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0873 黒雲のかけら / 時が凍えて
鈍き光を放つ
月の面を
黒い雲が
通り過ぎていく
つい先ほどまで
全天をおおい
雨音を
たてさせていた
雨雲の
今はひとかけらが
月の面を
通り過ぎていく
黒い黒い雲
その輝きを押し隠し
その存在さえも
失わせてしまう
光あるものを包み
新たに闇を生み
そして……
風に乗って
動いていくものよ
時によって
流れていくものよ
今はもう
月の面を過ぎ
今度は自らが
闇に吸い込まれてしまう
15-4.19-5.25
※※※※
かけられた呪いを
覚めぬ悪夢を
流砂のように
全てを飲み込んでは
返すことを知らない
そして今
時の数を数えるものは
その刻みを
止めてしまった
眠り姫の
館に住むように
私の周りには
時は過ぎていかない
15-4.19-5.28
次はお前の番、ということ。
時計は止まる。時とともに。




