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0791 君を歌う
僕は今、君のことを
どんな風に
歌うことができようか
豊かな君の髪
温かいまなざし
優しい唇
そして変わらぬ微笑
そして君自身は
僕がどんなに歌い上げても
僕がどんなに
思い描いたとしても
それより遥かに
美しいのだから
ならば何のために
僕は歌うのだろう
留めようもない
君の美しさを
文字という限られたもので
表そうとするのだろう
君はけして変わる事無く
その美しさもけして
滅びることは無いのに
そして僕がどんなに
君を歌ったとしても
どれほど君の美しさが
僕のものとなろうか
君は君自身でしかなく
君の永遠の美しさも
君自身のものなのだ
君だけのものを、どうして
僕が奪うことができよう
ああ、その美しさを
14-2.11-3.5
美しさを留めようとする芸術家は、自らの力が到底及ばないものを前にした時に、どう思うのだろう。




