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0867 目を覚ますと
あれはただの夢
ほんの少し紫がかった
ただの夢
だって目を覚ましてしまったら
本当の私に気付いてしまったら
私の手の中には
何も残ってやしない
何一つ残ってやしない
ほんのついさっきまで
あんなにしっかり抱きしめていた
あれほど身近に感じていた
あなたの心が
今はこんなにも遠い
そして私自身でさえ
私には理解できやしない
およそ不条理なはずの
夢の世界より今の方が
乱れて見えるのはなぜ?
あの時愛していたものが
今はもうなんともない
夢見ている間は
あんなに熱中していたのに
一つのものを愛し続ける
できない事なのかしら
今愛しているものも
私がもう一度目を覚ますと
愛せなくなってしまう
そうやって目を覚まし続けると
一体私は何を
愛する事ができるのかしら
私自身は一体どこに
行ってしまうのかしら
本当の私って一体
何なのかしら
15-4.19-5.6
夢のネスト。
玉ねぎを剥くように、夢を一つ一つはがして行って。
そして最後に何が残る。




