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0795 グラスのように
夢よまぼろし
そんなものさ
人の心なんて
何と変わりやすく
壊れやすくてはかない
細工を施した
ブランデーグラスのよう
美しく光り輝き
それでいて
なんと簡単に
砕け散ってしまう
蜻蛉の様に
短い命だったら
心はどんなにか
熱くなることだろう
熱く熱く燃えて
そしてひびが入る
透明なグラスに
白いひびが一本
それが全面に広がるのに
さして時間はいらない
一面にひびが入った
不透明なグラス
中に何を注ごうと
外からは判りはしない
そしてまた
中にどれほど
涙を注ぎ込もうと
みんなみんな
外ににじみ出してしまう
今はもう
空になったグラス
そのなかに
たった一滴……
14-2.11-3.13
ひび割れた心には、何を注いでも中に溜まることは無い。




