体になった人間も、幸せなんじゃないだろうかっていうのが世間の結論だった
「分かりました。私達で討伐してきますので、もしもの時のために村長は増援を呼べるよう手配しておいてください」
「はい、ありがとうございます!」
村長は安心したのか早速伝令を使いに出した
さてここからは私達の領分だ
キメラになってしまった人、苦しいだろうけどもう少し待ってて




