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0006 扉の向こう
開かれた扉は
必ず再び
閉じられてしまうのです
それでいて
ほんの一時しか
目にしていないというのに
その外の景色の残像は
消えることがないのです
いつまでも
一度知ってしまったことは
もうもとへは返せないのです
覚めた世界には
どこにも夢のかけらは無いけれど
それでもその夢は
この世界を素直には
見させてくれないのです
いつまでも
心を縛り付けるのです
何が悲しいって
かなえられない夢を見るのが
一番悲しいのです
扉が私に開かれたのは
運命なのでしょうか
私の希望は
そこから逃げだして
しまったのです
今では私の心は
あちらの世界で
一体何を求めて
いるのでしょうか
もう私は
前のようにはなれないのです
垣間見た外の世界が
幻のように
はかないものなのに
いまだに私を
縛っているのだから
07-10.28-11.3




