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0092 失われゆくもの 二題
何かが離れていく
何かがすぎていく
私の上を時が
通り過ぎていく
それは悲しみでしょうか
それと気づかずに
実に多くのものが
失われてしまうのは
あなたの方へと
手を差し伸べるけど
そこに見えているのは
ただの幻
私の指は空をつかみ
そしてむなしさを抱きしめる
ますますあなたは離れ
声をかけるのも、姿を見るのすら
困難なほどに
それでも私は昔の
夢を見続ける
ほほに涙を一条
光らせながら
25-4.22-4.27
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変わっていく
何かが変わっていく
時は移り
失われていく
得ていたものが
そして想いまで
かくも人というものは
不安定なのだろうか
かくも人というものは
悲しい性をおうのか
ああそれでも
生きている限りは
歩まねばならぬ
たえず前へと
進まねばならぬ
そのつらさが
どれほどのものか
人である限り
生きている限り
逃れるすべのない
運命なのだから
25-4.22-6.22




