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0850 木に吹く風
木々の梢に
触れる事の出来るのは
風だけなのだ
春の風、夏の風
秋の風、冬の風
木々の姿変わり
風の心変わっても
やはり木々を
包み込めるのは
そしてささやきかけられるのは
風だけなのだ
動く者と動かざるもの
形あるものと形なきもの
あまたその性は異なるとも
その想いはなんと
似ている事だろうか
求めるものはなんと
似ている事だろうか
落ち残った木の葉が
はるかな高みで揺れている
静かな静かな
会話が聞こえてくる
33-11.16-12.6
人の手には届かない所で行われる会話。
その中身も人は知る事はできないけれど。




